1. トップ
  2. 看護記事
  3. 診療科から探す
  4. 肛門科
  5. Goligher分類(ゴリガー分類)|内痔核の分類

【連載】スケール・評価基準を使いこなそう!

Goligher分類(ゴリガー分類)|内痔核の分類

  • 公開日: 2022/9/18

Goligher分類は何を判断するもの?

 Goligher分類は、内痔核の臨床病期を評価するためのスケールです。

 痔核はいわゆる「いぼ痔」と呼ばれる疾患です。支持組織の減弱や内肛門括約筋の過緊張などが原因で生じると考えられており1)、解剖学的に歯状線より直腸側に形成されるものを「内痔核」、肛門側に形成されるものを「外痔核」と呼びます。

 内痔核の治療方針は症状の程度に左右されるため、病期を正しく評価することが大切です。保存的治療を選択する場合でも、定期的に病期評価を行うことで症状の変化を経時的に判断でき、スムーズな治療方針の見直しにつなげることができます。

*肛門上皮と直腸粘膜の境界

Goligher分類はこう使う!

 Goligher分類では、問診、視診、触診、指診、肛門鏡診察などで内痔核の脱出・還納の程度を確認し、その程度により病期を4つの段階(Ⅰ~Ⅳ度)にスケーリングします(表)。

表 Goligher分類

Ⅰ度排便時に痔核が膨隆するが、脱出はしない
Ⅱ度排便時に痔核が脱出するが、排便後に自然に還納する
Ⅲ度排便時に痔核の脱出があり、用手的還納を要する
Ⅳ度常に痔核が脱出した状態で還納できない

日本大腸肛門病学会,編:肛門疾患(痔核・痔瘻・裂肛)・直腸脱診療ガイドライン2020年版(改訂第2版).南江堂,2020,p.8.(2022年8月31日閲覧)https://www.coloproctology.gr.jp/uploads/files/journal/koumonshikkan_guideline2020.pdf/増田勉,他:痔核の保存的治療法(手術的治療法以外).日本大腸肛門病会誌 2021;74(10):521-30./日本大腸肛門病学会:痔核の治療.(2022年8月31日閲覧) https://www.coloproctology.gr.jp/modules/citizen/index.php?content_id=22を参考に作成

 Goligher分類による評価に加え、患者さんの希望や年齢、社会的状況などを総合的に判断して、治療法が選択されます。

 基本的にⅠ~Ⅱ度では保存的治療が選択されます。Ⅲ~Ⅳ度で保存的治療を選択する場合は、症状の悪化がないか経過観察が必要ですが、通常は手術療法が選択されます。痔核の手術は術後出血や狭窄などの合併症のほか、再発するリスクもあるため、実施にあたっては慎重な検討が必要です。

Goligher分類の結果を看護に活かす!

 内痔核の多くは保存的治療が選択されますが、悪化して最終的には手術療法が選択されるケースも少なくありません。内痔核の患者さんの看護では、Goligher分類による病期を把握し、便秘や下痢など内痔核の悪化につながる症状がないか確認しましょう。排便障害を認めたり、患者さんの訴えから病状悪化の可能性が考えられるときは、速やかに医師に相談・報告します。

 内痔核を悪化させないためには、十分な水分と食物繊維の摂取、節酒など食生活を見直すことも大切です。食生活の状況をチェックし、内痔核の改善や悪化を予防するための食事指導を行うとよいでしょう。特にⅢ~Ⅳ期の患者さんには、適切な介入を継続することが望まれます。

引用・参考文献

1)日本大腸肛門病学会,編:肛門疾患(痔核・痔瘻・裂肛)・直腸脱診療ガイドライン2020年版(改訂第2版).南江堂,2020,p.8.(2022年8月31日閲覧)https://www.coloproctology.gr.jp/uploads/files/journal/koumonshikkan_guideline2020.pdf
●増田勉,他:痔核の保存的治療法(手術的治療法以外).日本大腸肛門病会誌 2021;74(10):521-30.
●日本大腸肛門病学会:痔核の治療.(2022年8月31日閲覧) https://www.coloproctology.gr.jp/modules/citizen/index.php?content_id=22

