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【連載】スケール・評価基準を使いこなそう!

CEAP分類

  • 公開日: 2022/8/31

CEAP分類は何を判断するもの?

 CEAP分類は、下肢静脈瘤をはじめとする慢性静脈疾患(chronic venous disorders:CVD)を評価するためのスケールです。1994年に開発されてから現在に至るまで、臨床で広く活用されています。

 CVDに対して適切な管理や治療が行われず重症化すると、炎症により皮下脂肪が硬化する脂肪皮膚硬化症や潰瘍などが生じるおそれがあります。CEAP分類は、臨床分類(Clinical sign)、病因分類(Etiologic classification)、解剖分類(Anatomical distribution)、病態生理分類(Pathophysiologic dysfunction)の4項目で構成されており、病状を客観的かつ的確に把握できるため、適切な管理や治療につなげることに役立つと考えられています。

CEAP分類はこう使う!

 前述したとおり、CEAP分類は「C:臨床分類」「E:病因分類」「A:解剖分類」「P:病態生理分類」の4項目でスケーリングを行います(表)。

 臨床分類はCVDによる症状に関する項目で、0~6の7段階に分類され、それぞれ症状の有無(S:有症状、A:無症状)も踏まえて評価します。例えば、活動性潰瘍で何らかの症状を認める場合は、C6Sとします。病因分類に関しては、一次性、二次性、先天性、原因が同定されていないものに分けられ、例えば、出生時に静脈無形性や静脈奇形などが存在する場合は、先天性としてECとします。

 解剖分類は病変部位についての項目で、表在静脈、穿通枝、深部静脈、部位が同定されていないものに分類されます。さらに詳細な部位を示す場合は、該当部位の略語(例:下大静脈の場合はIVC)を記載します。そして、病態生理分類は、逆流・閉塞の有無または併存、異常が同定できないものに分類され、該当する所見を記します。

表 CEAP分類

日本静脈学会:CEAP分類(2020年版).(2022年8月16日閲覧)https://js-phlebology.jp/wp/wp-content/uploads/2020/12/2020-CEAP-20201205.pdfより許可を得て転載

CEAP分類を看護に活かす!

 CVDは重症化すると難治性の潰瘍が再発しやすくなるなど、QOLに大きな影響を与えることもあり、患者さんの状態を理解したうえでケアを行うことが求められます。基本的に、CEAP分類による評価は医師により行われますが、評価を確認することで患者さんの状態を把握できるため、CVDの患者さんに対応する場合は参考にするとよいでしょう。

 また、静脈に逆流や閉塞がない場合でも、血流のうっ滞が生じることがあり、潰瘍などの皮膚病変を引き起こすことがあります。病態生理分類で「異常が同定されない」と評価されていても、経過観察を怠らないことが大切です。

参考文献

●日本静脈学会:CEAP分類(2022年8月16日閲覧)https://js-phlebology.jp/wp/wp-content/uploads/2020/12/2020-CEAP-20201205.pdf
●赤木大輔,他:国際指標の日本語翻訳事業1―翻訳事業総論およびCEAP分類―.静脈学 2021;32(1):69-76.(2022年8月16日閲覧)https://www.jstage.jst.go.jp/article/phlebol/32/1/32_21-1/_pdf/-char/ja
●伊藤孝明,他:創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン―5:下腿潰瘍・下肢静脈瘤診療ガイドライン.日本皮膚科学会雑誌 2017;127(10):2239-59.(2022年8月16日閲覧)https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/%E4%B8%8B%E8%85%BF%E6%BD%B0%E7%98%8D%E3%83%BB%E4%B8%8B%E8%82%A2%E9%9D%99%E8%84%88%E7%98%A4%E8%A8%BA%E7%99%82%E3%82%AC%E3%82%A4%E3%83%89%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%B3.pdf

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