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【連載】エンゼルケアQ&A

第11回 漏液があるのは腐敗の始まりですか

  • 公開日: 2013/10/27
  • 更新日: 2020/10/21

▼エンゼルケアについて、まとめて読むならコチラ
エンゼルケア(逝去時ケア)とは?目的・手順など


 家族の意向に寄り添って最期のお別れの場面を創出する「エンゼルケア」が、多くの病院や施設で実践されるようになってきています。よりよい死後ケアにつなげるにはどうすればよいのか、よくある疑問・悩みについて、エンゼルメイク研究会代表:小林光恵さんに話を伺いました。

――清拭や移送時に、側臥位にしただけで胃液が出てきました。腐敗が始まっているということでしょうか。

小林光恵さん(以下、敬称略) 臨終直後なら、腐敗ではないと思います。

――漏液があるということは腐敗ではないんですか!?

小林 エンゼルケアのセミナーや講演の中で私は、「腐敗が進むと、体内圧が高まって漏液が起こる場合があります」と説明します。その際の言葉が足りないのか、漏液があると、イコール腐敗と思ってしまう方がいるようです。

 しかし、たとえ腐敗のリスクがかなり高い方の腐敗防止の冷却でも、臨終後4時間以内、遅くとも6時間以内に実施というのが目安ですから、臨終直後の段階の腐敗は考えにくいです。

――腐敗でないとしたら、なぜ、漏液があるんですか。

小林 側臥位になると、仰向けで寝ているときと比べて、内臓や身体の状況がガラッと変わりますよね。つまり、体内の水分の有り様が変化するということです。栓をしていない水入りの湯たんぽを傾けると水がこぼれるように、体位を変えたら、その人の体内の水分状況によって漏れ出ることがあります。身体より頭を低くしても出やすくなりますね。それと、腹水がある方なども体位変換により内圧が変化して漏液、という可能性があるのではないでしょうか。
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――どこから水分が出てくるんでしょう。

小林 胃や肺から、また、状況によってはCVカテーテルを抜いたところなどから出る場合もあるようです。

――水分が漏れ出るのは、どこからが多いんですか。

小林 口や鼻からですね。ちなみに、重力の影響で下方向(仰臥位の場合、背部方向)に移動する水分が多いので、身体の後面にある開放性の傷などからも水分がしみでやすいということになります。

――体交時や移送時に、便が漏れることもあると聞きますが……。

小林 臨終の直前・直後などには、肛門の弛緩が関係して便が漏れ出ることがあるようですね。また、生前から漏れがちだった方も、引き続き漏れることがあるようです。これも、腐敗したからではありません。

――臨終直後、漏液の可能性が高いのはどんな方ですか。

小林 急死など臨終の直前まで普通に飲食していた方、病状により胃や肺に水分がたまっている方、消化管の出血などが関係している方などです。

――漏液の可能性が高い場合、どんな工夫ができますか。

小林 清拭よりもシャワー浴ができるといいと思います。

――確かにシャワー浴だと、漏液があっても洗い流せますね。

小林 はい。仰向けのままであれば身体を洗うことが可能な場合が多いですし、おっしゃる通り漏液があってもすぐに洗い流せます。

 シャワー浴ができない場合として提案しているのは、清拭の際、ご家族の方たちに上体を少し抱き起こしていただき、その間に背部など体の後面を拭くという方法です。着替えも同様の方法で。

――側臥位にしないわけですね。

小林 これまで、特に着替えの際には側臥位にすることが多かったわけですが、側臥位への体位変換は、体内の水分が漏れ出る可能性が高いので、そうしない工夫です。

――ご家族が背中を支えるのは、ベッドからストレッチャーへの抱き移しにも似ていますね。

小林 背中を支えるときにご家族が、まだぬくもりがあるのを感じることができますし、背中には熱がこもりやすいので、クーリングの効果もあり、腐敗を遅らせることにもつながります。

 それと、退院後の移送の際には頭を低くしないようにすることや、万が一漏液があった場合の対処法をご家族に伝えておくことも大切です。退院時文書に、盛り込んでおくのもいいでしょうね。

――亡くなったあと、清拭前に腸の内容物を押し出す対応をする現場もあるようですが……。

小林 少しでも体内をきれいにする、という意味で行っているようですが、私は必要ないと考えています。内容物を少し押し出しても体内の環境がよくなるわけではないですし、ご遺体は体表面と同様に内臓も脆弱になっており、強く圧迫することで内臓を破損してしまう可能性のほうが心配です。

 また、押し出す行為は時間も結構かかるので、漏れてしまった分だけ拭いてさしあげて、あとは腐敗が進まないように、素早く冷却することのほうが大事で、その時間は、爪きりとかシャンプーとか別のことに使ったほうがいいと思います。

※本記事は、株式会社医学書院のWEBマガジン「かんかん!」の連載記事をもとに再構成したものです。
看護師のためのWEBマガジン「かんかん!」はこちらから

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