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【連載】スケール・評価基準を使いこなそう!

Cohn分類

  • 公開日: 2023/1/25

Cohn分類は何を判断するもの?

 Cohn分類とは、無症候性心筋虚血を分類するためのスケールです。

 無症候性心筋虚血は、心電図検査や心筋シンチグラフィ検査などで心筋虚血所見を認めるにもかかわらず、胸痛や労作性息切れといった自覚症状を伴わない病態で、高齢者や糖尿病患者さんに多くみられます。無症状だからといって予後良好というわけではなく、症状を有する患者さんと同程度または不良であるとされています1)

 心筋梗塞をはじめとする心血管イベントのリスクが高まるほか、突然死の原因になるとも考えられているため、無症候性心筋虚血の患者さんに対する経過観察や医学的な治療の介入を検討する際の指標の一つとして、Cohn分類は広く活用されています。

Cohn分類はこう使う!

 Cohn分類では、無症候性心筋虚血の病型を3つにスケーリングします(表)。

 狭心症や心筋梗塞の既往がなく、見かけ上は健常者であるⅠ型では、ホルター心電図で一過性無症候性虚血性ST変化を鑑別することは非常に難しいとされる一方、Ⅱ型およびⅢ型はⅠ型に比べてホルター心電図の有用性が高いとされています2)

表 Cohn分類

Ⅰ型心筋梗塞や狭心症の既往がなく、まったく無症状の心筋虚血
Ⅱ型心筋梗塞後で症状を伴わない心筋虚血
Ⅲ型明らかな狭心症症状を示す患者における、無症状の心筋虚血
日本循環器学会,他:慢性冠動脈疾患診断ガイドライン(2018年改訂版).p.17-8、p131.(2022年1月10日閲覧) https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2020/02/JCS2018_yamagishi_tamaki.pdf/沖本奈美,他:術中にモニター心電図でST低下を来たし発見された無症候性心筋虚血の1例.近畿大医誌 2011;36(2):119.を参考に作成

Cohn分類の結果を看護に活かす!

 無症候性心筋虚血と診断された患者さんは、無症状にもかかわらず、なぜ入院しなければならないのか、なぜ治療が必要なのか、疑問や不安に思うことも考えられます。入院の必要性やどのような治療が行われるのかを丁寧に説明して患者さんの理解を促し、安心して治療を受けられるよう不安軽減に努めます。

 上述したように、無症候性心筋虚血は心血管イベントのリスクとなり、突然死の原因となりうる病態であるため、Cohn分類を正しく把握して、バイタルサインの変化などに注意しながら慎重な見守りが必要です。また、退院時は継続的な内服、生活習慣(食事、飲酒、喫煙)の改善、適度な運動の実施などについて指導します。

引用・参考文献

1)P C Deedwania,et al:Silent myocardial ischemia. A clinical perspective.Arch Intern Med 1991;151(12):2373-82.
2)日本循環器学会,他:慢性冠動脈疾患診断ガイドライン(2018年改訂版).p.17-8(2023年1月10日閲覧) https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2020/02/JCS2018_yamagishi_tamaki.pdf
●日本循環器学会,他:慢性冠動脈疾患診断ガイドライン(2018年改訂版).p.131.(2023年1月10日閲覧) https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2020/02/JCS2018_yamagishi_tamaki.pdf
●沖本奈美,他:術中にモニター心電図でST低下を来たし発見された無症候性心筋虚血の1例.近畿大医誌 2011;36(2):117-20.

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