【器械出し】知っておきたい!スムーズな 渡し方とタイミング
- 公開日: 2012/4/16
今回は、看護師が器械出しを行う際、どうすればスムーズにできるのかを解説します。
Q 器械出しのときの器械の渡し方やタイミングを教えてください。
A 器械の種類・用途とともに、手術の流れを理解しておくことが、スムーズな器械出しのためには重要です。
器械は持ち位置に合わせて渡す
まずは、器械の種類と用途を把握しておくことが必要です。一般的に手術に使用される主な器械には、メス、鑷子、鉗子、剪刀(はさみ)などがありますが、これらがどのようなときに使用されるかを理解すれば、使用の仕方、器械の持ち方などに合わせた器械出しを行うことができるでしょう。
医師(術者)は術野だけを見ており、器械が渡されるほうの手は見ていないことがほとんどです。そのため、医師が持ち替えずにすぐに使えるよう、器械の持ち位置に合わせて渡すことが大切です。
例えば、鑷子であれば、先が前すぎても後ろすぎても使いづらいので、ちょうどよい位置になるように渡します。
また、顕微鏡下で使用する剪刀は、先端がとても細かく柄の部分が長いので、その特徴を把握しておくことも必要です。器械の先端に付着した組織片や血液などは常に拭き取り、きれいにしておきます。
医師によっては、使用する器械の名称を言葉に出して指示しないこともあるので、術野をよく見て、手術手順に合わせて使用する器械を、「コッヘル(鉗子)です」など声を出し、術者が確認できるようにして手渡します。
そのためには、器械の名前と用途、術式等をよく理解しておかなくてはなりません。日頃から術野をよく見ること、手順を覚えることが大切です。外回りのときでも、上手な先輩の器械出しを見ておくととても参考になります。また、イメージトレーニングを繰り返すことも有効です。先の先まで手術の進行が予測できるようになると、器械出しが楽しくなります。
スムーズな器械出しが患者さんへの侵襲軽減につながる
スムーズな器械出しは医師にとってはとても重要で、タイミングのよいスムーズな受け渡しができると、手術時間が短くなることもあります。そうすると麻酔時間も短縮され、患者さんへの侵襲を軽減することにもつながるのです。
そのほか器械出しで看護師が気をつけなければならないのは針刺し事故です。針刺し事故については自分だけでなく、術者の安全にも気を配らなければなりません。当院では、メスや持針器などが返却されるときは、目を離さずに、手で受け取ることはせず、手術台脇に設けたニュートラルゾーンに医師がいったん置いたものを、注意しながらトレーに回収するというルールにしています。
主な手術器械
(「ナース専科マガジン」2010年5月号より転載)
次回から、ルート管理について解説します。