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【連載】看護師のための画像診断

第10回 MRIの進歩~より早く、より細かく

  • 公開日: 2015/11/9

MRIの進歩

MRIの信号は多種の情報を含んでいると前回解説しました。そのことは裏を返せば、MRIの信号は非常に複雑で、時に紛らわしい画像も得られる、ということです。これらは一般にアーチファクト(虚像)と呼ばれ、MRIだけでなく、ほかの画像でも見ることがありますが、とくにMRIでは目立つことが多いので、ここで少しふれておこうと思います。

ここで大切なことは、アーチファクトにも必ず原因・理由があって、それらは時に画像診断において重要な情報なこともある、ということです。正確な画像診断のためには、”あーーアーチファクト、アーチファクト”と通り過ぎず、何故そのようなアーチファクトが出たのか、吟味する必要もあると思います。

図1aは、頭部のT1強調画像ですが、頭の中に何やらブーメランのような形をした変な物体がいくつかあるように見えます。これらは、話の流れからしてももちろんアーチファクトなわけですが、bで画像を上下の断面と連続してみてみると、ブーメランはどうやら口の近くから飛んできているように見えることがわかります。

頭部のT1強調画像

これは、口腔内の歯科の治療用の金属によって引き起こされたものです。MRIは巨大な磁石・磁場の中で撮像していますが、良好な画像を得るためには、磁場はできるだけ均一である必要があります。磁場の強さを乱すようなものがあれば、それによって得られる画像も大きく乱れてしまう場合もあるのです。このような局所的な磁場の乱れや不均一は、人工的な金属によって引き起こされる場合だけでなく、もともと体内にある場合もあります。

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