この記事を読んでいる人におすすめ

カテゴリの新着記事

国際的天疱瘡重症度基準(Pemphigus Disease Area Index:PDAI)

PDAIは何を判断するもの?  国際的天疱瘡重症度基準(Pemphigus Disease Area Index:PDAI)とは、天疱瘡の重症度を評価するためのスケールです。  天疱瘡は、表皮細胞同士の接着を助けるデスモグレインと呼ばれるタンパク質に対する自己抗体が形成さ

2024/4/15

アクセスランキング

1位

心電図でみる心室期外収縮(PVC・VPC)の波形・特徴と

心室期外収縮(PVC・VPC)の心電図の特徴と主な症状・治療などについて解説します。 この記事では、解説の際PVCで統一いたします。 【関連記事】 * 心電図で使う略語・用語...

250751
2位

【血液ガス】血液ガス分析とは?基準値や読み方について

血液ガス分析とは?血液ガスの主な基準値 血液ガス分析とは、血中に溶けている気体(酸素や二酸化炭素など)の量を調べる検査です。主に、PaO2、SaO2、PaCO2、HCO3-、pH, ...

249974
3位

吸引(口腔・鼻腔)の看護|気管吸引の目的、手順・方法、コ

*2022年12月8日改訂 *2022年6月7日改訂 *2020年3月23日改訂 *2017年8月15日改訂 *2016年11月18日改訂 ▼関連記事 気管切開とは? 気管切開...

250001
4位

人工呼吸器の看護|設定・モード・アラーム対応まとめ

みんなが苦手な人工呼吸器 多くの人が苦手という人工呼吸器。苦手といっても、仕組みがよくわからない人もいれば、換気モードがわからないという人などさまざまではないでしょうか。ここでは、人工呼...

250017
5位

採血|コツ、手順・方法、採血後の注意点(内出血、しびれ等

採血とは  採血には、シリンジで血液を採取した後に分注する方法と、針を刺した状態で真空採血管を使用する方法の2種類があります。 採血の準備と手順(シリンジ・真空採血管) 採血時に準備...

250858
6位

心電図の基礎知識、基準値(正常値)・異常値、主な異常波形

*2016年9月1日改訂 *2016年12月19日改訂 *2020年4月24日改訂 *2023年7月11日改訂 心電図の基礎知識 心電図とは  心臓には、自ら電気信...

250061
7位

第2回 小児のバイタルサイン測定|意義・目的、測定方法、

バイタルサイン測定の意義  小児は成人と比べて生理機能が未熟で、外界からの刺激を受けやすく、バイタルサインは変動しやすい状態にあります。また、年齢が低いほど自分の症状や苦痛をうまく表現できません。そ...

309636
8位

術前・術後の看護(検査・リハビリテーション・合併症予防な

患者さんが問題なく手術を受け、スムーズに回復していくためには、周手術期をトラブルなく過ごせるよう介入しなければなりません。 術前の検査  術前は、手術のための検査と、手術を受ける準備を...

249741
9位

サチュレーション(SpO2)とは? 基準値・意味は?低下

*2019年3月11日改訂 *2017年7月18日改訂 *2021年8月9日改訂 発熱、喘息、肺炎……etc.多くの患者さんが装着しているパルスオキシメータ。 その測定値である...

249818
10位

第2回 全身麻酔の看護|使用する薬剤の種類、方法、副作用

【関連記事】 *硬膜外麻酔(エピ)の穿刺部位と手順【マンガでわかる看護技術】 *術後痛のアセスメントとは|術後急性期の痛みの特徴とケア *第3回 局所浸潤麻酔|使用する薬剤の種類、実施方...

295949