第9回 授乳中の不安・母乳育児ができない不安にお答えします!⑥乳腺炎にならないために
- 公開日: 2016/5/29
- 更新日: 2021/1/6
本連載では、医療人として、母親として理解しておきたい母乳育児について、第一人者である水野克己先生が解説します。
乳腺炎は遭遇しがちな疾患
乳腺炎は、授乳中の女性でしばしば遭遇する疾患です。産後3ヵ月までに10人に約1人、全授乳期間では3-4人に1人はかかります。主な原因は母乳を適切に乳房から排出できないことです。
母乳は無菌ではありませんが、効果的に分泌されていれば、細菌も外に流れ出ます。しかし、母乳がたまってしまうようだと乳腺腔内に残り、細菌増殖に好ましい環境ができてしまいます。
また、母乳がうっ滞することにより乳腺腔内圧が持続的に上昇します。このため分泌細胞が圧迫されて平坦化し、やがて密着結合(tight junction)がこわれてしまいます。その結果、乳腺組織に炎症反応を引き起こすのです。
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