気管切開 チューブの種類
- 公開日: 2017/6/28
気管切開チューブを使用する状況は、①気管切開術の直後、②陽圧人工呼吸が必要な場合、③陽圧人工呼吸が必要でない場合に分けられます。それぞれの状況で、どの気管切開チューブを使用するとよいか解説していきます。
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気管切開チューブの種類と使い分けを理解しよう!
気管切開チューブを使用する状況は大きく3つ
気管切開チューブが必要とされる患者さんの状況は、おもに次の3つに大別されます。
❶気管切開術の直後
❷陽圧人工呼吸が必要な場合
❸陽圧人工呼吸が必要ではない場合
使用目的やそれぞれの状況に応じて、必要とされる機能を有したチューブを選択します。
現在、市場に出回っている気管切開チューブは比較的高機能のものもありますが、患者さんの状況によっては不要な機能もあります。また、高機能のチューブは購入金額が高額なうえ、状況によって保険請求ができない場合もあります。そのため、適切にチューブを選択することが必要です。
気管切開のチューブの種類と使い分けの理由
■気管切開直後に使用する場合:カフ付き、カフ上部吸引付き
カフ付きが必要な理由
気管切開術の直後は、切開部からの出血があります。出血が止まるまでは血液が気道に流れ込む可能性があるため、カフ付きのチューブを使用します。カフがあれば完全に流れ込みを防げるわけではありませんが、ある程度の防御にはなります(図1)。ただし、小児は気管壁が脆弱であるため、一般的にカフなしチューブを使用します。気管切開に先立って、経口または経鼻挿管されていることが多いので、そのチューブがカフなしの場合には、気管切開チューブもカフなしのものを準備します。
(図1 気管切開術を行った患者さんの呼吸と嚥下)
カフ上部吸引付きが良い理由
切開部からの出血とともに、口腔から流れ込んでくる唾液や、鼻腔・副鼻腔などから流れ込んでくる分泌物がカフ上部に貯留します。気管切開チューブには、カフの上部に吸引チューブが装備されている製品(図2)があり、貯留した分泌物を吸引して除去することができます。元々は発声を目的に開発されたチューブのため、「スピーチカニューレ」などと呼ばれることもありますが、現在はおもに吸引に使われます。
吸引が不十分であったり、カフ上部吸引が装備されていないチューブを使用している場合、カフの圧が減っているタイミングで首を曲げたり、チューブに接続されている人工呼吸器回路や酸素チューブなどを動かすことで気管切開チューブの位置がずれると、カフと気管壁の間に隙間ができることがあります。すると、貯留していた分泌物が一気に肺に向かって流れ込んでしまいます。
(図2 カフ上部吸引付き)
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