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【連載】症例ごとに看護計画を紹介!

産褥期のウェルネスに関する看護計画

  • 公開日: 2025/5/5

産後の全身状態の回復が遅れている褥婦に関する看護計画

 分娩時の出血過多や合併症、十分な休息が取れないことなどが原因で、産後の全身状態の回復が遅れることがあります。回復の遅れは、身体的・精神的な負担を長引かせ、育児へのスムーズな移行を妨げ、産後うつなどのリスクを高める可能性があります。また、褥婦は痛みや疲労感から活動が制限され、不安を感じやすい状態です。今回は、産後の全身状態の回復が遅れている褥婦に対する看護計画を立案しました。

POINT

観察計画 O-P 廃用症候群の予防は早期離床や活動量の維持・増加が重要となる。そのため、呼吸状態や創部の疼痛の程度など、術後の全身状態を把握する必要がある。

援助計画 T-P 後陣痛や創部痛に対して適切な緩和ケアを行う。十分な休息が確保できる静かな環境を整える。子宮底マッサージや早期離床、産褥体操、栄養・水分摂取を促し、身体的回復を促す。褥婦の訴えや不安に丁寧に耳を傾け、精神面へのケアも行う。

教育計画 E-P 痛みが強くなる場合は、我慢せず伝えるように指導する。 子宮の回復を促すケアや産褥体操の方法を理解し実践するように伝える。回復するには十分な休息、栄養・水分摂取が大切ということを説明する。

*紹介する看護計画はあくまでも例です。この例を参考に患者さんに合わせた看護計画を作成してください。

■看護計画の書き方はこちら
看護問題リスト・看護計画の書き方|看護記録書き方のポイント2

看護問題

分娩による身体的ダメージや疲れ・痛みなどから産後の回復が遅れている

看護目標

産褥期の身体的回復が促進され、セルフケア行動や育児が積極的にできるようになる

観察計画 O-P

バイタルサイン[体温、脈拍、呼吸数(呼吸困難の有無含む)、血圧]
疲労感の有無、程度
睡眠状況(時間、熟眠感)
精神状態(気分の変動、不安、ストレス)
後陣痛・縫合部痛の有無、程度
子宮底長
子宮の硬度
悪露(色、量、性状、臭気)
縫合部の状態(発赤、腫脹、疼痛、離開、浸出液の有無)
乳房の状態(緊満、熱感、疼痛、乳汁分泌状況)
授乳の有無、回数
排尿・排便回数
浮腫の有無、程度
食事・水分の摂取量
検査データ(Hb、Ht、WBC、CRP、BUN)
ADLの自立度(洗面、更衣、トイレ動作、歩行、シャワー浴など)

援助計画 T-P

後陣痛、縫合部痛に対するケアを行う
静かで落ち着ける環境を提供し、十分な休息・睡眠がとれるよう配慮する
子宮底の輪状マッサージを行う
早期離床を促し、医師の許可のもと産褥体操を行う
栄養バランスの取れた食事摂取と十分な水分摂取を促す
褥婦の訴えや不安を傾聴し、共感的態度で寄り添う

教育計画 E-P

産後の疼痛(後陣痛・縫合部痛など)の対処法を説明する
痛みの増強があれば、我慢せずに報告するように指導するbr< 子宮復古を促すケアの必要性と具体的な方法を指導する
産褥体操の必要性、具体的な方法、効果について説明・指導する
身体的回復のために、十分な休息と睡眠、食事・水分摂取が不可欠であることを説明する
回復には個人差があるため焦らず自分のペースで過ごし、体調を優先することの重要性を伝える


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