【連載】公益財団法人 日本医療機能評価機構 医療事故情報収集等事業 分析テーマ
個別テーマについての検討状況|第6回報告書(2006年4月〜6月)④
- 公開日: 2010/1/1
【4】患者取り違え、手術・処置部位の間違いに関連した医療事故
平成18年4月1日から平成18年6月30日の間に報告された医療事故事例のうち、患者取り違え、手術・処置部位の間違いに関連した事例は9件であった。
(1)患者取り違え、手術・処置部位の間違いに関連した医療事故の現状
本報告書において分析対象とした医療事故の概要は図表Ⅲ-14の通りである。
患者取り違え、手術・処置部位の間違いに関連した医療事故の発生状況を、取り違えの種類で「患者取り違え」、「部位間違い」、「左右間違い」の3つに分類し縦軸に、発生場面を「検査」、「手術」、「治療・処置」、「その他」の4つに分類し横軸としたマトリックス表として整理した(図表Ⅲ-15)。
さらに取り違えの種類を、報告様式の「発生要因」のコード選択により整理した(図表Ⅲ-16)。
① 検査の場面
検査の場面での事例は0件であった。
② 手術の場面
手術の場面での医療事故事例は3件であった。
そのうち患者取り違えは、隣の患者の輸血を間違えて手術室へ搬送し、結果的に異型輸血をした事例1件であった。部位の間違いは、椎間の部位間違い1件であった。左右間違いは、手術部位のマーキングの左右間違いが1件であった。
③ 治療・処置の場面
治療・処置の場面での事例は6件であった。そのうち患者取り違えは4件であり、これらはすべて薬剤投与に関する事例であった。そのうち2件は複数の患者の薬剤が同じトレイに置かれていたことから、他の患者の薬剤を投与してしまった事例であった。部位間違いは、複数のチューブの位置と記載された名称の部位間違い1件、処置部位の左右間違い1件が報告された。
④ その他の場面
その他の場面での医療事故事例は0件であった。
(2)患者取り違え、手術・処置部位の間違いに関連したヒヤリ・ハット事例の現状
第18回ヒヤリ・ハット事例収集(注1)において報告された患者取り違え、手術・処置部位の間違い報告事例455件の分析を行った。
医療事故と同様の分類を行いマトリックス表として整理した(図表Ⅲ-17)。
取り違えの種類は、患者取り違えが最も多く401件であった。
発生場面では、検査の場面でのヒヤリ・ハット事例が197件、治療・処置の場面が167件、手術の場面が22件、その他の場面が69件であった。
本報告書では第18回ヒヤリ・ハット事例収集において報告された患者取り違え、手術・処置部位の間違いに関連した記述情報455件のうち主な事例133件を図表Ⅲ-18に示す。
参照:第6回報告書(PDF形式)患者取り違え、手術・処置部位の間違いに関連した医療事故
情報提供:公益財団法人 日本医療機能評価機構 医療事故防止事業部