Borrmann分類(ボールマン分類)
- 公開日: 2023/1/27
Borrmann分類は何を判断するもの?
Borrmann分類とは、進行胃がん病変の肉眼的な所見を分類するために用いられるスケールです。具体的には、固有筋層に達した胃がんの肉眼的な所見を1~4型の4タイプに分類していますが、あくまで手術によって得られる切除標本の肉眼的な分類であり、病理検査によって精査されるがんの深達度に相関しません。そのため、臨床的な分類として胃がんをスケーリングする場合は、Borrmann分類のスケールと病理検査で判明した深達度を併記することが定められています1)。
胃がんの分類には、Borrmann分類のような肉眼型分類のほかに、進行度分類(TNM分類)と組織型分類があります。胃がんの治療方法は進行度によって決定されますが、進行度を適切に判断する上でも、Borrmann分類による肉眼的な所見の評価は重要といえます。
Borrmann分類はこう使う!
Borrmann分類では、進行胃がんを肉眼的な所見をもとに4つのタイプに分類します(表)。1型→2型→3型→4型の順に予後は悪くなりますが、特に4型はスキルス胃がんとも呼ばれ進行が早く、予後は極めて不良です。
表 Borrmann分類
1型 | 限局隆起型 | 隆起した形態を示し、周囲粘膜との境界が明瞭 |
---|---|---|
2型 | 限局潰瘍型 | 潰瘍を形成、周囲粘膜との境界が比較的明瞭 |
3型 | 浸潤潰瘍型 | 潰瘍を形成、周囲粘膜との境界が不明瞭 |
4型 | びまん浸潤型 | 著しい潰瘍形成はなく、胃壁の肥厚・硬化を特徴とし、周囲粘膜との境界が不明瞭 |
Borrmann分類の結果を看護にこう活かす!
進行胃がんの患者さんの看護にあたるときは、医師が評価したBorrmann分類のスケーリングを把握し、予測される予後や全身状態の変化を加味したケアを行うようにします。バイタルサインに変化があるときは、病変部からの出血など重篤な症状が生じている可能性も考えられるため、小さな変化を見逃さず、変調があるときは速やかに医師に報告することが大切です。
Borrmann分類も踏まえて予後が不良と予測される患者さんに対しては、家族も含めた心理的なケアも取り入れられるとよいでしょう。