【連載】がん治療中も“その人”らしい生活を―患者さんの治療継続を支えるアピアランスケアの取り組み
アピアランスケア相談窓口の立ち上げ―静岡県立静岡がんセンター 外来患者支援室での取り組み【PR】
- 公開日: 2026/2/18
静岡県立静岡がんセンターは、静岡県がん診療連携拠点病院、特定機能病院、そしてがんゲノム医療中核拠点病院に指定されており、高度ながん医療を提供する病院としての機能を有しています。「患者さんの視点の重視」を基本理念とし、多職種チーム医療で患者さんを治し支える仕組みを構築しています。患者家族支援センターでは、初診から退院に至るまで切れ目なく、専門のスタッフが患者さんや家族を支援しています。今回は、患者家族支援センターの外来患者支援室内に、アピアランスケア相談窓口を立ち上げた福崎真実さんにお話を伺いました。
がんのアピアランスケアを実施することになったきっかけ
静岡県立静岡がんセンターでは、厚生労働省の令和5年度アピアランスケア支援モデル事業(図1)の医療機関に選ばれたことをきっかけに、アピアランスケア体制の構築を実施することになり、2023年12月に外見の変化に特化した「アピアランスケア相談窓口」を、患者家族支援センターの外来患者支援室の中に開設しました。
図1 令和5年度アピアランスケア支援モデル事業
患者家族支援センターでは、患者さんと家族が安心して治療を受け療養生活を送れるように、専任の看護師が話を聞き、相談の内容に合わせて多職種で支援を行っています。このうち外来患者支援室は、外来で診療を受ける患者さんと家族のさまざまな不安や悩みを和らげるための支援をしています。専門看護師、認定看護師のみで構成されていて、患者さんの意思決定支援やそのマネジメントを行う専門的な部門です。
具体的にアピアランスケア相談窓口で何をやるのかを考えるにあたり、まずは現在、外来部門の現場でどのようなケアが行われているか、実態把握から始めました。そして、それぞれのケアについて現場スタッフが行うものと、アピアランスケア相談窓口が引き継ぐ難易度の高いものに分類していきました。皮膚障害、爪障害、脱毛、ストーマ、乳がん関連、四肢切断、顔面の変形など部門ごとに、誰が対応するか、どこまでを現場のスタッフがやるのかをひとつずつ決めていきました(図2)。
図2 静岡県立静岡がんセンターのアピアランスケアにおける役割と支援
外来治療が始まるときに、外来のスタッフ、化学療法センターや放射線部門の看護師たちに、最低限ここまではやってくださいというケアの内容を教育して、記録の書き方を統一し、テンプレートを作りました。さらに問題が生じたときには、アピアランスケア相談窓口に案内するというルールを作りました。相談窓口を予約する必要がありますので、アピアランスケアの予約枠を新設し、外来で対応できないケースは、予約を入れてアピアランスケア相談窓口に引き継げるようにしました。
外来のスタッフからは負担が増えるという声も挙がりましたが、ここまではきちんとするというラインをしっかりと引いて、それを越えてスタッフが対応しきれないケースはアピアランスケア相談窓口につなげるというルールを徹底しました。
スタッフのケアを統一し患者さんに対応する
実際に相談窓口を立ち上げてみると、まずはスタッフがケアをし、対応しきれない場合はアピアランスケア相談窓口に行ってもらうという流れは、そのとおりになりました。相談内容としては、眉毛やまつ毛の脱毛に対するメイクの仕方や、色素沈着が起きたときのカバーメイク、そして職場に支障がなくて爪の色素沈着を隠せるようなマニキュアの色の選定などが多いように思います。ウィッグを選びに来ることもありますが、ウィッグについては院内の美容室にも相談が分散しているようです。脱毛のケアは基本的には外来スタッフが行っていますが、髪の毛の洗い方や、再発毛に関することのように具体的になってくると、スタッフには難しいこともありますので、相談窓口で対応しています。皮膚障害については、スタッフでの対応が難しい場合は皮膚・排泄ケア認定看護師がみる、さらに難しい場合は皮膚科の医師にみてもらうという流れで、医師とも連携しています。
