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【連載】がん治療中も“その人”らしい生活を―患者さんの治療継続を支えるアピアランスケアの取り組み

患者さんの背景から問題をキャッチ、よりよい情報提供を心がける―がん研究センター中央病院外来看護師の取り組み【PR】

  • 公開日: 2026/2/25
  • # 注目ピックアップ
  • # がんの副作用ケア

「アピアランスケア」という言葉を提唱し、がんにかかわる外見の問題に対し、アプローチしてきた国立がん研究センター中央病院。2007年より患者さん向けグループプログラムである「コスメティックインフォメーション(通称)」を開始し、現在では2017年に創設したアピアランス支援センター※1において、週2回、「アピアランス(外見)ケアプログラム※2(通称)」を開催するとともに、患者さんが外見の変化について気軽に相談、情報交換できる場を提供しています。さらに支援センターでは、全国のがん診療にかかわる医療従事者を対象にアピアランスケア研修会を実施し、アピアランスケアの均てん化に取り組んでいます。

院内では、研修プログラムを修了した看護師、薬剤師などの医療従事者が、外来、通院治療センター、がん相談支援センター、病棟などの各部署でアピアランスケアを提供するとともに、持ち回りでアピアランスケアプログラムの講師を担当しています。今回は、外来看護師として十数年間にわたり、アピアランスケアに取り組んできた尾﨑博子さんと長橋弘子さんにお話を伺いました。

※1 アピアランス支援センター
専従スタッフの臨床心理士・公認心理師のほか、皮膚腫瘍科、形成外科、腫瘍内科の医師や、各科看護師、薬剤師、歯科衛生士など、多職種によるチームサポート体制を整備。ウィッグや手作り帽子、皮膚や爪をケアする化粧品、人工乳房など、外見変化に対応するさまざまな物品が揃っており、自由に見たり試したりすることができ、個別相談にも応じている。

シンボルマークのオレンジクローバーが目印で、輝く患者さんを支えるハートの集まりを表現している。

国立がん研究センター中央病院_支援センター

※2 アピアランス(外見)ケアプログラム
オリジナルの紙芝居を用いて、抗がん薬で副作用が起きる理由、心の問題、脱毛への準備、ウィッグの選び方やかぶり方、爪のケア、清潔・保湿などのスキンケアといった患者さんが疑問や不安に思うことについて、楽しく学べるように工夫されている。働く患者さんなどを対象とした夜間のオンライン講座も行っている。

現在、アピアランスケアプログラムは、オンラインでも視聴が可能である。

国立がん研究センター中央病院_紙芝居

患者さんの背景も考慮してケアを提供

外来看護師 尾﨑博子さん

外見だけではなく、患者さんの心をケアする

 私は外来に異動になったときに、先輩の乳がん看護認定看護師がアピアランスケアに取り組む姿を見て、「私も一緒にやってみたい」と思い、アピアランスケアプログラムの担当として参加するようになりました。当時は、まだアピアランス支援センターはなく、外来にある相談室で開催していて、プログラムもコスメティックインフォメーションという名称でした。その名称の印象から、当初は単に外見に対するケアだと思っていましたが、患者さんにかかわっていくうちに、外見への悩みの内側には治療への不安、家族や職場の人間関係の悩みなど、さまざまな思いがあることに気づくようになりました。ウィッグをつけて会社に行くなんて絶対嫌だという方もいました。ウィッグがいい悪いではなく、治療をすることで外見が変わって自分はどうなってしまうのだろう、外見が変わることで社会とのつながりはどうなるのだろうといった不安が大きいというのを感じました。また、拒否する感情のなかに、実はどうしたいといった本音が隠れていることもわかってきました。

 脱毛に対してウィッグを勧めるなど、単にケアの方法を伝えるだけではなく、その内側にある思いをしっかりと受け止め、かかわっていくことが大切だと思っています。そのためにも、治療が始まるという患者さんには、家族背景や仕事・通勤、通院のこと、ご両親はどちらにいるのか、お子さんがいれば何歳か、サポートしてくれる人はどれだけいるのかといったことを細やかに聞いています。

