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【連載】糖尿病患者さんへのフットケア

第1回 糖尿病足病変とは【PR】

  • 公開日: 2026/1/14
  • # 注目ピックアップ
  • # 糖尿病の合併症
  • # フットケア

先生方のお写真
左から末丸大悟 医師、松本夏希 医師、石川恵 看護師

糖尿病患者さんに起こる足病変について前橋日赤糖友会で療養指導に携わる医師および看護師にご解説いただきました。

糖尿病の合併症とは

 糖尿病の罹病期間が長くなると、徐々に慢性合併症が起きてきます。それらは、①細い血管が障害されて起こるものと、②太い血管の障害によるもの、③その他に分けることができます。

 細い血管が障害されて起こる合併症は、通常「しめじ」の順番で生じます。「し」は神経障害で、最も遠い部位の細い神経から障害されていくので、足の指先や足の裏から始まります。「しめじ」の「め」は眼で網膜症、「じ」は腎症です。

 太い血管の障害は、動脈硬化ともいい、高血圧や脂質異常症、喫煙や肥満などでも起こりえますが、糖尿病があるとよりリスクが高まります。太い血管の障害による合併症は「えのき」で覚えることができます。「え」は壊疽で足の壊疽、「の」は脳梗塞、「き」は狭心症や急性心筋梗塞です。血流が悪くて神経障害があると、足の小さな傷に気づきづらくなります。さらに、細菌感染を起こすと、血流障害もあいまって、やがて足壊疽となってしまうのです。

 その他の慢性合併症には、白癬症や胼胝、潰瘍などの足病変があります。認知症、がん、骨粗鬆症、歯周病、うつ病など関連した疾患もあります。

 合併症を発症することなく、糖尿病とうまくつきあっていくための対策を、「A」から「I」までの頭文字で考えました。

糖尿病とうまく付き合っていくための対策

 一気に全てのことができなくても、一歩一歩進めるように、われわれ医療従事者が患者さんに寄り添い、一緒に歩むことが大切です。

糖尿病足病変について

 糖尿病足病変(diabetic foot)は、WHOによって、「糖尿病性神経障害(末梢神経障害、自律神経障害、運動神経障害)や末梢血流障害を合併した下肢に生じる感染症、潰瘍、深部組織の破壊性病変をさす」と定義されています。

 世界中で、多くの糖尿病患者さんが足潰瘍を有しており、足病変を発症すると、1年後には約40%、3年後には約60%の人が再発するといわれています1)。足壊疽で足を切断する人は、国内では年間3,000人以上。医学誌Lancetに報告されたデータによると、世界中で30秒に1本の足が糖尿病足病変によって切断されています2)。地雷で足を失うのは30分に1本といわれており、それを大きく上回る数値です。

 臨床でよく遭遇する糖尿病足病変には、皮膚乾燥、角質肥厚、亀裂、胼胝、鶏眼(いわゆる魚の目)、変形(偏平足、開帳足、外反母趾など)、足・爪白癬、潰瘍、感染(蜂窩織炎、骨髄炎、壊疽)などが挙げられます。糖尿病で自律神経障害が起きると、汗をかきにくくなり、皮脂の分泌も減るため、皮膚が乾燥し、角質の肥厚や亀裂が生じやすくなります。胼胝や鶏眼があると、そこに圧がかかり、皮膚の奥に潰瘍を生じます。また腎症が進んで浮腫がみられるようになると、皮膚が脆弱になり、傷つきやすくなります。爪が分厚くなったり、白濁したりしている場合は、爪白癬が疑われます。足の指の間に白癬があり、皮が剥けているようなときは、爪もよく観察する必要があります。

 糖尿病足病変は、患者さんの生活の質を著しく低下させ、死亡リスクを高め、予後は決して良いものとはいえません。2005年の報告3)によると、糖尿病で膝下切断をした人の1年生存率は69.7%、5年生存率は34.7%でした。下肢の切断にいたる人の多くは高齢者で、1人で装具を装着できない人もいます。すでに動脈硬化が進んでいて、足病変の再発や、脳梗塞や心筋梗塞の発症、肺炎や尿路感染などの感染症発症リスクも高く、QOLが低下するだけでなく、死亡リスクも極めて高いといえます。

