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【連載】やってみよう! フットケア

最終回 これからの未来のためのフットケア

  • 公開日: 2021/12/23

今回でこの企画も最終回を迎えました。
少しは皆さんの看護の引き出しになりましたでしょうか?

いつも言うおなじみのフレーズですが看護の基本は「観察」にあり、提供するのは「心地よい安心感」ですよね。そして、ゴールは患者さん自身ができることを継続しながら、できないところをサポートしていく関係だと思います。

この企画はフットケアを行うことで患者さんが少しでも楽になるよう、看護師であればだれでもできる技術としてお伝えしました。

最後は、フットケアだけでなく、患者さんが自分の力で生活していくために必要なことを一緒に考えていくケアをお伝えしたいと思います。

1、アセスメントで大切なこと

 まず、知りたいことは「相手が今、困っていることは何か?」でしたね。

 それに基づいて、観察をして、必要なケアを組み立てていきました。

 爪切り、胼胝・鶏眼、マッサージなどを時間内に、効率よく、安全に、できる範囲でケアします。

 ケアしたことが、継続できるように指導、連携も必要になると思います。

2、実際のケアの組み立て方

アセスメントしたことをどのようにケアに反映させていくとよいのかを症例を元に解説します。

【症例1】浮指 50代女性

患者さんの困っていること

「足がとても疲れる。歩き方が悪いといわれている」という悩みあり。

アセスメント

足を見せていただくと、ほぼ全部の足指が地面についておらず、指での蹴り返しができてない状態でした。

足の指が浮いてしまっている患者さん

実際のケア(所要時間20分)

1.指が使える状態になる靴の履き方(特に紐のしめ方)を指導する
2.インソールでアーチを通常の位置に戻すようする。
指のマッサージを軽く行い、靴の紐をしめて、インソールを入れ廊下を3往復
指を意識しながら歩いてもらうと、写真のようになっていた。

ケア後の足指

これくらいになると足全体を使って身体を運ぶことができるので歩くのが楽になります。

3.次の受診時には、患者さんの感想と、足の観察を行う。
新しく痛みの出た場所がないか、確認する。

【症例2】割れた爪 80代男性

患者さんの困っていること

①靴下を履くときに爪が引っかかる。
②爪に厚みがあって靴を履いたときにつま先があたって痛みがある。

アセスメント

膝、腰などが痛く、体が曲げにくいため、爪切りが自分でできない。拇趾の爪がいつ割れたかは不明。

爪切りができていない足指

爪切りができていない足指

実際のケア(所要時間両足20分)

1.足全体の観察をする。
2.爪切りが必要と判断し、ゾンデ(ストローゾンデでもよい)をつま先に当てて爪の切る長さを決定する(図)。

ゾンデの当て方

爪の周囲(前、横、つけ根)の余分な角質をウエットティッシュなどで湿らせながら除去する。拇趾の厚い部分は皮膚から離れている部分の下層を削る(次回の爪切りを安全に行うため少し隙間を作っておくとよい)。
3.指の長さを目安に細かく爪を切る。
4.金属やすりで、爪の先端の角や前方の形をあらかた整える。
5.ガラスのやすりで丁寧に爪全体を整える。
6.舌ブラシのような毛先の柔らかいもの(はけやカット綿など)を使って爪周囲を掃除する。
7.切った後で靴を履いた状態と同じように指をつけてみて、隣の指に当たらないか確認する。
8.最後に靴を履いて痛みがないか、歩いてもらう。
9.次回の受診時には、変化がないか観察する。

【症例3】 鶏眼 70代男性

困っていること

何度も同じ部位に鶏眼ができる。靴を履くと痛む。

アセスメント

靴を履くと当たる位置に鶏眼ができている。

鶏眼のある足

実際のケア(所要時間10分)

1.皮膚キュレットを使用して、芯を取り除く。
2.出血しないように少しずつ、削る。最後は少し押して痛みがないかを確認する。

以上、最近私が行ったケアをご紹介しました。

まとめ

ケアをした後の患者さんの生活を考え、今できることの最良のケアを提供したいと考えています。私一人ができても、良い看護はできません。みんなで同じ方向を向いていきたいです。

そのために、以下を心がけていきたいと思います。

今の爪切りは患者さんが楽になると同時に、次回の爪切りが安全に行えるように考えて行うこと。
胼胝や鶏眼の処置をしたら、取り除いたことによって転倒のリスクがないか、次に作らないための予防を考えること。
マッサージは、目的をもって行い、自分が行うだけでなく患者さんや家族が継続できるように伝えておく。
足だけでなく、その人の身体全体を観察し、生活の話を聞いて少しでも維持、改善に結びつけられるケアを一緒に考える。
看護師もみんなで楽しみながら、安全にフットケアを行っていく。

最後まで、お付き合いいただき本当にありがとうございました。
このような機会を与えていただき、皆さんとつながれたことに感謝しております。
これからも困ったことがあったら、気軽にご相談くださいませ。
「人の身体のケアは無限の可能性があると思います。始めなければ何も起こらない」

HANA NURSING THERAPY
https://www.hananursing.jp/


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