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【連載】スキンケアの基本を学ぼう!

洗浄の基本を学ぼう【PR】

  • 公開日: 2025/2/18
  • # 注目ピックアップ
  • # スキンケア

洗浄の基本

洗浄の目的

 洗浄の目的は、皮膚表面に付いた汚れを取り除き、皮膚を清潔に保つことです。いらない汚れは取りつつも、残さなければいけない皮脂膜を保護することが大切です。皮膚は必ず汚れますので、洗浄は皮膚のターンオーバーにとっても、皮膚の健康にとっても重要だと思います。

どのような洗浄剤を使用するとよいのか

 市販されている洗浄剤には、アルカリ性や弱酸性のものがあります。基本的に、pHが高いほど(アルカリ性に傾くほど)洗浄力は強くなります(図1)。ヒトの皮膚は弱酸性(pH4.5〜6)のため、アルカリ性の洗浄剤は皮膚に刺激を与えてしまいます。

図1 酸性とアルカリ性

弱酸性とアルカリ性の説明図

 健康な皮膚であれば、アルカリ性の洗浄剤で皮膚がアルカリ性に傾いても、すぐに弱酸性に戻るため問題はありません。しかし、高齢者の乾燥している皮膚、脆弱化している皮膚のようにトラブルを抱えた皮膚はもともとアルカリ性に傾いていて、アルカリ性の洗浄剤を使うとさらにそれを助長させてしまいます。そのため、洗浄剤は弱酸性のものが適していると思われます。

 弱酸性洗浄剤には、角質層にある角質細胞間脂質の成分の1つであるセラミドが含有されていて保湿効果が期待できるものもあり、乾燥が強い場合は考慮するのもよいでしょう。

 一般的に、乳児用の洗浄剤は皮膚にやさしいというイメージがあります。乳児の皮膚は、生後2カ月くらいまで顔や頭の皮脂の分泌が盛んです。そのため乳児用の洗浄剤は皮脂を落とす力の強いアルカリ性の強いものが多いため注意しましょう。

 足白癬やカンジダ症など真菌感染症を起こしている場合は、ミコナゾール硝酸塩など抗真菌成分配合の洗浄剤を使うとよいでしょう。おむつをしているところやストーマの面板の下も、真菌感染対策が必要です。

 洗浄剤はよく泡立てて使うことにより、汚れを浮き上がらせる効果があり、皮膚への摩擦を抑えることもできます。洗浄剤には液体や固形などの種類がありますが、泡タイプの洗浄剤が簡便で使いやすいと思います。

洗浄の手順

 洗浄は、顔、上肢、体幹、下肢、陰部、足底のように、汚れが少ない部分から順に進めていきます。感染のおそれのある部位は最後にし、他への広がりを防ぎます。炎症や創のある部位は、個別に行うとよいでしょう。

ベッドサイドで洗浄を行う場合

 ベッドサイドでは洗い流すことはできないため、拭き取りだけで済む泡タイプの弱酸性洗浄剤を使用し、清拭で行います。洗い流すタイプの洗浄剤は、拭き取りだけでは皮膚がかぶれてしまいます。局所的にボトルなどを使い洗い流す方法もありますが、ボトルを使用して洗い流す場合には、感染の引き金になり、環境汚染につながる可能性があることに注意します。

拭き取りだけで済む泡タイプの弱酸性洗浄剤を使用方法

①清拭をする部位に、グローブをつけた手に泡をのせます(タオルの準備をしている間、1~2分そのままにしておきます)。
②適温(40~42℃)のホットタオル(ディスポーザブルタイプ)を用意します。
③ホットタオルを広げ、温度を確認したうえで、泡が残らないように、やさしく拭き取っていきます。決して擦らないようにし、タオルをそっと押し当てるような感覚で拭き取ります。

入浴時に行う場合

 湯船につかる前よりも湯船につかった後に洗浄したほうが、汚れは取れやすくなります。ただし、他の人への配慮などで先に洗浄が必要な場合は、少しお湯を浴びて汚れを浮き上がらせてから洗浄剤をのせたほうが効果的だと思います。

①洗浄剤を十分に泡立ててから、手で泡を身体にのせます。
②決して擦らないようにし、手で泡を押しつぶす感覚で洗っていきます。
 背中など手が届かない部位は、家族にサポートしてもらうか、柔らかい毛の柄付きのブラシを使って、やさしく洗うのがよいでしょう。
③泡が残らないようお湯で洗い流します。
 弱酸性洗浄剤、特にセラミドなど保湿成分が入った洗浄剤は、洗い流してもぬめり感が残ります。完全に洗い流そうとすると皮膚に負担がかかり、また保湿効果も低下するため、泡がなくなる程度に留めておきます。
④入浴後は、タオルをやさしく押し当てるようにし、水分を拭き取ります。
 洗浄と同様に、ゴシゴシと擦らないように注意します。

