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【連載】褥瘡ケア用品を使いこなそう!

【座談会】褥瘡ケアに必要なことは?

  • 公開日: 2014/5/8
  • 更新日: 2021/1/5

褥瘡ケアに関して、現場の看護師はどのようなことを知りたいと思い、指導する立場の看護師は何を伝えたいと考えているのでしょうか。

超急性期から慢性期までさまざまな病期の患者さんを看る、褥瘡ケアのエキスパートに集まっていただき、話を聞きました。


褥瘡ケア用品を使いこなすには?

――現場スタッフは、日々どのような思いで褥瘡ケアを行っているのでしょうか。認定看護師として感じることを聞かせてください。

渡邊 看護師には、褥瘡に対して「治さなければ、よい方向へ向かわせなければ」という強い使命感があると思います。経験が少ない看護師は、ついドレッシンング材(ここでは閉鎖性ドレッシング材を指す、以下同じ)や除圧用具を知ることがよいケアにつながると考えがちです。一方で、ベテラン看護師は知識や技術がある分、なかなか治らない創を前にすると「これでいいのだろうか」という疑問から、やはりドレッシンング材や外用薬の選び方や使い方に目がいくようです。

斎藤 受け持ちの患者さんに褥瘡があったとしたら、何とか治したいという思いはみんな同じですよね。現場は、「何を使ったらいいですか」と質問されることが多いのですが、何をどう使うかより先に看るべきことがあります。ですから、一言では伝えられないのが正直なところです。

清野 訪問看護の場合、ご家族の「痛そうだから早く治して」という切実な思いにも何とか応えたいという気持ちになります。ところが、褥瘡について詳しい主治医ばかりではないので、外用薬やドレッシング材を変えたいと思ったら、自分から医師に提案したり、交渉しなければなりません。そのためにもそれらの知識や情報は必要になってきますね。

廣川 確かに当院でもその傾向があります。たとえ入院していても、褥瘡担当の医師がいつでもすぐに診察できるわけではないですよね。早く治してあげたい、という気持ちから、この創に何かできないかと考える人は多いようです。

次ページでは、「ケア用品の知識を得る前にやるべきこと」について話します。

アセスメントが有効なケアにつながる

——ドレッシング材やケア用品の知識を得る前に、やるべきことがあるという意見もありますが、それは具体的にどんなことでしょうか。

渡邊 まずは創をアセスメントすることです。褥瘡の原因を除くことが治癒に結びつくからです。次に全身状態を看る習慣を付けたいですね。今の状態はどうか、何が褥瘡ケアに必要なのか、これからどうなるのか? これらの点をアセスメントすることが有効なケア計画につながります。

廣川 例えば、全身状態が思わしくない場合、ドレッシング材で管理しようとしても逆に悪化してしまうことがあります。褥瘡が慢性創傷であることを理解し、創面を覆ってしまうことのメリットとデメリットを考えないと、ただドレッシング材を貼ればよくなるという誤解から、適切な創傷管理ができなくなるのです。この場合はこうと一概に決めてしまうのではなく、患者さんの全身状態からそれに合ったケア方法や用品を選ぶべきです。

清野 在宅の場合には、創のアセスメントとともに生活のアセスメントがとても大切になります。例えば、生活の中で同じ姿勢をどの程度とっているのか、家族におむつ交換や体位変換を行える介護力はあるのかなどを含めて、ポジショニングやスキンケア、栄養状態などを総合的に判断した上で、何を選択するかだと思いますね。

ドレッシング材を貼れば安心と思っていませんか?

――ところで、病院でも在宅でも被覆は優先的に検討される処置なのですか。

渡邊 当院の救命救急センターでは、3次救急患者を受け入れており、循環動態が悪く、感染リスクの高い患者さんが、褥瘡を合併して緊急入院してくることがあります。その場合、通常ならドレッシング材を選択するような創でも、私はあえて全身状態が安定するまで、例えばポピドンヨード・シュガーとガーゼの処置にして、毎日観察するようにしています。

ドレッシング材を使うことによって、感染徴候の有無や滲出液の性状など、創の変化がわかりにくくなるからです。また、ドレッシング材が貼ってあるからと、安心して観察回数が少なくなるのを回避する目的もあります。

清野 やはりドレッシング材が貼ってあると安心してしまう看護師は多いように思います。「何日目に交換する」とマニュアルにあったら、ドレッシングの状態がどのように変化しているかを観察せずに、貼りっぱなしにして前よりも悪化したケースもありました。

