【連載】公益財団法人 日本医療機能評価機構 医療事故情報収集等事業 分析テーマ
個別テーマについての検討状況|第7回報告書(2006年7月〜9月)⑤
- 公開日: 2010/1/1
【5】検査に関連した医療事故
平成16年10月から平成18年9月30日の間に報告された医療事故事例のうち「事故の概要」のコード情報の中から「検査」のコードで選択されていた事例、及びそれ以外のコードの中から、その報告内容が検査に関連するものであった事例は114件であった(図表Ⅲ-23)。このうち、今回は、主に臨床検査技師の関係する検体検査、病理検査、生理機能検査に関連した事例23件について分析を行った。
(1)臨床検査に関連した医療事故の現状
本報告書では、臨床検査を「生体から採取した試料を用いて調べる検体検査(病理検査も含む)及び生理検査」とし、分析対象とした医療事故事例の概要を図表Ⅲ-24に示す。
また、臨床検査を行う際の業務に流れを「指示」、「伝票・ラベル発行」、「準備」、「検体採取・検査実施」、「検体分析・標本作製等」、「判定・結果報告」の6段階に分類し、事故の内容と併せて医療事故の発生状況を整理した(図表Ⅲ-25)。
① 指示段階
指示段階における事例の報告はなかった。
② 伝票・ラベル発行段階
伝票・ラベル発行段階における事例は3件であった。その内訳は、検体のラベル貼り間違いが1件、手続き上の不備により検体が提出されなかった事例が2件であった。
③ 準備段階
準備段階における事例は1件であり、検体の取り違えの事例であった。
④ 検体採取・検査実施段階
検体採取・検査実施段階における事例は11件であった。その内訳は、検体の取り違え1件、患者取り違え2件、検査項目の見間違い1件、測定器の表示単位の見間違え1件、使用済の針の使用1件、採血により神経損傷やしびれをきたした事例4件、採血により骨折をきたした事例1件であった。
⑤ 検体分析・標本作製等の段階
検体分析・標本作製等の段階における事例は4件であった。その内訳は、手技・手順の間違い1件、分析機器の不具合により誤った測定値が検出された事例が2件、試薬の劣化により誤った測定値が検出された事例が1件であった。
⑥ 判定・結果報告の段階
判定・結果報告の段階における事例は4件であった。その内訳は、検査結果のくいちがいにより分析機器の異常が発見された事例が1件、血液型の記載間違いが1件、交差適合試験の判定間違いが1件、システム上の問題により検査結果が提出されたかった事例が1件であった。
(2)臨床検査に関連したヒヤリ・ハット事例の現状
第19回ヒヤリ・ハット事例収集において、記述テーマにあげられた「検査室等で主に臨床検査技師が発見した検査手技の間違いや検体取り違えなどの事例」及び重要事例の中から、臨床検査に関連した事例204件について分析を行った。
ヒヤリ・ハット事例の発生状況の整理については、医療事故と同様に、臨床検査を行う際の業務に流れを「指示」、「伝票・ラベル発行」、「準備」、「検体採取・検査実施」、「検体分析・標本作製等」、「判定・結果報告」の6段階に分類して行った(図表Ⅲ-26)。
報告された事例の中から33件の事例概要を図表Ⅲ-27に示す。
参照:第7回報告書(PDF形式)検査に関連した医療事故
情報提供:公益財団法人 日本医療機能評価機構 医療事故防止事業部