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第111回看護師国家試験対策|ズバリ予想問題【解説】09問

予想問題09:次のうち、老化によって低下(減少する)ものはどれか。

1.心臓の重量
2.胸腺の重量
3.末梢血管抵抗
4.感覚閾値


解答:2


1.(×) 心臓は、抵抗性の増した(通りにくくなった)血管に血液を送り出すために肥大・肥厚し、重量が増す。
2.(○) 胸腺はTリンパ球の分化・成熟に関与するリンパ性器官であり、思春期が最大で、以降は徐々に小さくなる。その結果、老年期は免疫機能全体が低下し、感染症にかかりやすくなったり、癌の発症が増加したりする。
3.(×) 加齢とともに動脈硬化が進行し、末梢血管抵抗(血管の通りにくさ)が増大する。その結果、収縮期血圧が上昇する。
4.(×) 感覚閾値とは、感じることができる最小の刺激のレベルをさす。体性感覚(表在感覚や深部感覚)、特殊感覚(嗅覚、視覚、味覚、聴覚、平衡覚)ともに閾値が上昇する(大きな刺激でないと感じない)。


なぜこの問題が出題されそうか

 老化はすべての人に非可逆的に起こります。老化に適応し、老化の程度に応じた生活を工夫することによって、高齢者は健康を維持することが可能です。しかし一方で、ちょっとした環境の変化や体調の悪化が老化を加速させ、病的状態へと悪化することも多々あります。


 看護師は、高齢者が病的状態に陥るのを防ぎ、自立生活を維持きるよう援助する必要があります。そのため国家試験でも、老化についての問題は頻出であり、様々な角度から出題されています。ここでも老化の問題を取り上げてみました。ただ少し違うのは、「末梢血管抵抗」や「閾値」などの専門用語を含め、「上昇」・「低下」が何を意味するのか試している点にあります。


 これは、国家試験問題のパターンのひとつで、問題の難易度を調整しているのです。国家試験で扱っている言葉は、すべて意味までしっかり理解できるようにしておきましょう。


執筆・解説

廣町 佐智子<日本看護研究支援センター 所長>

看護系短大・大学での教員経験ののち、2002年より日本看護研究支援センターにて、臨床看護師の看護研究指導に従事。同時に、解剖学や看護師国家試験対策の非常勤講師として、全国の看護学生の指導も経験。国家試験のすべての領域についてのわかりやすい指導には定評がある。