第2回 エンゼルケアの基本②死後のおもな身体の変化
- 公開日: 2015/11/24
患者さんがご臨終を迎え、本人の人格やその尊厳を失わないよう、ご遺体がケアする人の手を離れるまでケアを行なう「エンゼルケア(逝去時ケア)」。本連載ではそのエンゼルケアの実践法を解説します。
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死後の身体変化の特徴について
腐敗や乾燥などの死後の変化は、個体差があるので正確な予測はできません。そして恒常性がないため、臨終直後のケアの管理方法に大きく左右されます。そのため、下記のような死後の変化の特徴を理解する必要があります。
1. 不可逆変化:生命のある状態の恒常性を失うことで、どんどん変化していき、元の状態には戻らない。そのため、死後変化のはじまりの段階であるエンゼルケアの時間帯に行うべきことが見えてくる。
2. 変化を予測しきれない面がある:変化に動じずに、さまざまな変化に困惑するご家族に対応法の説明をする必要がある。
3. 傷みやすい:さまざまな変化は自然の変化で異常事態ではないことを認識し、ご家族にも伝える。
4. 重力の影響を受ける:生命体は恒常性により重力に抵抗するが、亡くなったとたん恒常性もなくなることで刻々と重力の影響を受ける。
おもな死後の身体変化
死後の体表面は、内側からの水分補給がなくなると同時に、外気に触れて乾燥が進んでいきます。とくに露出している顔が乾燥しやすく、さらに突出している部分の額、頬、鼻先は、より乾燥が早いのですが、最も乾燥しやすいのが唇です。
死後変化の種類により変化が始まる時間が異なるので、その目安を図1で見てみましょう。