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【連載】やってみよう! フットケア

第24回 フットマッサージ

  • 公開日: 2021/9/9

この企画も24回目になりました。そろそろ仕上げですね。今回は「フットマッサージ」です。


本来は全身のマッサージの一部として下肢を考えるのですが、フットケアが苦手だな、と思っている方でも、相手がどのような状況でも看護ケアとして行える末梢からのアプローチということでお伝えしたいと思います。


看護の基本は「観察」にあり、提供するのは「心地よい安心感」ですよね。
少しでも楽になるようにまずはセルフケアとしてご自分に、身近な家族やスタッフと一緒に試してみてください。


1.フットマッサージの目的

 

 フットマッサージを行う目的を明確にし、評価を行い、継続していけるようチームで記録として共有しましょう。


目的は患者さんによってさまざまです。例えば、

  • 血液循環,リンパの流れを促す。
  • 筋肉を柔らかくし,より弾力をもたせる(筋肉ポンプを使い運動をしやすくする)
  • 関節の可動域を広げる手助けをする(リハビリ前に準備運動として、後にクールダウンとして行う)
  • オイル、クリームを使用し行うと保湿効果を高める(軟膏塗布するときにも)
  • 緊張や疲労にリラックス効果を得る
  • などが挙げられます。


    2.準備

    <施術側>

  • 清潔で動きやすい服装
  • 手を清潔に、爪は短く切る(場合によっては手袋をしてもよい)
  • 手や腕に身につけている指輪や時計は相手に傷をつけないように外す

  • <患者さん側>

  • 座位、臥位等で楽だと感じる姿勢になってもらう
  • マッサージする部位以外は保温のため、掛物をする
  • 途中で動いてよいこと、痛みや苦痛を伝えられるよう説明しておく

  • 3.施術する姿勢

  • 腰や膝を痛めないように、椅子に座るなど楽な体勢で行う
  • 手だけで施術するのではなく、自分の身体の体重移動を利用する
  • 呼吸を止めないようリラックスして行う
  • 強い力で行うと相手が抵抗して硬くなるのでソフトに行う

  • 4.施術時の注意

  • 骨の上は押さないようにする
  • ゆっくりと行う(副交感神経を優位にするため)
  • 筋肉や関節をしっかりとらえられるように、オイルまたはクリームを使用するときは少量で
  • できるだけ、受け手の呼吸に合わせながら、ゆっくり、リラックスして行う

  • 5.フットマッサージを受けるのに適さない状態

  • 急性の炎症を起こしている(発熱、疼痛がある)
  • 急性の骨折や関節をひねっている
  • 本人が拒否する

  • 6.フットマッサージの手順

     一つの手技を2回ずつを基本に行ってみましょう。どの手技も力はほとんどいりません。相手の皮膚が動く程度で行います。


    両手で足をくるみ足先へ皮下が動く程度にすーっと手前に引く。
     足の冷温感、弾力等を観察しながら行います。
     ※手の当て方に特に決まりはありません。
     ※滑らない場合は少しずつチューブを絞るように足先へ移動します。



    底を土踏まずから踵にかけてゆっくりなでる(最後は踵をくるむように)。
     ※支え手でしっかりと固定しておく。
     ※土踏まずのアーチを確認しながら行う。



    指を1本ずつ指先へ向かってなでるように引く。



    中足骨をソフトに支え、足趾を一本ずつ回す。
     ※小さく円を描くように可動範囲で行う。動きやすい方だけでもよい



    足趾を両手ではさんでころがす(両手で箸をこすり洗いするように)。
     ※浮腫みのある場合は行わない



    指の付け根の関節を持ち、中足骨が互い違いに動くようゆっくり動かす。
     ※動きにくい箇所は無理に行わない
     ※全ての指の間を行う。できれば小指側からスタートする



    内果、外果の周りにゆっくり円を描く。



    かかとを持ち、足裏に軽く手を添え、かかとを数ミリ手前に引く。
     ※足裏に添えた手で押さないで、かかとを少し引くだけでよい(膝や股関節を意識して)



    に戻る。
    ※反対の足もできれば行う。患側、健側があれば健側から行う。


     このマッサージ方法は順番や回数の決まりはありません。
    行えるものだけ可能な時間に合わせ、また得意なものだけで十分です。
    マッサージ単独で行わなくても爪切り、清拭や足浴、寝衣を交換するときなどに行ってください。
    気負うことなく、患者さんとともに心地よさで緩んでくださいね。



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