 外見を整えたり、テクニックだけ伝えたりするだけでなく、患者さんの背景をしっかりとわかったうえで、社会とのつながりというところを意識しながらサポートしていかなくてはならないと感じています。

患者さんから学んだ遊び心の大切さ

 セルフケアでは患者さんへの細やかな指導が必要ですが、ひとつの部署でできることには限りがあり、病院全体で取り組むことが重要だと感じています。例えば皮膚障害では、アピアランスケアというよりも、まずは外来で保湿の重要性を伝えていますし、爪囲炎に関しては通院治療センター(外来薬物療法を実施)の看護師も介入しています。

 また、患者さんから学ぶことも多くあります。気分を変えるために洋服に合わせてウィッグを変える患者さんや、ウィッグ付きのかわいい帽子を手作りする患者さんから、遊び心の大切さを教えてもらいました。そうした工夫をほかの患者さんにも伝えたり、いろいろなウィッグをつけてもらって写真撮影をしたりと、気持ちが少しでも前向きになるようなかかわりを心がけています。家族が付き添いで来院したときは、家族にもウィッグ体験を勧めています。家族で互いに変身ぶりを楽しんでいる姿を見ると、患者さんはがんと診断され衝撃を受けながらも、家族や社会とつながりながら生活していこうとする力をもっていると感じます。その力を引き出すことが、私たちの役割だと思っています。

 一方で、沈んでいる患者さんもいますから、「沈んでいるのは悪いことではない」と伝え、泣きたいときは泣いて、いつでも吐き出して、家族に吐き出せる人がいないのだったら、病院に来て看護師でもアピアランス支援センターにでも吐き出してよいのだと話します。ひとりで耐えている患者さんもやはりいますので。

正しくフラットな情報を伝える

 現在ではネットの普及により、患者さんがアピアランスケアに関する情報やケア用品の情報を簡単に得ることができます。だからこそ、私たち医療従事者が正しく、偏りのないフラットな情報を伝えていく必要があることを強く感じています。例えば、ウィッグや色素沈着をカバーするメイク用品などでは、患者さんは医療用でなければいけない、高価なもののほうがよいと思いがちですが、何よりも自分に合ったものを選ぶことが大切で、「一番大事なのは自分が一番似合うと思うこと」だと伝えるようにしています。

 アピアランスケアに取り組む病院も増え、一部の自治体ではウィッグ・胸部補正具の購入費用の助成を行うなど社会的にも浸透しつつあります。アピアランスケアはがん患者さんのサポートの一環であり、決して特別なケアではありません。それを私自身、ジェネラリストとしての実践を通して実感しています。

 アピアランスケアは外見のことだけではなく、その内面、今の自分に折り合いをつけていくことや、家族や社会とのつながりにも目を向けてサポートしていくことが求められます。今後さらにアピアランスケアの知識が普及して、全国の病院でできるようになること、多職種で協力しながら進めていく体制ができることを願っています。

アピアランスケアの重要性を実感

外来看護師 長橋弘子さん

がん看護のどの場面でも必要なアピアランスケア

 私はもともとアピアランスケアに興味があり、アピアランスケアは治療前から終末期にいたるまで、がん看護のどの場面においても必要なケアだと感じていました。「コスメティックインフォメーション」を担当する外来看護師のメンバーを募っていた際に手を挙げたことが、積極的にアピランスケアに取り組むようになったきっかけです。外来診療のサポートという業務の中で、メンバーとして活動し、アピランスケアの知識や実践を深めることで、専門的な資格は持っていなくても、ジェネラリストとしてかかわりに自信が持てるスキルになると思っています。

 アピアランスケアプログラムの内容のひとつとして、スキンケアについて基本的な情報を提供しており、清潔と保湿を心がけていただくよう伝えています。臨床現場では抗がん薬によって副作用も異なり、患者さん個々に応じた説明や指導が必要になります。処方された保湿剤や軟膏をきちんと使用していると話す患者さんでも、実際は使用量が少なかったり、ケアが十分でないこともあります。皮膚障害や爪囲炎の悪化で治療が中断することもあるため、患者さんと対面して在宅で行っている方法を確認し、セルフケアが継続できる方法を一緒に考えるように努めています。また、痺れなどの副作用や痛みがある患者さんには、ADLや家族の支援状況なども把握し、セルフケアで困っていることはないか確認することも重要だと思っています。

