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第111回看護師国家試験対策|ズバリ予想問題【解説】03問

予想問題03:診療報酬について適切なのはどれか。

1.1点100円で計算される。
2.被保険者の収入に応じて同じ医療サービスでも点数が異なる。
3.公的医療保険の種類によって同じ医療サービスでも点数が異なる。
4.保険外診療には適用されない。



解答:4


「診療報酬」とは、公的医療保険制度の中での、医療の公定価格であり、全国一律の値段が決められている。診療報酬のうち、患者の自己負担を差し引いた額が公的医療保険から医療機関に支払われている。
1.(×) 診療報酬は、具体的な医療行為ごとに点数として示され、1点10円で計算される。
2.(×)
3.(×) 診療報酬は、全国一律の医療の公定価格であり、被保険者の収入や加入している公的医療保険によって調整されることはない。
4.(○) 診療報酬は保険外診療には適用されず、保険外診療にかかった費用は全額、患者の自己負担となる。


なぜこの問題が出題されそうか

 国民医療費(年度内の医療機関などにおける傷病の治療に要した費用の合計)は2018年度に43兆3949億円と増加の一途を示しています。背景に平均寿命の延びや、高齢化率(総人口に占める高齢者人口の割合を高齢化率といい、2021年には29.1%)があります。国民医療費の財源ですが、患者の自己負担金と、公的医療保険が集めた保険料では間に合わず、公費(税金)が投入されています。


 今後、高齢化率と平均寿命がますます延びることを考えると、国民医療費に対する財源の不足が懸念されます。国民医療費を減らすための対策として、一次予防(健康増進、疾病予防)に力を入れたり、在院日数を短くして早期に在宅療養にシフトした仕組みを作ったりするなどが必要になります。診療報酬はこうした時代の潮流に応じて2年に一度「診療報酬改定」として見直され、必要な対策への点数が高く付与されています。


 看護師にも医療の経営的な側面を理解する必要があり、国家試験でも診療報酬に関する問題が散見されるようになりました。この問題を通して、医療の財源についても関心を持ってほしいです。


執筆・解説

廣町 佐智子<日本看護研究支援センター 所長>

看護系短大・大学での教員経験ののち、2002年より日本看護研究支援センターにて、臨床看護師の看護研究指導に従事。同時に、解剖学や看護師国家試験対策の非常勤講師として、全国の看護学生の指導も経験。国家試験のすべての領域についてのわかりやすい指導には定評がある。