Malnutrition Screening Tool(MST)|栄養評価スケール
- 公開日: 2022/8/7
MSTは何を判断するもの?
Malnutrition Screening Tool(MST)は、栄養状態を評価するためのスケールです。
栄養状態を評価するためのスケールは多くありますが、MSTは、体重減少と食事摂取量に関する2つの項目から簡易的にスケーリングを行える点が大きな特徴です。評価項目が少ないため、入院患者さんや施設入居者だけではなく、外来患者さんなどこまめな観察ができないケースでも評価が可能なほか、リハビリテーションを行う高齢者の予後予測に適しているとされています1)。
一方で、詳細な評価ができないため、より正確に状態を把握するには、他の栄養評価スケールを併用する必要があります。
MSTはこう使う!
MSTによる評価は、体重減少と食事摂取量に関する2つのみで行います(表)。合計スコアが高いほど低栄養のリスクも高くなり、0~1点で低リスク、2~3点で中等度リスク、4~5点で高リスクと評価します。
表 MST
①最近、努力しないで体重が減ることがありましたか? | スコア |
---|---|
いいえ | 0 |
わからない | 2 |
「はい」の場合、どのくらい体重が減りましたか? | |
2~13Ib* | 1 |
14~23Ib | 2 |
24~33Ib | 3 |
34Ib以上 | 4 |
わからない | 2 |
②食欲低下で、食事摂取量が減っていますか? | スコア |
いいえ | 0 |
はい | 1 |
M Ferguson,et al:Development of a valid and reliable malnutrition screening tool for adult acute hospital patients.Nutrition 1999;15(6):458-64.より引用
MSTを看護に活かす!
栄養状態の悪化はさまざまな疾患の原因になりやすく、特に高齢者は肺炎など命にかかわる疾患のリスクが高まります。簡便に行えるMSTを用いて患者さんの栄養状態を評価し、早期からの栄養的な介入につなげることで、予後の改善に役立てることが大切です。
また、低栄養状態による健康リスクに合わせた看護計画の作成や見直す際の参考にするのもよいでしょう。 栄養状態の悪化を認めるときは、がんや感染症など、急性・慢性問わず何らかの疾患が生じている可能性があります。定期的に評価を行うことで、これらの疾患の発見につながることもあるため、変化を見逃さないようにしましょう。
引用・参考文献
●M Ferguson,et al:Development of a valid and reliable malnutrition screening tool for adult acute hospital patients.Nutrition 1999;15(6):458-64.
●百崎良,他:リハビリテーションにおける栄養スクリーニング.Jpn J Rehabil Med 2017;54(2):82-6. (2022年7月15日閲覧)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/54/2/54_82/_pdf
●佐藤格夫,他:創傷治癒と栄養不良.WOC Nursing 2017;5(10):15-21.