アピアランスケアの患者さん・家族への影響を実感

 患者さんから学ぶことも多くあります。なかでも印象に残っているのは、仕事柄美容に対する意識が高く、乳房全摘手術の受け入れが困難だった患者さんです。精神腫瘍科の診療も受けながら、さまざまなスタッフとカンファレンスを行い、支援を継続しました。術前の抗がん薬治療開始後は、副作用がつらい状況にあっても、もともとのファッションセンスを活かし、スカーフで脱毛をカバーしたり、ラメのマニキュアで爪の変色を目立たなくしたりと、こちらが参考にさせていただくことも多くありました。その後、無事に治療を完遂されたのですが、今回のケースを通して、外見の変化への対応が本来の自分らしさを取り戻し、治療に立ち向かえる要因にもなることを実感しました。

 また、進行がんに罹患された職場の先輩とのかかわりも深く心に残っています。おしゃれでユーモアのある方で、闘病中はどんなウィッグでも使いこなす姿に、感服させられることもありました。そして、生前葬の希望を受け、同僚として友人として他のスタッフとともに、生前葬のテーマに合わせたウィッグや衣装を考えるなどサポートしました。先輩が亡くなり歳月が経ちましたが、よく思い出されるのは、そのときの先輩やご家族、参加した人たちの笑顔、そして共に過ごした時間です。今でも生前葬やそれまでのかかわりでの思い出が、温かな気持ちと元気を与えてくれます。この経験で、アピアランスケアはグリーフケアにもつながる機会にもなるのだと考えるようになりました。

課題は男性へのアピアランスケアと情報のアップデート

 これまでアピアランスケアを行ってきて、難しいと感じているのは男性への対応です。男性向けのケアガイドもありますが、脱毛による仕事への影響など外見の変化に対する不安や問題を抱えながらも、なかなか言い出せない患者さんが少なくありません。当院には相談の場としてアピアランス支援センターがあり、個別相談にも柔軟に対応しています。適切なタイミングで声かけを行いながら、患者さんが抱えている問題をキャッチして、相談につなげることも看護師の重要な役割だと思っています。また、保湿を習慣づけていただく他に、家族と一緒にウィッグを選んだり、ご家族の化粧品を借りて眉を描いたりすることを提案するなど、家族を巻き込むことも、患者さんとご家族のケアにつながると思っています。

 なお現在では、次々と新しい抗がん薬が導入され、出現する副作用やその発症時期も多様になっています。情報を絶えずアップデートして、正しい情報をもとにアピアランスケアを実践することが必要であると考えています。







敏感肌にも使えるミノンシリーズー第一三共ヘルスケアの製品紹介ー

ミノン全身シャンプー泡タイプ

第一三共ヘルスケア_ミノン全身シャンプー泡タイプ


顔、身体、頭が一本で洗える泡タイプの全身シャンプー。バリア機能を守って洗う「植物性アミノ酸系洗浄成分」配合。弱酸性、無香料。


[医薬部外品]販売名:ミノン全身シャンプーW
500mL、400mL(つめかえ用)



ミノン全身保湿ミルク
ミノン全身保湿クリーム

第一三共ヘルスケア_ミノン全身保湿ミルク


敏感肌、バリア機能が乱れやすい肌を支える全身に使える「塗るミノン」。広い範囲のケアにはべたつかないミルクタイプ、乾燥のつらい部位にぴたっと密着感のあるクリームタイプ。


[医薬部外品]販売名:DSミルクz
200mL、400mL、320mL(つめかえ用)
販売名:DSクリームz
90g


詳しい製品内容についてはこちら → https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/site_minon/


がん治療の皮膚ケア情報サイト はだカレッジ


第一三共ヘルスケアのはだカレッジ画像

薬物療法の皮膚障害の情報を提供するサイト。
患者・家族向けの情報と医療従事者向けの情報を掲載。
医療従事者向けでは、「皮膚に学ぶ・薬に学ぶ・症例から学ぶ」「外来で役立つ・病棟で役立つ・生活で役立つ」の6つテーマに分けた情報が得られます。

https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/site_hada-college/hcp/

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