産後の母乳育児に悩んでいる褥婦に関する看護計画
- 公開日: 2025/5/3
産後の母乳育児に悩んでいる褥婦に関する看護計画
産後は母乳育児を希望する方が多いのですが、さまざまな理由から授乳がうまくいかない方もいます。母乳育児がうまくいかないと感じると、母親の自信喪失やストレスにつながり、結果的に母乳育児の継続が困難になる可能性があります。今回は、産後の母乳育児に悩んでいる褥婦に対する看護計画を立案しました。
観察計画 O-P 母親の全身状態、精神状態を把握する。乳房・乳頭の状態、母乳分泌状況、授乳時の姿勢などを観察する。児の哺乳意欲や体重の変化、黄疸などを確認する。
援助計画 T-P 後陣痛や縫合部痛などの身体的苦痛を緩和するためのケアを行う。母親の不安や訴えを傾聴し、十分な休息が取れる環境を作る。適切な授乳姿勢のアドバイスや、乳房・乳頭の状態に合わせたケアを行う。児の哺乳量や体重、黄疸の有無により、人工乳を検討する。
教育計画 E-P 痛みを我慢せず伝えることの重要性や、児に合わせた授乳タイミングについて説明する。さまざまな授乳姿勢の指導や、乳房トラブルの予防・対処法を具体的に伝える。母親自身の適切な栄養・水分摂取と休息が、母乳育児の継続に不可欠であることを指導する。
*紹介する看護計画はあくまでも例です。この例を参考に患者さんに合わせた看護計画を作成してください。
■看護計画の書き方はこちら
看護問題リスト・看護計画の書き方|看護記録書き方のポイント2
看護問題
母乳育児に関する知識・技術不足や身体の疲労などが原因で、母乳育児が上手くいかない
看護目標
母親が自分に合った母乳育児の方法を理解し、前向きな気持ちで授乳できるようになる
観察計画 O-P
疲労感・倦怠感の程度
睡眠時間、睡眠の質
検査データ(Hb、Ht)
乳房の状態(緊満感、腫脹、熱感、疼痛の有無と程度)
乳頭・乳輪の状態(大きさ、長さ、突出状態、伸展性、損傷や疼痛の有無と程度)
母乳分泌の状態(分泌量、色、粘稠度、射乳反射の有無、乳頭開通状況)
食事・水分摂取量
後陣痛、縫合部痛の有無、程度
不安やストレスの有無、程度
母乳育児に関する知識の有無、程度
授乳時のポジショニング(姿勢、高さ、リラックス度)
吸着の状態(深さ、吸着時の児の口の形)
児の哺乳状況(哺乳意欲、吸啜力、哺乳回数、哺乳量)
児の体重変化
児の黄疸の有無と程度(ビリルビン値)
児の排尿・排便の回数、量
援助計画 T-P
縫合部痛、後陣痛のケアを行う
母親の不安や訴えを傾聴する
母親の希望に応じて、児との適切な距離感を調整する
不必要な訪室は避け、母親の休息を優先する
乳房マッサージ、温罨法・冷罨法など、乳房の状態に応じたケア行う
乳頭トラブルがある場合、適切なケアを行う
状況によって児へ人工乳を与える
教育計画 E-P
後陣痛や縫合部痛の痛みが増強している場合は、伝えてもらうように説明する
児の睡眠覚醒リズムと適切な授乳タイミングを説明する
さまざまなポジショニングでの授乳法を指導する
乳房トラブル(乳房緊満、乳頭痛、乳腺炎など)の予防法と早期の対処法について説明する
母親自身の栄養バランスの取れた食事、十分な水分摂取、休息の重要性について説明する