第1回 薬物の体内動態を理解しよう
- 公開日: 2014/7/8
薬が体内でどのように作用し、どのように変化するのか、その基本を知ることで、患者さんの状態観察や服薬支援を効果的に行うことができます。まずは、薬の基礎知識のおさらいから始めましょう。
薬物は4つの過程を経て体内をめぐる
薬物は体内に入ってから、「吸収(Absorption)」され「分布(Distribution)」し、「代謝(Metabolism)」され「排泄(Excretion)」されます。この過程を体内動態といい、それぞれの頭文字をとってADMEとも呼ばれます。
薬物は、内服または注射などにより、循環血液中に入り(吸収)、目的の臓器や部位に運ばれます(分布)。到達した薬物はそこで薬効を発揮し、一定期間作用して肝臓へと送られ、排泄されやすいかたちへ変えられます(代謝)。そして尿や便に含まれて、体外に排出(排泄)されるのです(下図)。
吸収
薬物は、治療目的となる組織部位に到達するために、消化管や毛細血管など、いずれかの経路によって「吸収」され、循環血液中に入り込む必要があります。
人の身体は、細胞膜によって細胞内外の物質交換がコントロールされているため、薬はこうした細胞膜の機能を考慮したうえで、吸収に適した形状や量、投与経路が決められています。