アピアランスケア相談窓口に来る患者さんは月に10人程度で、それほど多くはありません。月80件くらい外来スタッフが対応していて、そのうちの10件程度がこちらに回ってくるという感じです。静岡がんセンターでのアピアランスケアは、特別な場所で特別な人だけが行うのではなく、患者さんが相談しやすい場や環境を作り、誰でも対応できるようにしていきたいと思っています。
顔面の変形や眼球摘出、広範囲切除など、外見の大きな変化は隠すことができず、患者さんにとっても外来看護師にとっても対応が難しい場面が多くあります。そのため、外来看護師と相談窓口が連携しながら、時に一緒に悩み、どう支えるべきかを相談し合いながら対応し、必要に応じて相談窓口で継続支援を行う体制をとっています。
変わった外見とどう生きていくか、すぐに受け入れられない時期も含めて、患者さん・外来看護師・相談窓口の三者で対話しながら、時間をかけて歩んでいくことが必要だと考えています。
まずは現場で対応する仕組みを作る
静岡がんセンターは、厚生労働省のモデル事業に参画したため、病院内の理解がありスムーズに進められましたが、そういう支援がない場合、看護師側から相談窓口を立てること自体、なかなか大変なのではないかと思いました。
仕組みを作るにあたって、認定看護師にも協力してもらいましたが、自分たちの役割を言語化するのが難しいと感じているようでした。自分たちがすべてのケアをするのではなく、一般のスタッフにどこまで任せ、どの段階から認定看護師が担当するとスムーズな仕組みになるか、枠組みを作成して項目を埋めていくようアドバイスしました。いったん仕組みを作れば、現場の看護師と認定看護師がとてもよい動きをしてくれていて、自分がすることは何もないくらいでした。
静岡がんセンターでは、現場のなかでいかにアピアランスケアを実施するかに重点を置き、アピアランスケア相談窓口は最後の砦にすると決めていました。現場では、静岡がんセンターで作成している患者さん向けの基本的なケアのパンフレット(図3)に載っているケアに関しては、最低限実施するよう統一しています。
図3 患者さん向けケアの冊子

これらの冊子は静岡県立静岡がんセンターのホームページで公開している 静岡県立静岡がんセンター:冊子(PDF)(2025年12月5日閲覧)https://www.scchr.jp/supportconsultation/book_video.html#book
支持療法とアピアランスケアの棲み分けや経口抗がん薬の患者さんへの対応が課題
1つ目の課題は、皮膚障害や爪障害において、アピアランスケアと支持療法の棲み分けができていない点です。例えば、深爪や二枚爪だと支持療法ですが、爪の色が黒くて人前に手を出せない場合はアピアランスケアになります。それを考えてスタッフが依頼先を変えるのは難しいと思い、現在は爪障害も皮膚障害も一括でアピアランスケアでできるようにしています。
さらに、外来で経口抗がん薬を処方される患者さんへのチェック機能が十分に働いていない実態が明らかになりました。経口抗がん薬の治療は外来でのフォローが中心となるため、副作用や外見の変化を早期に把握するには一定の工夫が必要です。
患者さんの状況をより確実に把握するためには、外来で話を伺う機会を計画的に設けるなど、変化を早期にキャッチできる仕組みの強化が求められます。こうした体制整備が、今後の大きな課題の1つと捉えています。
昨年1年間で外来部門を動かしてきたので、今年は病棟を少し巻き込むことが3つ目の課題です。アピアランスケアを病棟に導入するには、段階を追って進めていかないと、いきなり組織は動かせません。まずは脱毛から病棟にアピールしていくことを、少しずつ広めていきたいと考えています。
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がん治療の皮膚ケア情報サイト はだカレッジ

薬物療法の皮膚障害の情報を提供するサイト。
患者・家族向けの情報と医療従事者向けの情報を掲載。
医療従事者向けでは、「皮膚に学ぶ・薬に学ぶ・症例から学ぶ」「外来で役立つ・病棟で役立つ・生活で役立つ」の6つテーマに分けた情報が得られます。