洗浄のコツ、注意点

愛護的なスキンケア

 洗浄は重要なケアですが、汚れとともに皮脂膜によるバリア機能まで取り除いてしまうと、皮膚への負担が生じます。できる限り、愛護的なケアを心がけましょう。また、熱すぎるお湯も皮膚の乾燥を助長させます。お湯の温度の目安は39~40℃とするとよいでしょう。

洗浄・清拭の頻度

 過剰な洗浄は皮膚に負担がかかるため、1日1回の頻度が基本です。大量の汗をかいたりして、そのままでは衛生的に問題がある場合は、必要に応じて洗浄や清拭を行います。

洗い残しが多い部位

 関節、足の指の間、鼠径部、シワやたるみがあり皮膚と皮膚が密着している部位は汚れが残りやすいです(図2)。蒸れやすく、真菌感染が発生しやすいですから、足の指などはよく開いて洗うことが必要です。

図1 洗い残しが起こりやすい部位

洗い残しが多い部位の図

排泄物や軟膏などが固着している場合

 便などの排泄物や軟膏が固着している場合は、清拭だけでは除去しきれないことがあります。あらかじめオリーブオイルを塗布してから、濡らしたガーゼなどでやさしく拭き取っておくとよいでしょう。

 非常に落ちにくい軟膏の場合は、落とすことで新たな傷をつくってしまうおそれもありますので、べたつきの少ない基剤のものに変えてもらうよう、医師にコンサルトするのもひとつの方法かと思います。

患者さんへの指導

 洗浄で重要なのは、決して擦らず泡でやさしく洗うことです。特に避けたいのは、皮膚への刺激が強いナイロンタオルの使用です。

 患者さんの中にはゴシゴシ洗わないと洗った気がしないという人が少なくありません。擦って洗うとかゆみが誘発されること、擦らなくても汚れが十分に落ちることをきちんと説明し、患者さんの理解が得られるように努めます。

 ただし、長年培ってきた生活習慣を変えるのは容易なことではありません。患者さんの心情や身体状態、家庭環境にも配慮し、継続しやすいケアをともに考えていくことが大切です。

患者さん・家族の協力

 入院中には、洗浄剤などスキンケアに必要な製品を患者さんや家族に購入してもらうことになります。協力が得られるように、スキンケアの必要性、重要性をよく説明することが大切です。

 当院では、入院時に推奨する石鹸について説明する文書を配って、病棟で使う洗浄剤の統一をお願いしています。さらに、看護師にスキンケアゼミを開講し、同じケアができるように、同じことが言えるように教育しています。ケアを統一することで、スキントラブルの予防につなげています。

 在宅の場合は、退院後もセルフケアを継続できるように、患者さんや家族には、使いやすさや価格にも配慮した提案をするようにしましょう。

洗浄のポイント
1 ヒトの皮膚は弱酸性(pH4.5〜6)のため、アルカリ性の洗浄剤は皮膚に刺激を与えてしまうため、使用する人によって考慮する
2 泡でやさしく洗い、ナイロンタオル等でゴシゴシと洗わない
3 熱いお湯は皮膚の乾燥を助長させる。お湯の温度の目安は39~40℃
4 洗浄は1日1回が基本
5 水分を拭き取る際は、タオルでゴシゴシと擦らず、押し拭きにする
6 便などの排泄物や軟膏が固着していて、清拭だけでは除去しきれない場合は、あらかじめオリーブオイルを塗布してから、濡らしたガーゼなどでやさしく拭き取る


敏感肌にも使えるミノンシリーズ

ミノン全身シャンプー泡タイプ

第一三共ヘルスケア_ミノン全身シャンプー泡タイプ


顔、身体、頭が一本で洗える泡タイプの全身シャンプー。バリア機能を守って洗う「植物性アミノ酸系洗浄成分」配合。弱酸性、無香料。


[医薬部外品]販売名:ミノン全身シャンプーW
500mL、400mL(つめかえ用)



ミノン全身保湿ミルク
ミノン全身保湿クリーム

第一三共ヘルスケア_ミノン全身保湿ミルク


敏感肌、バリア機能が乱れやすい肌を支える全身に使える「塗るミノン」。広い範囲のケアにはべたつかないミルクタイプ、乾燥のつらい部位にぴたっと密着感のあるクリームタイプ。


[医薬部外品]販売名:DSミルクz
200mL、400mL、320mL(つめかえ用)
販売名:DSクリームz
90g


詳しい製品内容についてはこちら → https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/site_minon/


がん治療の皮膚ケア情報サイト はだカレッジ


第一三共ヘルスケアのはだカレッジ画像

薬物療法の皮膚障害の情報を提供するサイト。
患者・家族向けの情報と医療従事者向けの情報を掲載。
医療従事者向けでは、「皮膚に学ぶ・薬に学ぶ・症例から学ぶ」「外来で役立つ・病棟で役立つ・生活で役立つ」の6つテーマに分けた情報が得られます。

https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/site_hada-college/hcp/

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