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【連載】訪問看護でのスキンケアQ&A

スキントラブルが起きやすい患者さんのケアで気をつけることは?【PR】

  • 公開日: 2024/1/31
  • # 注目ピックアップ
  • # 訪問看護
  • # スキンケア

ADL全介助の透析患者さん。微力な外力でも皮下出血→スキン-テア→感染を繰り返しています。保湿、上下肢の保護、トランスの工夫をしましたが、なかなか改善しませんでした。何かよい方法があれば教えてください。

透析患者さんはリスクが高いことを認識し、保護ができる環境を整えましょう。

体位変換の工夫、上下肢の持ち上げ方などに気をつける

 全介助の透析患者さんは、スキントラブルに関して非常にハイリスクです。スキン-テアを予防できるのが一番ですが、発症した場合も、二次損傷や感染を起こさないこと、たとえ感染しても局所にとどめ、全身の感染症に至らないようにするケアが必要です。

 まず、皮膚のずれや摩擦を最小限にする必要があります。在宅ではマンパワーが少ないので、1人で患者さんを動かさなければならない場面も少なくありませんが、スライディングシートや、それがなければ50〜60Lくらいの大きなポリ袋を使い、身体を滑らせて移動するようにします。腕や脚を持つときは、上から掴むのではなく、下から支えて持ち上げるようにします。衣類やベッド柵などにスキン-テア発症の素因があったら、対策を講じて療養環境を整えます。局所の保護として、包帯を巻いて局所を保護しておくのもよいでしょう。

 スキン-テアを起こした部分は、洗浄して保湿し、非固着性の包帯やラップなど、傷にくっつかないもので保護して二次損傷を防ぎます。ケアをしたあと何日もそのままにしていると感染を起こす可能性もあるので、できれば毎日洗浄するようにします。ご家族や介護者ができるなら委ねるか、できないようなら医師に特別訪問看護指示書を書いてもらい毎日訪問するなど、傷を手当てできる体制を整えます。できれば早めに医師に診てもらい、抗菌薬の外用薬を使ったほうがよいと思います。

 日本創傷・オストミー・失禁管理学会では、スキン-テアについて、一般の方向けに具体的な予防策などをまとめた冊子を作成しており、ホームページからダウンロードできます。介護者やご家族も、スキン-テアがどのようなもので、どう対応すればよいかを知ることが大切ですから、説明の際に活用しています。



腎疾患で外見的症状はありませんが、掻痒感が強い患者さんがいます。清拭・入浴後はたっぷり保湿しても、特に乾燥する冬は掻痒感軽減に限界があります。保湿していても、次の訪問時にはカサカサになっています。ケア方法はもちろんですが、衣類の選び方、効果的な外用剤・市販品など知りたいです。

基本的なスキンケアで解決できるのかどうかをアセスメントして、必要に応じて薬剤などの適切なケアに繋げます。

基本的なスキンケアの実施と必要であれば医師、薬剤師に相談する

 掻痒感は、掻爬して皮膚が傷つくだけでなく、不眠につながるなどQOLを著しく低下させる症状で、末梢性のものと中枢性のもの、神経障害によるもの、心因性と4つに大別できます。中枢性のものや疾患由来のものは、保湿するだけでは解決できないこともあります。

 スキンケアの基本は、やはり皮膚の清潔と保湿、保護です。入浴やシャワーは高温、長時間だと皮脂がどんどん失われてしまうので、ぬるめのお湯で、15分くらいにおさめるようにします。身体を洗うときはナイロンタオルでゴシゴシこするのは止め、石けんを泡立て、手でなでるように洗うこと、石けん成分はしっかり洗い流し、入浴後は5分以内に保湿剤を全身に塗る、衣類は刺激の少ない木綿やガーゼにし、爪は短く切るといった基本的なポイントを押さえます。

