Goligher分類(ゴリガー分類)|内痔核の分類
- 公開日: 2022/9/18
Goligher分類は何を判断するもの?
Goligher分類は、内痔核の臨床病期を評価するためのスケールです。
痔核はいわゆる「いぼ痔」と呼ばれる疾患です。支持組織の減弱や内肛門括約筋の過緊張などが原因で生じると考えられており1)、解剖学的に歯状線*より直腸側に形成されるものを「内痔核」、肛門側に形成されるものを「外痔核」と呼びます。
内痔核の治療方針は症状の程度に左右されるため、病期を正しく評価することが大切です。保存的治療を選択する場合でも、定期的に病期評価を行うことで症状の変化を経時的に判断でき、スムーズな治療方針の見直しにつなげることができます。
*肛門上皮と直腸粘膜の境界
Goligher分類はこう使う!
Goligher分類では、問診、視診、触診、指診、肛門鏡診察などで内痔核の脱出・還納の程度を確認し、その程度により病期を4つの段階(Ⅰ~Ⅳ度)にスケーリングします(表)。
表 Goligher分類
Ⅰ度 | 排便時に痔核が膨隆するが、脱出はしない |
---|---|
Ⅱ度 | 排便時に痔核が脱出するが、排便後に自然に還納する |
Ⅲ度 | 排便時に痔核の脱出があり、用手的還納を要する |
Ⅳ度 | 常に痔核が脱出した状態で還納できない |
Goligher分類による評価に加え、患者さんの希望や年齢、社会的状況などを総合的に判断して、治療法が選択されます。
基本的にⅠ~Ⅱ度では保存的治療が選択されます。Ⅲ~Ⅳ度で保存的治療を選択する場合は、症状の悪化がないか経過観察が必要ですが、通常は手術療法が選択されます。痔核の手術は術後出血や狭窄などの合併症のほか、再発するリスクもあるため、実施にあたっては慎重な検討が必要です。
Goligher分類の結果を看護に活かす!
内痔核の多くは保存的治療が選択されますが、悪化して最終的には手術療法が選択されるケースも少なくありません。内痔核の患者さんの看護では、Goligher分類による病期を把握し、便秘や下痢など内痔核の悪化につながる症状がないか確認しましょう。排便障害を認めたり、患者さんの訴えから病状悪化の可能性が考えられるときは、速やかに医師に相談・報告します。
内痔核を悪化させないためには、十分な水分と食物繊維の摂取、節酒など食生活を見直すことも大切です。食生活の状況をチェックし、内痔核の改善や悪化を予防するための食事指導を行うとよいでしょう。特にⅢ~Ⅳ期の患者さんには、適切な介入を継続することが望まれます。
引用・参考文献
●増田勉,他:痔核の保存的治療法(手術的治療法以外).日本大腸肛門病会誌 2021;74(10):521-30.
●日本大腸肛門病学会:痔核の治療.(2022年8月31日閲覧) https://www.coloproctology.gr.jp/modules/citizen/index.php?content_id=22