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【連載】医療事故、あなたならどうする?

第1回 医療事故が起きてしまったらどうする?

  • 公開日: 2012/4/27
  • 更新日: 2020/10/22

高度で複雑な医療の現場では、少しの出来事が事故につながり訴訟にまで至る可能性を持っています。この連載では、もしもあなたの病棟で医療事故が起きてしまったときに、看護師として最低限知っておきたいこと、やらなければならないことをQ&Aで解説します。


Q 医療事故が起きてしまったら… 看護師はどうすればいいの?

A 現場保全、そしてすみやかに医師から警察に連絡してもらいます。

まず、必要なことは現場保全

医師法21条では、異状死(※)に遭遇したときには、医師に対し、24時間以内に警察へ届け出ることを義務付けています。

院内での対応として必要なことは第一に現場保全です。ご遺体はもちろんそのまま。もし、ご遺体を家に帰してしまった場合、警察から「隠したのか」と疑われる可能性があります。また、手術室だったら手術器具や摘出した臓器なども、全部そのまま置いておきます。後で警察が証拠として持って行く可能性がありますから。

並行して、ご家族・ご遺族への対応も重要です。早い段階でわかっていることの概要だけで もご家族・ご遺族へ伝え、「法律上の義務なので警察に届け出ますが、警察に届け出ると、警察から事情を聞かれることがあると思いますので、その際にはご協 力の程、よろしくお願いします」とあらかじめ説明しておきます。

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なお、大切なことは、ご家族・ご遺族への対応の際に、個人の判断で話をしないということで す。事実関係をすべて洗い出し、書面にまとめて、誰でも同じ答えができるところまで共通認識に整理した段階で、ご家族・ご遺族へは説明をすべきです。それ までは「事実関係を調査中です」という説明にとどめます。


異状死の判断:異状死かどうかの判断は難しいですが、各病院で作成しているマニュアルにのっとって判断 することになります。マニュアルにのっとって検討しても異状死かどうか院内で判断がつかないような場合には、とりあえず相談という形で警察に出向くという ことでもいいでしょう。


POINT1 異常死については24時間以内に届け出る義務がある

POINT2 まず、現場保全を行う

POINT3 ご家族・ご遺族への対応、ほかの病棟患者さんへの対応を行う


なるべく早期に各人の動きを時系列でまとめる

師長などの病棟管理者は、関係者に対し、できるかぎりの事実確認を行いましょう。医療事故では複数の人がかかわっていますから、誰が何月何日何時何分に訪室して誰が何をチェックしたとか、誰がシーツを換えたとか、そのような事実関係を集めて全体像を明確にしなければなりません。

人間の記憶は時間とともに薄れていきますので、できれば、なるべく早期に各人の動きを時系列にまとめたほうがいいでしょう。その場合、客観的に明らかな出来事や時間を軸として整理し、あいまいな部分はあいまいなままとし、区別してまとめてください。

なお、機器類に残っている時間とデータを軸として整理する場合でも、その機器類に設定されている時間自体が正確とは限りませんので、設定時間のズレの有無をきちんと認識しながら、整理する必要があります。

必ず書面に落とし込み、誰が説明しても同じ内容になるように準備しておくと、警察やご家族・ご遺族への対応時に役立ちます。

実は、医療事故が発生した場合の初期対応において、この作業が最も大切なのですが、関係者全員から聞き取った内容をまとめあげなければならず、非常に困難を伴うため、必ず病院全体で取り組まなければならない作業になります。

関与した人を一人にしない

警察に届け出るということは、刑事手続きに巻き込まれるということを意味します。※警察に連絡すると、すぐに(場合によっては数分で)何人もの警察官がやってきます。警察は直ちに証拠の収集と事情聴取をします。事故に直接関与した人がはっきりしている場合、その本人はとても大きく動揺することが予想されますので、※誰かが必ず付き添っておく必要があります。

その本人とすぐに連絡ができる状態であれば、必ずしも院内にいる必要はないのですが、自宅や寮に帰った後でも、誰か家族を呼ぶなどして絶対に一人にしないように注意します。

警察から呼ばれても出向かないと、「証拠を隠すのではないか」「逃げたのではないか」(これを「罪証隠滅・逃亡のおそれ」といいます)があるとみなされ、逮捕されてしまう可能性があります。

そのためにも常に連絡がとれるような状況を確保した上で、絶対に本人一人にせずに誰かが付き添っておくことが大切です。なお、警察の事情聴取の際には、当たり前ですが、「逃げない」「隠さない」「ごまかさない」が鉄則です。


POINT4 できるかぎり早期に事実確認を行うこと

POINT5 警察はすぐに事情聴取と証拠収集に来る

POINT6 直接関与した人が明確な場合は、常にフォローが大切(一人にしない)

POINT7 「逃げない」「隠さない」「ごまかさない」が鉄則


(『ナース専科マガジン』2011年2月号より転載)

※ 次回は、カルテや看護記録の取り扱いについて解説します。