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【連載】スケール・評価基準を使いこなそう!

LRINECスコア(ライネックスコア)

  • 公開日: 2023/11/5

LRINECスコアは何を判断するもの?

 LRINEC(Laboratory Risk Indicator for Necrotizing Fasciitis)スコアは、壊死性筋膜炎が疑われる場合に発症の可能性を評価し、早期診断につなげるために用いられるスケールです。

 壊死性筋膜炎は、浅層筋膜に細菌感染が生じることで急速に壊死が拡大する軟部組織感染症であり、進行すると播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation:DIC)や敗血症を引き起こします。早急なデブリードマンが必要となりますが、初期段階では特異的な症状はほとんどみられず、発見が遅れるケースも少なくありません。また、蜂窩織炎など他疾患との鑑別が難しく、早期に正しい診断を下すのは難しいとされています。

 このような背景から、壊死性筋膜炎の疑いがある場合に、LRINECスコアを用いて発症の可能性を評価することは重要といえます。

LRINECスコアはこう使う!

 LRINECスコアでは、6つの血液検査項目の結果から、壊死性筋膜炎の発症の可能性をスケーリングします(表)。合計点は最高で13点で、点数が低いほど壊死性筋膜炎を発症している可能性は低いとされますが、6点以上の場合は壊死性筋膜炎の疑いが強いと考えます。特に、8点以上の場合は壊死性筋膜炎の可能性が75%とされ1)、早急な検査と治療が必要となります。

表 LRINECスコア

項目検査値スコア
CRP(mg/dL)<150
≧154
WBC(/μL)<15,0000
15,000~25,0001
>25,0002
Hb(g/dL)>13.50
11.0~13.51
<11.02
Na(mEq/L)≧1350
<1352
Cre(mg/dL)≦1.590
>1.592
Glu(mg/dL)≦1800
>1801
Wong CH:The LRINEC (Laboratory Risk Indicator for Necrotizing Fasciitis) score: a tool for distinguishing necrotizing fasciitis from other soft tissue infections.Crit Care Med 2004 ;32(7):1535-41.より引用

LRINECスコアの結果を看護に活かす!

 壊死性筋膜炎は、早急にデブリードマンなどの治療を開始しないと命を落としたり、四肢の切断が必要になったりするケースもあります。しかし、早期段階では特異的な症状が現れにくいため、診断が遅れるケースも少なくありません。

 疼痛、紅斑、腫脹、熱感などの症状があり、切創、虫刺され、注射、軽度な外傷や熱傷など、壊死性筋膜炎の契機が疑われるエピソードをもつ患者さんに対応した場合には、LRINECスコアを用いて発症の可能性の評価を試みるのと同時に、バイタルサインの変化などを注意深く観察し、異変が認められるようであれば、すぐに医師に報告するようにします。

 また、最初のスケーリングで壊死性筋膜炎の可能性が否定的であっても、状態の悪化がみられる場合には、速やかな報告が必要です。

引用・参考文献

1) Wong CH:The LRINEC (Laboratory Risk Indicator for Necrotizing Fasciitis) score: a tool for distinguishing necrotizing fasciitis from other soft tissue infections.Crit Care Med 2004 ;32(7):1535-41.
●日本救急医学会:壊死性筋膜炎.(2023年10月12日閲覧) https://www.jaam.jp/dictionary/dictionary/word/0727.html

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