第3回 ⺟乳ってすごい!②流行している感染症への特効薬
- 公開日: 2015/10/9
本連載では、医療人として、母親として理解しておきたい母乳育児について、第一人者である水野克己先生が解説します。
母乳は免疫力アップに役立つ!
母乳は新生児~乳児にとって最良の栄養です。
産後の数日間に分泌される母乳(初乳)は、抗感染物質・免疫物質・リンパ球などの細胞・抗酸化物質に富んでいます。
“無菌的”な子宮内から、様々な細菌の存在する子宮外へと生れ出た赤ちゃんが生まれてすぐに必要とするものを初乳は含んでいるのです。
また、母乳の成分はその時々に周囲で流行している感染症に対する特効薬を与えてくれます。
赤ちゃんがウイルス感染を合併したときの母乳には白血球、マクロファージ、TNF-α、ラクトフェリンなど赤ちゃんをウイルスから守ってくれる成分が増加しています。
母乳で育てられている乳児にはダイナミックな免疫防御が働いているというわけです。
なぜこのようなことができるのでしょうか?下の図に、そのメカニズムを記しました。
メカニズムとしては、
- ● 赤ちゃんが感染した病原体が母親の体内に入る
- ● 腸管のパイエル板のリンパ組織を活性化させる
- ● 活性化されたリンパ球は乳房に形質細胞(免疫グロブリン産生細胞)に分化して到達する
- ● 赤ちゃんが感染した病原体に対する特異的IgA抗体が母乳中にでていく
のようになります。
この結果、赤ちゃんはお母さんにしか作れない特効薬をもらうことになるのです。
「江東豊洲 子育て&母乳育児を支援する会(KOTOCLO)」 KOTOCLO(Koto Toyosu Childcare & Lactation Organization)は、「子育て中の母親が笑顔でわが子と向き合える社会の実現」を目指し、①両親への適切な情報提供 、②医療従事者への啓蒙活動 、③子育て・母乳育児を支援する社会の仕組みづくりを3つの柱として活動する団体です。 〒135-8577 東京都 江東区 豊洲 5-1-38 昭和大学江東豊洲病院9階総合医局内 お問い合わせ:http://www.kotoclo.com