保湿の基本を学ぼう【PR】
- 公開日: 2025/2/19
保湿の基本
保湿の目的
保湿の目的は、皮膚のバリア機能を保つことです。また、壊れたバリア機能を修復するはたらきも担っています。どんなにやさしく洗浄しても、汚れとともに皮膚表面の皮脂膜も取れてしまうので、洗浄後には必ずしっかりと保湿をします。さらに、洗浄後だけでなく、乾燥を認めたら随時、保湿剤を塗るようにしましょう。
保湿剤の特徴と使い分け
保湿剤には、皮膚に水分を補うモイスチャライザーと、水分が逃げないようにフタをするエモリエントがあります。モイスチャライザーは、角質細胞間脂質の主な成分であるセラミドが配合されているものがよいと思います。最近では、細胞間脂質のラメラ構造を保つため、セラミドをラメラ構造化した保湿剤もみられます。エモリエントとしては、ワセリンを基剤にしたクリームが一般的だと思います。また、セラミドとワセリンが配合され、モイスチャライザーとエモリエントを兼ねる保湿剤もあります。
軟膏、クリーム、ローション、フォームなどさまざまな種類があります。
毎日続けるものなので、季節や時間帯、塗る場所に応じて、使いやすい剤形を選びましょう。例えば、朝の忙しい時間帯は短時間で塗ることができるフォームやローション、時間に余裕があるときは軟膏やクリームを選ぶとよいでしょう。
表1 保湿剤の種類
種類 | 分類 | 長所 | 短所 |
ワセリン | エモリエント | 刺激が少ない | ベタつきがある |
ヘパリン類似物質 | モイスチャライザー | 保湿効果が高い ベタつきが少ない ソフト軟膏、クリーム、ローション、フォームといった剤形がある | 刺激を感じることがある |
セラミド配合 | モイスチャライザー | 保湿効果が高い 刺激が少ない |
コストが高い |
図1 モイスチャライザーとエモリエントの違い
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保湿の手順
洗浄や清拭のあと、まずモイスチャライザーで水分を与え、その上からエモリエントを塗るのが基本です。FTU(Finger Tip Unit)の原則にのっとり、人指し指の第一関節分のクリームを、手のひら2枚分の面積に塗ります。ローションタイプの場合は、手のひらに1円玉大に出した分が1FTUです(図2)。
図2 保湿剤の目安 1FTU
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クリームなどを手に取ったら、まず手のひらに伸ばして温めてから、皮膚にのせていく感じで、やさしく、肌理(きめ)に沿って塗っていきます。皮膚の肌理(きめ)は、身体のどの部位でも横方向に走っているので、長軸方向に塗り伸ばすのではなく、回すようにしながら塗っていきます(図3)。
図3 保湿剤の塗り方
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伸ばし方は、皮膚の肌理(きめ)に沿うことが効果的です。手のひらを使って手先から上に向かってではなく、横に向かって、擦りこまずやさしく塗り広げましょう。
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このように先にクリームをのせて伸ばしていくのでもよい
保湿のコツ・注意点
患者さんに合わせて使用を勧める
モイスチャライザーにエモリエントを重ねるのが、やはり保湿効果が高く、皮膚を健康に保てるという実感があります。女性はローションの上にクリームという重ね塗りに慣れている人も多いのですが、そのような習慣がない男性の場合などは、実践が難しい場合があります。またアドヒアランスの低い方も、2種類の保湿剤を使うのは難しいかもしれません。そのような場合は、モイスチャライザーとエモリエントを兼ねた保湿剤にすれば、1回塗るだけで済むため、長く続けていけるかもしれません。とはいえ、皮膚の乾燥が強く、しっかりとした保湿が必要だと判断した場合は、保湿の必要性をよく説明し、2種類の保湿剤を使った保湿をお願いすることもあります。
使いやすいものから様子をみる
