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【連載】スケール・評価基準を使いこなそう!

薬剤性過敏症症候群 重症度判定スコア(DIHS/DRESS severity score)

  • 公開日: 2025/4/17

薬剤性過敏症症候群 重症度判定スコアは何を判断するもの?

 薬剤性過敏症症候群 重症度判定スコア(DIHS/DRESS severity score)は、薬剤性過敏症症候群の重症度を評価するために用いられる指標です。

 薬剤性過敏症症候群は、特定の薬剤の使用により発症する重症薬疹の1つです。抗てんかん薬(カルバマゼピン、ラモトリギン)をはじめ、バクタ、サラゾスルファピリジン、高尿酸血治療薬(アロプリノール)などが原因薬剤として挙げられ、原因薬剤の使用から主に2~6週間後に発症します。紅斑やびらんといった皮膚症状だけでなく、発熱や多臓器障害を伴うのが特徴です。

 薬剤性過敏症症候群が疑われた場合は、原因薬剤の使用を速やかに中止します。ただし、原因薬剤を中心しても軽快せず、症状の増悪を来すこともあります。また、多くの症例でステロイド薬の全身投与が行われますが、重症度によっては、ステロイドの全身投与を必要としないこともあります1)。そのため、重症度判定スコアを用いて状態を評価し、適切な治療につなげることが求められます。

薬剤性過敏症症候群 重症度判定スコアはこう使う!

 初診から3日以内、そして2~4週にそれぞれスコアリングを行い、重症度を評価します。具体的には、年齢や皮膚症状(紅斑、びらん)、発症後の原因薬剤の服用期間、発熱の期間・日数、食欲の有無、検査結果(Cr、ALT、CRP)などをもとに、軽症・中等症・重症の3段階に分類します(表)。

 『薬剤性過敏症症候群診療ガイドライン2023』では、「症例の層別化は、DIHS症例を治療する上でも重要であり、重症度に応じた治療対応が望まれる」としています2)

表 薬剤性過敏症症候群 重症度判定スコア(DIHS/DRESS severity score)

ParametersGrade/extentScore
Fixed
1.年齢(歳)≤40/41~74/75≤-1/0/2
2.発症後の被疑薬服用期間(日数)0~6/7≤0/1
3.アロプリノール内服Yes1
Variable
1.ステロイドパルス療法Yes2
2.皮疹面積
   紅斑(% BSA)<70/70≤/紅皮症0/1/2
   びらん(% BSA)<10/10~29/30≤0/1/3
3.発熱38.5℃≤(期間、日数)0 or 1/2 ~6/7≤0/1/2
4.食欲低下(通常摂取量の70%未満、日数)0~4/5≤0/1
5.腎障害(creatinine、mg/dL)<1.0/1.0~2.0/2.1≤or HD0/1/3
6.肝障害(ALT、IU/L)<400/400~1,000/1,000<0/1/2
7.C-reactive protein(mg/dL)≤2/<2~<10/≤10~<15/15≤-1/0/1/2
BSA、body surface area
初診から3日以内(early score)と2~4週(late score)にスコアリングし評価する。
1点未満は軽症、1~3点は中等症、4点以上は重症と層別化することができる。
薬剤性過敏症症候群診療ガイドライン策定委員会:薬剤性過敏症症候群診療ガイドライン2023.日本皮膚科学会雑誌 2024;134(3):564.より引用

引用文献

1)薬剤性過敏症症候群診療ガイドライン策定委員会:薬剤性過敏症症候群診療ガイドライン2023.日本皮膚科学会雑誌 2024;134(3):565-7.
2)薬剤性過敏症症候群診療ガイドライン策定委員会:薬剤性過敏症症候群診療ガイドライン2023.日本皮膚科学会雑誌 2024;134(3):563.

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