私も創面の状態を毎日確認してもらうために、あえて開放処置(ガーゼ処置)にして外用薬を使うように指導することもあります。

次ページでは、「褥瘡の持ち込み、持ち帰り」について話します。

褥瘡を予防できる範囲とできない範囲

——褥瘡の「持ち込み、持ち帰り」が問題になりますが、それについてはどうお考えですか。

渡邊 入院するということは、全身状態の変化が起きているので、そのタイミングで褥瘡ができることはあります。

一方で、栄養状態やADLが低下したまま退院となるケースもあると思うのですが、サポート体制や家族の介護力が十分でないと、在宅に戻ったとたんに褥瘡が発生することもあります。褥瘡は病院でも家でも原因さえあれば発生するのです。

斎藤 本当は予防ができれば一番よいのですが、実際には予防できる範囲とできない範囲があります。

例えば栄養状態が悪くても、比較的元気な人には褥瘡ができないし、逆に栄養状態がよくても、活動性が低ければ褥瘡はできます。患者さんの元気具合にも左右されるのではないでしょうか。

清野 在宅では自宅でのみ療養するだけでなく、デイサービスやショートステイに行くことがあり、それらの生活環境の変化が褥瘡発生の要因になることがあります。自宅で高機能マットや車椅子用のクッションを使用していても、情報伝達が不足していたために、車椅子使用時にクッションが使用されなかったり、その方にとっては体圧分散効果の少ない薄いマットを使用されることもあります。

そういう状況が重なると、全身状態の変化も伴い褥瘡ができて、入院の際に「持ち込み褥瘡」ということになるのでしょうね。

意外と理解できていない「ドレッシング材の機能と目的」

――WOCナースがいない施設で、現場の看護師たちが褥瘡ケアの正しい知識や最新情報を得るにはどうしたらよいのでしょうか。

廣川 私には知識や情報が常に最新である必要があるのか、という疑問があります。特にドレッシング材は新しいものがどんどん発売されるので、私たち認定看護師でさえ、すべてを把握できない状況です。

それなのに、それぞれの目的や機能をよく理解しないままで、単に新しいもののほうがよいといった理解では、その創傷に見合ったドレッシング材を選択できなくなる可能性があります。

まずは、ドレッシング材の分類別機能や使用する目的を理解してほしいと思います。そうすれば、どんなに商品が増えても機能や使い方が理解しやすく、情報に振り回されずに済みます。


清野 逆に、訪問看護師たちには、新しいケアや用品の情報が入りづらいのが悩みですね。だから、病院で提示されたドレッシング材がどんな目的で使われるものか、わかっていないことが少なくありません。

外用薬や保湿剤などのスキンケア用品も同様です。できれば、退院時に病棟の看護師から、「病院では○○を目的にこの○○を使ってきたが、医療保険が適用するものはほかに○○があります」という提示や情報提供があると、患者さんの経済力や介護力に照らし合わせやすく、わかりやすいですね。


次ページでは、褥瘡ケアに取り組む看護師の方々へのメッセージについて話します。

なぜ褥瘡ができたのか? 原因を徹底的にアセスメント

――褥瘡ケアに取り組む看護師の方々へメッセージをお願いします。

渡邊 褥瘡は治療も予防も、基本は圧迫やずれの防止、皮膚の保湿、栄養状態の管理などが大切だと思います。

どんなに素晴らしいドレッシング材や薬剤を使っても、外力が加わったり、低栄養であれば、創はよくなりません。それらの改善にアプローチするためにケア用品があることを再認識してもらいたいですね。


斎藤 褥瘡ができた原因をアセスメントすることが一番大切で、次にケアがくるのだと思います。

アセスメントというと、とても難しいことのように思う人もいますが、どうして褥瘡ができたのか、疑問を持つところから始めればよいのです。そして、それを解決するために、自分なりに原因を調べてみてください。


清野 在宅では医師が近くにいるわけでもなく、訪問看護師が一人で訪問するため、創のアセスメントやケア・処置方法に迷うことがあります。担当看護師や家族が異常だと思わなければ、褥瘡は見過ごされ、そのまま悪化します。

自分の家族だったら、大事な人だったら、この痛そうな創を何とかしてあげたいと思うはず。そういう気持ちでケアしてもらえたらと思います。

ケア・処置方法などわからないこと、悩んだことがあれば事業所に持ち帰り、情報を共有してみんなで検討することが大切です。そうすれば解決の糸口も見えてくると思います。


廣川 褥瘡が発生したら、なぜこの褥瘡ができたのか、まずは自分たちがどういうケアを行ってきたかという点に立ち返って考えてほしいですね。

患者さんの現疾患は何か、リスクは何かなど発生の原因を考え、自分が納得するまでアセスメントしてください。

その上で創を十分に観察・アセスメントしてケアを考えれば、おのずとその創に適切なドレッシング材が何かということを学ぶ機会が得られると思います。

(『ナース専科マガジン』2011年12月号より転載)

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