【連載】がん治療中も“その人”らしい生活を―患者さんの治療継続を支えるアピアランスケアの取り組み
研修で知ったアピアランスケアを院内でも実践―横浜南共済病院での取り組み【PR】
- 公開日: 2026/2/20
アピアランスケアは、医療従事者が患者さんのがん治療を支えるために必要なケアであることへの気づきから始まります。そこから取り組みを組織全体に広めていくためにはどうすればよいのでしょうか。今回は、2018年からアピアランスケア教室の開催やがんサロンでの相談支援を行っている横浜南共済病院の取り組みについて、平賀久仁子さんと井村沙耶花さんにお話を伺いました。
安心してがん治療を継続してもらうためのアピアランスケア
――がんのアピアランスケアを実施することになったきっかけを教えてください。
平賀さん 近年、男女ともに幅広い年代でがん化学療法を受ける患者さんが増加していますが、なかには外見の変化への不安から、脱毛の副作用がある抗がん薬の選択を避ける患者さんもいます。患者さんに安心してがん治療を継続してもらうために、がん治療に伴う外見の変化に対して何かできることはないかと考えていました。2017年に横浜市が医療従事者向けに開催したアピアランスケアの研修会への参加をきっかけに、院内の研修会でアピアランスケアを取り上げました。
井村さん 以前は脱毛の副作用に対していつ頃から脱毛が始まり、治療終了後に生えてくるといった説明が中心でした。患者さんが治療中の外見の変化を気にしていることはわかっていても、どのようにアプローチをすればよいかわからないスタッフが多かったと思います。平賀さんが企画したアピアランスケアの講義を聞いたことがきっかけで、アピアランスケアというものがあるのだと知ることができました。院内の研修会には医師やコメディカルも参加していて、皆びっくりして、こういうことがあるんだなと衝撃を受けた感じでした。
――がんのアピアランスケアに関する活動はどのように進めていきましたか。
平賀さん 組織として取り組むためには、看護師長などの管理者にアピアランスケアを知ってもらう必要がありました。がん治療に伴う外見の変化に悩む患者さんのこと、その人らしさを維持しつつ治療を受けてもらいたいという思いとともに、アピアランスケアの重要性をアピールしました。研修会修了者を中心にワーキンググループを立ち上げ、2018年には患者さん、家族向けのアピアランスケア教室を開催することができました。
井村さん そのタイミングで横浜市からアピアランスケアに対する助成金が出たことも活動を後押しすることになったと思います。助成金を使って爪のケア用品やカバーメイク用品などを購入しました。
アピアランスケア教室の開催は、院内へのポスター掲示や外来や入院患者さんへの個別の声がけなどでお知らせしました。患者さんはもちろん、家族だけの参加もありました。また、乳がん体験者のための患者会でもアピアランスケアについて紹介しました。
アピアランスケア教室は2回開催したところでCOVID-19の流行があり、それ以降は化学療法室や各病棟で個別に相談対応となりました。現在は化学療法室や病棟での個別対応、常設のがんサロンでの相談対応、がんサロンでのアピアランスケアのミニ講座を年に1回開催しています。
大事なのはがん治療中もその人らしくいられること
――がんのアピアランスケアに携わって感じたこと、変わったことを教えてください。
平賀さん 年齢や性別を問わず、患者さんの価値観、生活スタイルが各自異なるのと同じように、外見の変化に対する思いは個人差が大きいと感じます。例えばウィッグや帽子を使いたい人もいれば、必要としない人もいます。大事なのはがん治療中もその人らしくいられることだと思います。
井村さん がん治療中でもQOLを向上させるためにできることがあること、学んだ知識を患者さんに還元できるようになったのは大きな変化だと感じます。
――アピアランスケアを周知するためのスタッフ向けの取り組みを教えてください。
平賀さん 国立がん研究センター中央病院のアピアランスケアe-learningの受講を勧めています。また、年1回希望者を対象に、院内でスタッフ向けのアピアランスケア研修会を開催しています。
井村さん 当院では、看護部のキャリアラダーのなかに院外研修の支援があり、それを使って国立がん研究センター中央病院のアピアランスケアe-learningを受講する看護師もいます。また、関心の高い看護師は自己研鑽として受講しています。