糖尿病足病変はなぜ起こるのか

足の状態

 まず足の状態には、神経障害と末梢血管障害、皮膚の損傷、身体防御機能がかかわっています。

 末梢神経障害は、高血糖が続くことで神経細胞内にソルビトールが蓄積し末梢神経組織が障害されることや、細い血管の障害による血流障害が、神経細胞への酸素や栄養の欠乏を招くことで進行します。神経障害を発症・進行させる危険因子には、①長期にわたる血糖管理不良、②長い糖尿病罹病期間、③脂質異常、④高血圧、⑤喫煙、⑥飲酒、⑦副腎皮質ステロイド薬の使用などがあります。

 感覚神経が障害されると、足の痛みや温度、圧覚を感じにくく、小さな傷に気づきにくくなります。運動神経が障害されると、筋が萎縮し、足趾の背屈機能の低下や足の変形が生じます。これらにより足底の局所に圧負荷がかかって胼胝ができ、これが潰瘍へとつながります。自律神経が障害されると、発汗が減少して皮膚が乾燥し、亀裂を生じます。また血管拡張反応も低下するため、皮膚への酸素や栄養の供給が不足し、創傷治癒が遅延します。

 末梢血管障害が進むと、皮膚への酸素や栄養供給が低下し、皮膚の脆弱化をきたすうえ、高血糖が好中球などの貪食作用を阻害するため、感染症にかかりやすくなります。また血流障害で足が冷たいので、暖房器具を使う頻度が増し、熱さを感じにくいため熱傷のリスクが高まります。

 皮膚の損傷には、圧迫やずれ、外傷、熱傷などがあります。感覚鈍麻によって損傷に気づきにくいことが問題です。

 身体防御機能の低下とは、易感染状態のことです。皮膚が脆弱でバリア機能が低下していること、好中球などの貪食作用が阻害されることや、血管合併症の存在などが直接的、間接的にかかわっています。

生活状況

 ①足の清潔が保ちにくい生活(靴や靴下が汚れている)、②足の血流障害を生じやすい仕事(長時間歩く、立ち仕事、寒い場所での作業)、③外傷や熱傷などの危険が及びやすい生活や、④リスクになる靴(つま先が硬い安全靴など)を履く仕事や趣味などが挙げられます。

全身の状態

 ①皮膚損傷を起こすリスクのある身体状況姿勢や歩き方の変化による足の荷重増加など、②身体防御機能低下とそれにかかわる身体状況(高血糖、低栄養、末梢循環障害など)、③セルフケアに影響する身体状況(運動機能や認知機能の低下、視力障害)が挙げられます。

セルフケア状況

 糖尿病患者さんがセルフケアの必要性やケアの方法を知らない場合、さらに視力障害、認知機能や運動機能の低下によりセルフケアを実行しにくい状況があることがかかわっています。

糖尿病足病変に関連する検査

 糖尿病足病変を早期に発見・評価するための検査には、表のようなものがあります。

 感覚障害のアセスメントには、音叉による振動覚検査やモノフィラメントによる検査が有効です。振動覚検査は、128Hzの音叉を振動させ、足の内顆に当て、振動を感じるかを調べ、10秒未満で消失する場合を振動覚低下と評価します。

 モノフィラメント検査は、足裏にナイロン製の糸を当てて感じるかどうかを調べる検査です。モノフィラメントは、皮膚に10gの圧を加える5.07というタイプを使います。

 アキレス腱反射は立て膝で行います。早期から反射の減弱がみられ、重症化すると消失します。

 血流障害のアセスメントとしては、ABI(足関節上腕血圧比)やSPP(皮膚灌流圧)の測定が有効です。ABIは足関節と上腕で血圧を測り、その比が0.9未満の場合に末梢動脈疾患が疑われます。SPPは皮膚にレーザーセンサーを当て、皮膚の毛細血管の血流を調べる検査で、皮膚の治癒予測に有効です。血管エコーや造影CTは、血流を評価する検査です。

 足の血流アセスメントには、両側の足背動脈や後脛骨動脈の触知、足の冷感、間欠性跛行の有無、足の脱毛などを調べます。糖尿病患者さんの足は、足の血流障害によって足の毛が生えなくなるため、テカテカに見えます。

