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【連載】褥瘡ケア あなたの疑問をズバリ解決!

【褥瘡】皮膚が乾燥すると何がいけないの?

  • 公開日: 2015/7/4

普段迷うことの多い浸軟と乾燥に対するスキンケア。ここではアセスメントや観察ポイント、ケア方法などをわかりやすく解説します。


▼褥瘡ケアについてまとめて読むならコチラ
褥瘡とは?褥瘡の看護ケア|原因と分類、評価・予防・治療など


乾燥した皮膚は細菌などの異物が侵入しやすい状態

 皮膚が乾燥すると角層がひび割れて隙間だらけとなり、アレルゲンや細菌などの異物が侵入しやすい状態になります。よって、乾燥した状態は皮膚障害への準備段階にあり、保湿による予防的スキンケアが必要です。

 角層には保湿機能があり、

 1. 細胞間脂質
 2. 皮脂
 3. 天然保湿因子(NMF:natural moisturizing factor)

 の3つの因子があります。

 特に、細胞間脂質の約50%を占める「セラミド」が大きく関与しています。

 乾燥の原因には、過度の洗浄や加齢、疾患、治療、乾燥した環境などがあります。加齢やアトピー性皮膚炎は、セラミドの減少が関与しているといわれています。

 高齢者の場合、老化により細胞分裂の速度が低下し、表皮の回転周期(ターンオーバー)が延長します。そのため、古くなった角質細胞が蓄積し、角層が厚くなることで水分が逃げにくくなり表面が乾燥し、ひび割れた状態になります(図1、2)。

図1 角層が厚く、ひび割れた状態 図1 角層が厚く、ひび割れた状態

図2 菲薄して、ひび割れた状態 図2 菲薄して、ひび割れた状態

尿素製剤とヘパリン類似物質製剤

 高齢者のように、肥厚した角質層を持つ皮膚には、水分を与えることができる尿素製剤が適しています。

 しかし、尿素製剤は、高い浸透圧作用を持ち、水分が皮膚から尿素へ移動するため、菲薄している皮膚に使用すると刺激が強く痛みを生じます。特に、化学療法などで脆弱化した皮膚には適していないため注意が必要です。

 ヘパリン類似物質製剤は血行促進により皮膚の栄養状態を改善する目的で使用します。尿素製剤に比べ刺激は少ないですが、出血傾向のある患者さんには使用できません。

乾燥した皮膚にはどんな保湿剤を選択すべき?

 保湿剤にはさまざまな種類と特徴があり、それらを理解して状況に応じて活用することが重要です。

 保湿剤は、水分の蒸発を抑制し角質水分量を増加させる「エモリエント効果」があるものと、成分そのものが水分と結合して蒸発を防ぐ「モイスチャライザー効果」があるものに分けることができます(表1)。

表1 保湿剤の種類(医薬品)
表1 保湿剤の種類(医薬品)

 1. エモリエント効果のある油脂性の保湿剤:塗布直後の保湿能は低いものの、徐々に保湿効果が高まります
 2. モイスチャライザー効果のある保湿剤:水分が多く含まれており、その水分の補給により塗布直後に保湿能が高まりますが、その後急激に低下してしまいます

 エモリエント効果のあるワセリン基材の保湿剤は、べたつき感があり、伸展性が悪く、強く擦りつけて塗布する必要があることから使用感があまり良くありませんが、乾燥がひどい場合には、モイスチャライザー効果のある保湿剤で水分を与えた後に、エモリエント効果のある保湿剤で水分の蒸発を防ぐよいとでしょう。

 近年、セラミド含有の保湿剤が市販されており、容易に入手が可能です。セラミド含有の保湿剤は持続効果があり、ローションタイプは伸展性も優れ使用感が良いため、どの状況においても使用しやすい保湿剤です。

(『ナース専科マガジン』2015年7月号から改変利用)

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