ワセリンを塗布していて浸軟してしまった皮膚はどうケアする?【PR】
- 公開日: 2024/1/24
臀部の排泄物による汚染を防ぐために、ワセリンを塗布していますが、浸軟してしまう際の対策があれば教えてください。
ワセリンは薄く油膜を張るイメージで使用します。必要に応じて保護剤の情報も提供します。
過剰にならないよう量に気をつける
ワセリンは安価で入手しやすく、刺激も少ないため、第一選択としてよく使われています。石油を精製して作るもので、保湿成分が入っているわけではありません。皮膚の表面に油の膜を張って、皮膚の中からの水分の蒸発を防ぐことで、適度な水分を保持し、乾燥から皮膚を守ります。油膜を張ることで摩擦や外部からの侵入刺激を防ぐことも期待されています。一方で、厚く何度も塗り重ねたりすると、皮膚からの蒸発を妨げてしまい、ワセリンと皮膚の間に熱と水分がこもって、皮膚の浸軟やかゆみの原因となってしまうこともあります。
ワセリンは、テカテカするほど厚く塗る必要はありません。薄く油膜を張るイメージで、少し物足りないかなと思う程度に塗れば十分です。浸軟している皮膚の上で塗り伸ばすと、摩擦やテンションがかかり、皮膚の表面が破綻しやすくなります。ワセリンを少し取って自分の両手のひらに伸ばし、その手を患者さんの皮膚に1回押しあてるようにして塗布します。おむつ交換の際に毎回塗る必要はなく、臀部を洗浄したり、おしり拭きでしっかり拭き取ったりしてワセリンがとれてしまったら、薄く塗り直します。洗浄剤を使わず、ワセリンの油膜が残っているなら、塗り重ねなくてもよいでしょう。ご家族にも、ワセリンは薄く塗ればよいこと、保湿と浸軟を混同しないよう説明、指導しています。
ワセリンのほかに保護剤や、アズノールのように保護作用のある軟膏を処方して用いることもあります。市販の撥水作用のある保護剤を、インターネットで取り寄せて使っている方もいます。患者さんやご家族に聞かれたときに答えられるように、保護剤にはどんなものがあり、どこで手に入るか、街のドラッグストアで入手可能か、専門店でないと買えないのか、インターネットで通販可能かといった情報を整理しておくとよいでしょう。
スキン-テアをみてほしいと言われたときにはすでに何日か経っており、皮弁がつかない状態でした。どのようにケアをすればよいのでしょうか。
傷が乾燥しないように保湿をし、二次損傷と感染にも気をつけましょう。
止血できているのであれば保湿を行う
スキン-テアの傷が出血している場合は止血が必要ですが、すでに止血しており、創底が露出していて、皮弁がつかないという状況であれば、露出した傷を乾燥させないことが必要です。さらに二次損傷や感染を起こさないように、傷を保湿し、保護します。
保湿剤はワセリンでも、処方されているものでも何でもかまいません。適切なもので保湿をし、傷にくっつかないように非固着性のガーゼをあて、包帯を巻いて保護するとよいでしょう。非固着性のガーゼは、病院や訪問診療のときに使っているものを処方するか、最近はドラッグストアにも〝傷にくっつかない〟とうたった市販品がありますので、購入することも可能です。
少し潤っているような傷にはワセリンはつかないので、被覆するガーゼのほうにワセリンを塗り、それを患部にあてるようにします。
自宅でのケアのために、ケア用品を購入してもらう必要がありますが、ケア用品を紹介するときの注意点を教えてください。
まず、保険で創傷被覆材やガーゼなどを処方してもらえることを知っておきましょう。市販品を購入してもらう際には、どんなものがどれくらい必要かを具体的に伝えます。
訪問している地域ではどんなものが手に入るのかを知っておく
在宅では、入手しやすい衛生材料を教えてほしいという質問をよく受けます。ガーゼなどの消耗品をすべて自費で購入するのでは、経済的な負担が大きくなってしまいます。病院でも訪問診療でも、在宅療養指導管理料を算定している場合で、患者さんに真皮以上の深度の創傷があるときは、3週間を限度として創傷被覆材の算定が可能で、衛生材料の支給は義務となっています。在宅療養指導管理料を算定していないが、訪問看護をしている患者さんの場合は、保険医療材料、衛生材料の支給で加算が可能です。この制度を知らずに、全額自己負担になってしまっているケースもあると思います。訪問看護師はこの制度を知っておき、患者さんの状態がこれに該当する場合は、病院や訪問診療の医師に、衛生材料を保険で出してくださいと伝える必要があります。
制度の限度を超えると自己負担になりますが、購入にあたって適切なアドバイスできるように、安価で入手しやすく、使いやすいものの情報を集めておくことも大切です。最近では、100円均一の店でもさまざまな衛生材料を扱っていますから、ドラッグストアと併せて近隣の店を調べてみるとよいでしょう。
ただ「買ってきて」と言われても、ご家族はどうすればよいかわかりませんから、どんな衛生材料がどのくらい必要かを、具体的に伝えることが大切です。「10cm角くらいの皮膚にくっつかないガーゼ◯枚入りを◯個と、幅2.5cm以上の幅広いテープを◯個」など、メモに書いて渡すようにします。ご家族が介護で大変な中で買い物に行っていることや、経済的負担が生じていることをきちんと理解し、無駄遣いにならないよう大切に使い、なくなりそうになる前に早めに一声かけるといった配慮が求められます。
敏感肌にも使えるミノンシリーズ
ミノン全身シャンプー泡タイプ
顔、身体、頭が一本で洗える泡タイプの全身シャンプー。バリア機能を守って洗う「植物性アミノ酸系洗浄成分」配合。弱酸性、無香料。
[医薬部外品]販売名:ミノン全身シャンプーW
500mL、400mL(つめかえ用)
ミノン全身保湿ミルク
ミノン全身保湿クリーム
敏感肌、バリア機能が乱れやすい肌を支える全身に使える「塗るミノン」。広い範囲のケアにはべたつかないミルクタイプ、乾燥のつらい部位にぴたっと密着感のあるクリームタイプ。
[医薬部外品]販売名:DSミルクz
200mL、400mL、320mL(つめかえ用)
販売名:DSクリームz
90g
詳しい製品内容についてはこちら → https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/site_minon/
がん治療の皮膚ケア情報サイト はだカレッジ
薬物療法の皮膚障害の情報を提供するサイト。
患者・家族向けの情報と医療従事者向けの情報を掲載。
医療従事者向けでは、「皮膚に学ぶ・薬に学ぶ・症例から学ぶ」「外来で役立つ・病棟で役立つ・生活で役立つ」の6つテーマに分けた情報が得られます。