図1 感覚障害のアセスメントに使用する道具

感覚障害のアセスメントに使用する道具
左:音叉、中央:アキレス腱を叩くときに使用、右:モノフィラメント

表 糖尿病足病変に関連する検査

検査の種類 検査名 検査の概要
感覚評価
(神経障害の検出)
振動覚検査
(128Hz音叉)
内踝に音叉を当てて振動を感じるか確認。10秒未満で低下
モノフィラメント5.07
(10gの圧に相当)
足裏にナイロン糸を当てて感覚の有無を評価
温度覚・痛覚検査 温冷やピンなどで皮膚感覚を確認
血流検査
(末梢動脈疾患の評価)
ABI(足関節上腕血圧比) 足首の血圧を上腕の血圧で割った値が、0.9未満はPAD(末梢動脈疾患)の疑い
SPP(皮膚灌流圧) 皮下の毛細血管の血流を計測する検査。傷の治癒予測に有用
血管エコー/造影CT 血管の狭窄や閉塞を評価
足の観察・画像検査 視診・触診潰瘍、変形、水疱、胼胝などの有無
X線検査 骨の変形や骨髄炎の評価
CT・MRI 深部感染や骨髄炎の詳細評価

Column 前橋赤十字病院の糖尿病患者さんへの取り組み

1988年に設立された前橋日赤糖友会は、糖尿病患者さん、患者さん家族、糖尿病に興味のある方、医療スタッフからなる会です。この会では、糖尿病診療において重要な意味をもつ「患者教育」の一環として、糖尿病に関する知識や療養生活に関する知識、糖尿病と関連した疾患についての知識などについて、勉強会を開催して伝えています。

患者さんが糖尿病を正しく学ぶとともに、他の患者さんとの交流を通して療養生活の疑問点を解決していく場ともなっています。2020年11月には、新たに「1型ひろば【虹の空】」という1型糖尿病患者さんおよびその家族を対象とした勉強会や話し合いの場を作り、7月と11月の年2回開催しております。

■■2025年度 年間スケジュール■■
開催日 内容 担当・職種
2025年
6月12日
① 糖友会総会
② 診断時 と現在の気持ちを「漢字一文字」で 
③ 糖尿病性腎症とその管理
④「さかえ」(4-6月号)ミニレクチャー
①新井修(会長)
②末丸大悟(糖尿病内科医師)
③木暮やよい(糖尿病・腎臓外来看護師)
④松本夏希(糖尿病内科医師)
7月10日 1型ひろば【虹の空】
 ~1型糖尿病患者さんとご家族を対象とした情報交換の場~ 
(どなたでもご自由に参加できます) 
末丸大悟
松本夏希
石川恵
涌沢智子(管理栄養士) 
9月11日 ① 今さら聞けない??インスリンのあれこれ
②「さかえ」(7-9月号)ミニレクチャー 
①石川恵(糖尿病専任看護師)
②松本夏希 
11月13日 1型ひろば【虹の空】
 ~1型糖尿病患者さんとご家族を対象とした情報交換の場~ 
(どなたでもご自由に参加できます) 
末丸大悟
松本夏希
石川恵
涌沢智子 
12月11日 ① 糖尿病とうつ病
② 「さかえ」(10-12月号)ミニレクチャー
①木村真依子(公認心理師)
②松本夏希 
2026年
3月12日
① 低血糖と車の運転
②「さかえ」(1-3月号)ミニレクチャー
③ 体験談などの語り合い
④ 今年度の振り返り、次年度の相談 
①5C病棟看護師
②松本夏希
③石川恵
④末丸大悟 
https://www.maebashi.jrc.or.jp/info/2019/07/post-28.html

前橋赤十字病院全景(「前橋赤十字病院」 松本夏希先生ご提供)

引用文献

1)Michael Edmonds,et al:The current burden of diabetic foot disease.J Clin Orthop Trauma 2021;17:88-93.
2)Andrew J M Boulton, et al:The global burden of diabetic foot disease.Lancet 2005;366(9498):1719-24.
3)Noronen K, et al.:Major Lower Extremity Amputation: Outcome of a Modern Series.JAMA Surg 2005;140(7):716-723.






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がん治療の皮膚ケア情報サイト はだカレッジ


第一三共ヘルスケアのはだカレッジ画像

薬物療法の皮膚障害の情報を提供するサイト。
患者・家族向けの情報と医療従事者向けの情報を掲載。
医療従事者向けでは、「皮膚に学ぶ・薬に学ぶ・症例から学ぶ」「外来で役立つ・病棟で役立つ・生活で役立つ」の6つテーマに分けた情報が得られます。

https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/site_hada-college/hcp/

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