――現在、外来でがん化学療法を受けている患者さんにはどのように対応しているのでしょうか。
平賀さん 外来に限らず、すべてのがん化学療法を受ける患者さんには保湿の重要性、紫外線対策について丁寧に指導しています。ただ、スキンケアの習慣がない男性の場合、指導の難しさを感じることもあります。
アピアランスケアについては化学療法の点滴中に相談に応じているほか、化学療法室の入口の掲示板にがんサロンのミニ講座のポスターを掲示しています。また、がん化学療法開始前のオリエンテーションを行うスペースにも院内で作成したリーフレット、横浜市で作成したアピアランスケアのリーフレットや製品のパンフレット、ウィッグの見本などを置いています。
これに対し、抗がん薬の内服治療の患者さんとは接点をつくるのがなかなか難しいと感じています。インフォームドコンセントの折などに、看護師が「がんサロンありますよ」と紹介するのもひとつの手と考えています。
井村さん 爪のケアなども独自に資料を作成して患者さんにお渡ししています。基本として保湿をしっかり行うことと、障害が出てきた際の対処について説明しています。抗がん薬による爪の変色は、他人から見ても気にならないことが多い一方、患者さん自身が気になってしまうことが多い副作用です。治療中はマニキュアをしてはいけないと思っている患者さんもいるため、マニキュアをしてもよいことを伝えると喜ばれます。


自分に似合うウィッグとの出合いががん治療の支えに
――がんのアピアランスケアを実施していて印象に残っていることを教えてください。
平賀さん 脱毛の副作用に不安を感じていた患者さんがウィッグをつけて来院したとき、「このウィッグに出合っていなければ、がん治療を続けていけなかった」と話してくれたのが強く印象に残っています。ウィッグは価格に関係なく、その人に合ったものをつけることが一番です。似合ったウィッグによって気持ちが前向きになるということ、逆に言えば患者さんにとって脱毛は本当につらいものなのだということを改めて感じました。
井村さん 外来通院時に素敵なウィッグをつけてメイクをしている姿を見て、病棟で見知った患者さんの姿との違いに驚いたことがあります。血液内科の病棟では、白血病のように命を守るためにはすぐに化学療法を開始しなければならない患者さんもいて、アピアランスケアは後回しになりがちです。患者さんも受け止めなければいけないことがたくさんあって、なかなか頭に入らなかったりしますので、退院が見えてきたころに、脱毛やウィッグについて改めて話をしています。退院後のきれいにウィッグをかぶった姿を見て、アピアランスケアはやはりとても大事なものだと思いました。
――課題と今後の展望を教えてください。
井村さん 一番の課題はアピアランスケアの知名度が低いことだと思います。患者さんはもちろんですが、医療従事者でもまだまだ低いと感じています。
平賀さん 院内の研修会でも関心がある人は参加しますが、そうでないスタッフに広めていくことが課題です。看護師みんながそうなるのは難しいかもしれませんが、患者さんが困っているときに自信をもって説明できるようになってほしいと思っています。がんのアピアランスケアは、患者さんが治療を継続していくうえで非常に大事なことです。あとは、がんサロンをもっとオープンな場にしていく必要があると感じています。
がん患者さんはインターネットや書籍などで多くの情報を収集しています。私たちも常にアンテナを張って最新の情報を収集し、患者さんのケアや相談に対応していきたいと思います。
井村さん アピアランスケアに関心をもって取り組んでいる看護師がいる病棟とそうでない病棟で相談対応に差があるのが現状です。私は病棟勤務なので、自分の所属している病棟で何回かミニレクチャーを行って、ケアについて説明しています。病棟のなかで患者さんから相談を受けたときに適切にアドバイスができる看護師をもっと増やしたいと思っています。
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がん治療の皮膚ケア情報サイト はだカレッジ

薬物療法の皮膚障害の情報を提供するサイト。
患者・家族向けの情報と医療従事者向けの情報を掲載。
医療従事者向けでは、「皮膚に学ぶ・薬に学ぶ・症例から学ぶ」「外来で役立つ・病棟で役立つ・生活で役立つ」の6つテーマに分けた情報が得られます。