 それでも改善しない場合は、医師に相談し、かゆみ止めや、副腎皮質ステロイド薬や抗ヒスタミン薬などを処方してもらうこともあります。薬剤師に相談し、ヘパリンベースにアズノールやメントールを独自に調合してもらい、爽快感もあり、掻痒感がとれたというケースがありました。在宅では看護師のスキルだけでは解決できないことも数多くありますから、困ったときに相談できるように、普段からそれぞれの職種間で連絡ができる体制を整え、信頼関係を保っておくことも大切だと思います。



ADL低下に伴い下肢の浮腫が著明になり、下腿部に水疱を形成し、その後、水疱が破れて潰瘍形成にまでなってしまいました。皮膚の浸軟化を予防する衛生材料、軟膏類の薬などおすすめの方法があれば教えてください。

基本は水疱が破膜しないようにケアを行いますが、潰瘍ができてしまった場合は感染防御を徹底します。

浮腫の範囲だけでなく感染徴候がないかをアセスメントする

 下腿浮腫がみられる皮膚には細かい水疱ができていて、水分の漏出が続くと水疱は大きくなっていきます。細かい水疱の深さは真皮に至る程度で、破れた場合はびらんなどの浅い傷になります。水疱が大きくなるにつれ、深さも皮下脂肪層まで広がり、少しの刺激で破れやすく、破膜すると潰瘍を形成し、ひどい痛みを伴います。

 水疱ができる前段階の下肢の浮腫によって皮膚が張り詰めて艶があるような状態のときから、弾性包帯や下肢の挙上によるケアを開始しますが、蜂窩織炎を伴うことがあるので、浮腫の範囲や程度だけでなく、痛みや熱感、発赤などの感染徴候がないか、注意して観察、アセスメントします。単に浮腫のケアだけでよいのか、皮膚科に相談して抗菌薬の使用が必要なのかなどを、適切に判断する必要があります。

 浮腫に伴い、毛穴に沿ってプチプチと小さい水疱ができているようなときは、フィルムで固定して摩擦やずれが加わらないようにします。水疱が米粒大からやがて母指頭大へと大きくなってきた場合には、水疱に針を刺して中の水を抜いてペタンコにし、皮弁をつけたまま上から非固着性のガーゼで保護しておきます。破れて皮弁が剥がれてしまうより、皮弁が蓋になって保護できますし、痛みも少ないと思います。

 水疱が破膜して潰瘍になってしまった場合は、感染防御が最優先です。低刺激の石けんの泡で、こすらないように洗い、ハイドロコロイドのドレッシング材で保護します。ハイドロコロイドは市販もされており、ドラッグストアなどで入手できます。



敏感肌にも使えるミノンシリーズ

ミノン薬用保湿入浴剤

第一三共ヘルスケア_ミノン薬用保湿入浴剤


しっしん・肌あれ対策ができる入浴剤。お湯に溶けるクリームのようなうるおい。敏感肌・乾燥肌の方へお勧め。グリーンフローラルの香り(微香性)。


[医薬部外品]販売名:ミノン入浴剤
480mL、400mL(つめかえ用)



ミノン全身保湿ミルク
ミノン全身保湿クリーム

第一三共ヘルスケア_ミノン全身保湿ミルク


敏感肌、バリア機能が乱れやすい肌を支える全身に使える「塗るミノン」。広い範囲のケアにはべたつかないミルクタイプ、乾燥のつらい部位にぴたっと密着感のあるクリームタイプ。


[医薬部外品]販売名:DSミルクz
200mL、400mL、320mL(つめかえ用)
販売名:DSクリームz
90g


詳しい製品内容についてはこちら → https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/site_minon/


がん治療の皮膚ケア情報サイト はだカレッジ


第一三共ヘルスケアのはだカレッジ画像

薬物療法の皮膚障害の情報を提供するサイト。
患者・家族向けの情報と医療従事者向けの情報を掲載。
医療従事者向けでは、「皮膚に学ぶ・薬に学ぶ・症例から学ぶ」「外来で役立つ・病棟で役立つ・生活で役立つ」の6つテーマに分けた情報が得られます。

https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/site_hada-college/hcp/

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