患者さん自身が、普段、保湿をどのようにしているかを聞くことも大切です。いつも使っている保湿剤で十分なのであれば、そのまま使うようにします。保湿剤は基本的に、あまりべたつかないもの、柔らかいもの、軽いものが使いやすいと思います。特に保湿に慣れていない方は、最初から重いハードなタイプを使うのはハードルが高いので、軽いものから使ってみて、保湿効果が不十分なら、少しずつグレードを上げていくようにするほうがよいでしょう。単独で使うことはあまりないかもしれませんが、ワセリンのような硬いものは、扱いにくいうえに、温めて柔らかくしてから塗り広げましょう。皮膚に負担をかけないようにすることが大切です。
保湿剤によっては、含まれる成分が身体に合わず、かゆみなどの症状が現れる場合もあるため、使ってみて皮膚に異常が出ないか、確認することも大切です。保湿成分が入った入浴剤も、健康な皮膚にはよいと思いますが、皮膚疾患がある場合は、皮膚科医の指示を仰いでください。
ストーマ、創がある部位、テープを貼る部位の場合
ストーマや創がある場合などは、より適切な保湿剤に変更する必要があるかもしれません。特にテープを貼る必要がある方の場合、保湿剤によってはテープがつかなくなるため、テープを貼る部分だけでも、テープが貼れる保湿剤に変更するようお願いしています。
継続できる方法を指導する
患者さんの皮膚の状態や生活習慣、スキンケアへの理解度、アドヒアランスなどを総合的に判断したうえで、その人が長く続けられるよう指導することが大切です。保湿剤は、高価なものほどよいというわけではありませんから、その患者さんに合ったもので、病院の売店で買えるものや市販のものなど、入手しやすいものを紹介するようにしましょう。
当院では以前、保湿ができていない状態で手術に入り、術中にひどいスキン-テア(皮膚裂傷)を起こしてしまったケースがありました。それを機に、手術をする患者さん全員に保湿をお願いする文書を配って、患者さん自身に協力を仰いでいます。先日、ある手術をする患者さんから、「保湿でしょう? 言われたから、やってきましたよ」と言われ、患者教育の大切さを実感しました。スキンケアは看護師だけが頑張ってもうまくいきませんし、入院中はできても、退院後にしなくなるようではいけません。スキントラブルが生じたとき、看護師が自分達の看護が悪かったのではと悩んで疲弊してしまうのも避けたいものです。患者さん自身がスキンケアの必要性や方法を理解し、セルフケアができるような方向性に変えていくことが大切ではないかと思います。
2 洗浄後には、必ずしっかりと保湿する。洗浄後だけではなく、乾燥を認めたら随時保湿することを推奨する
3 保湿剤は、やさしく、肌理(きめ)に沿って塗るとよい。皮膚の肌理(きめ)は、身体のどの部位でも横方向に走っているので、長軸方向に塗り伸ばすのではなく、回すようにしながら塗るとよい
4 保湿剤には、モイスチャライザーとエモリエントがあり、目的によって使い分けるとよい
5 患者さん自身が普段、どのように保湿しているかを確認し、本人に合った方法を考える
敏感肌にも使えるミノンシリーズ
ミノン全身シャンプー泡タイプ
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顔、身体、頭が一本で洗える泡タイプの全身シャンプー。バリア機能を守って洗う「植物性アミノ酸系洗浄成分」配合。弱酸性、無香料。
[医薬部外品]販売名:ミノン全身シャンプーW
500mL、400mL(つめかえ用)
ミノン全身保湿ミルク
ミノン全身保湿クリーム
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敏感肌、バリア機能が乱れやすい肌を支える全身に使える「塗るミノン」。広い範囲のケアにはべたつかないミルクタイプ、乾燥のつらい部位にぴたっと密着感のあるクリームタイプ。
[医薬部外品]販売名:DSミルクz
200mL、400mL、320mL(つめかえ用)
販売名:DSクリームz
90g
詳しい製品内容についてはこちら → https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/site_minon/
がん治療の皮膚ケア情報サイト はだカレッジ
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薬物療法の皮膚障害の情報を提供するサイト。
患者・家族向けの情報と医療従事者向けの情報を掲載。
医療従事者向けでは、「皮膚に学ぶ・薬に学ぶ・症例から学ぶ」「外来で役立つ・病棟で役立つ・生活で役立つ」の6つテーマに分けた情報が得られます。