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【連載】知っておきたい! 在宅での必要な手技と医療機器・医療材料の取り扱い

在宅療養におけるオムツ使用と陰部洗浄について知ろう!

  • 公開日: 2017/5/31

 超高齢化社会により、地域包括ケアシステムの構築が進み、病院から在宅へと移行してきています。在宅では、自立している方から寝たきりの方まで、社会資源を活用して生活されています。在宅生活においてポイントの1つとなることが、介護者の有無・介護量だと考えられます。介護量は、日常生活動作レベルや疾患によっても差が出てきますが、共通して問題となるのが排泄についてではないでしょうか。
 今回は、在宅療養におけるオムツの使用と陰部洗浄についてお話したいと思います。


 訪問先で、「オムツを勝手にはずすんです」「尿漏れが多くて……」「尿臭があるのにオムツを取り替えないんです」という介護者のお話を耳にします。そのような場合は、本当にオムツ使用が必要であるかを考えてみましょう。
 訪問看護師としての主な役割は、①オムツ使用に対するアセスメント、②動作訓練、③家族指導の3つです。

オムツ使用に対するアセスメント

 訪問時に確認する主なポイントは、①尿意・便意の有無、②認知機能、③身体機能、④介護力の4つです。
 簡単に言えば、尿意・便意があり、トイレの場所を認識し、歩行が可能であればトイレでの排泄は可能です。例えば、認知症のご活用者様の場合、尿意はあるがトイレの場所がわからずに失禁してしまうということがあります。こういった場合は、自宅のトイレまでの動線風景を変化させず、トイレに目印を付けて誘導しましょう。その結果、オムツの使用が不必要になる場合があります。
 
 ベッド上で生活されているご活用者様の場合でも、尿意・便意があり、年齢や認知力・身体機能によってはベッド上での排泄が自立できます。ベッドのギャッヂアップができたり、手の巧緻性が保たれていたり、腰上げができる場合は尿器の使用や尿とりパッドの交換が自立できます。歩行は難しいが立位までは可能なご活用者様の場合、ポータブルトイレの使用を検討します。

 上記のアセスメントに失禁の有無を加え、オムツの使用を検討していきます。訪問時、実際にご活用者様・ご家族と共にどこまでできるのかを確認することによって、ご自身の排泄動作・ご家族のサポートが必要なところを共通認識できます。できることをひとつでも増やすことは、自尊心を保つこと・介護負担軽減の一石二鳥になるのです。

動作訓練

 ひとつでもできることを多くすることが、オムツ使用を回避することに繋がります。転倒リスクが高ければ、筋力トレーニングや歩行訓練を行います。ベッド上の生活が長ければ、端座位になれるところから動作訓練を行います。少しずつでも、床上排泄からポータブルトイレ、ポータブルトイレからトイレでの排泄、トイレ歩行自立と段階を踏んでいけるよう支援します。そのため、必要であればご家族に介助協力を依頼します。

 例えば、歩行に不安があるご活用者様であれば、付き添い歩行の協力が得られるかを相談します。衣類の着脱ができなければ、それに協力を求めます。同時にそれに対する動作訓練を実施していきます。その段階に応じて、開きオムツを使用したり、ポータブルトイレやトイレでの排泄ができるご活用者様であればパンツ型オムツを提案します。

 必ず、定期的に評価をし、その都度適切なパンツ・オムツを提案していくことが大切です。そして、在宅において大事なことは、その家のトイレで排泄ができるようになることです。トイレ環境は、家によって違いますので、どこに手すりがあるか、どのように水を流すのかなども考慮して動作訓練を行います。

家族指導

 訪問をした際には、必ず1度はオムツを開き、皮膚トラブルの有無を確認します。皮膚トラブルは一度発生すると治るまで処置が必要となり、それが介護負担となってしまいます。必要であれば、陰部洗浄を実施し、ご家族にリスクと必要性を説明します。とはいえ、ご家族は看護師と同じようには処置ができません。まずは数時間に1回でもオムツの確認をするところから覚えてもらいます。そして、実施できていることに対して、ご家族と一緒に喜ぶことが大切です。少しずつ介護に関心を持ってもらい、オムツ交換や陰部洗浄の実施に繋がるように支援しています。

 皮膚トラブルは発生してから対処するのではなく、できないように対策をします。そこで重宝するのが、近所のドラッグストアで簡単に購入ができるワセリンです。外的刺激から皮膚の保護をしたり、角質層の水分蒸発を防ぐことで乾燥予防になります。オムツを使用しているご活用者様には、皮膚トラブルがなくても、ご家族にワセリンの購入をお願いしています。

 必要物品も、家庭にあるものをフル活用し、ご家族が使いやすいように工夫します。例えば、陰部洗浄ボトルであれば、①蓋に穴を開けたペットボトル、②食器用洗剤の空きボトル、③100円ショップの園芸用品などが利用できます。タオルなども、陰部洗浄専用のタオルを作ったり、洗濯物の心配をされるご家族にはおしりふきを提案します。あくまでも提案し、ご家族に選択していただきます。

実際の訪問現場

 私が現在訪問しているご活用者様でこのような方がいらっしゃいます。「紙パンツの端をはさみで切ってしまうんです。あまり履き心地も良くないみたいで。どうしたらいいかわからなくて。退院してからこうなんです。」とご家族よりご相談を受けました。このご活用者様は、入院前は布パンツを使用していました。しかし、認知機能の低下や日常生活動作の低下により、入院中にパンツ型オムツを着用するようになりました。ご家族は、厚手のパンツ型オムツに尿とりパッドを合わせて使用されていました。ご本人に認知症があることや今まで布パンツ1枚で生活されていたことから、その厚みとゴムの感覚に慣れなかったようです。そこで、薄型のパンツ型オムツを提案し、ゴムの1番緩いタイプのものに変更しました。変更後は、ご本人がはさみで端を切ることがなくなり、オムツに対して不快感を訴えることもなくなりました。

 現代の紙オムツは、数回排尿したくらいでは不快感がありません。ご本人からの訴えがなければ、そのまま放置なんてこともあります。そうなれば、当然許容量を超えてしまい、尿漏れとなります。また、アルツハイマー型認知症の方は、嗅覚低下が生じます。不快感もなく尿臭も感じにくいとなれば、取り替えるという発想には至りません。特に高齢者は、自尊心が高く、「下の世話をされるなんて終わりだな」と訴える方が多いです。排泄動作は、人間にとって大切な動作の1つなのです。

 乳児がオムツをするのは排泄動作が自立していないからですが、高齢者の場合はどうでしょうか? まずは、トイレでの排泄が可能かどうかをご本人・ご家族と一緒に考えてみましょう。
 

オムツの使用と助成

 オムツは結構いいお値段がします。某メーカーのテープ式オムツは1枚約100円、尿とりパッドは1枚約20~70円です。毎日、テープ式オムツを1枚、尿とりパッドを5枚使用すると1カ月で3600~5100円です。そこで利用したい制度が、オムツ助成制度です。東京都でみると、23区・市でそれぞれ条件があります。条件はさまざまですが、介護度や所得などが主な条件です。条件を満たしていると、オムツが支給されたり、それにかかる費用を負担してもらうことができます。毎日のことですので、このような制度も活用していきましょう。


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