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【連載】スケール・評価基準を使いこなそう!

ASIA分類(エイシア分類)

  • 公開日: 2022/8/1

ASIA分類は何を判断するもの?

 「脊髄損傷の神経学的分類のための国際基準(ISNCSCI)」は、一般的にASIA分類と呼ばれ、主に急性期の脊髄損傷の重症度を評価するためのスケールです。

 脊髄損傷の重症度を判断するためのスケールとして最もよく知られているのはFrankel分類ですが、Frankel分類では完全麻痺の判定基準が「損傷高位以下の運動・感覚の完全麻痺」とされています1)。しかし、脊髄損傷の中には強いダメージがあるものの仙髄機能が残存しているケースも少なくなく、その場合は、麻痺の回復を期待することができます。

 ASIA分類は、このようなFrankel分類の弱点を改良し、完全麻痺の基準を「仙骨分節S4~5に感覚または運動機能が残存していない状態」2)とするなど、より正確な初期評価を行うために開発されたスケールであり、臨床で広く使用されています。

ASIA分類こう使う!

 ASIA分類による評価は専用の評価用紙を用いて行い、運動機能と感覚機能(触覚、ピン刺激)をそれぞれスコア化して、脊髄損傷の重症度を評価します。

◆ASIA分類評価用紙
https://asia-spinalinjury.org/wp-content/uploads/2021/07/ASIA-ISNCSCI-SIDES-1-2_July-2021.pdf

 運動機能については、左右の主要筋群を0~5点の6段階で評価します。5点を正常とし、スコアが低くなるほど麻痺の程度が重いことを示します。なお、テスト不能な場合は「NT」とします。一方、感覚機能に関しては、左右の主要感覚点を0~2点の3段階で評価し、テスト不能な場合は運動機能と同様に「NT」とします。感覚機能が正常な場合を2点とし、機能の低下に伴い、スコアも低くなります。

 これらの運動機能と感覚機能の評価を踏まえて、脊髄損傷の重症度をA~Eの5段階(A「完全麻痺」、B「感覚不全麻痺」、CおよびD「運動不全麻痺」、E「正常」)で評価します。

 ASIA分類は主に急性期に使用されるため、迅速なスケーリングの補助ができるように、各ルートレベルの支配部位を覚えておくことが大切です。

ASIA分類を看護に活かす!

 ASIA分類は、主に急性期の脊髄損傷において正しい重症度判定を行い、個々の患者さんの状態に合った適切なリハビリテーションを計画・実行していくために重要な指標です。

 ASIA分類による評価を踏まえ、褥瘡や感染症といった、さまざまな合併症に注意しながら状態管理を行っていくとともに、ADLの改善に向けて患者さんが前向きにリハビリテーションに取り組めるよう、医師、理学療法士、作業療法士などの多職種と連携しながら支援していきます。

 脊髄損傷による運動機能や感覚機能の低下・消失は、患者さんに計り知れないショックと大きな混乱をもたらします。そのため、精神面でのケアに努めることも大切です。

引用・参考文献

1)H L Frankel,et al:The value of postural reduction in the initial management of closed injuries of the spine with paraplegia and tetraplegia. Paraplegia 1969;7(3):179-92.
2)American Spinal Injury Association:脊髄損傷の神経学的分類の国際基準.(2022年7月15日閲覧)https://asia-spinalinjury.org/wp-content/uploads/2021/07/ASIA-ISNCSCI-SIDES-1-2_July-2021.pdf
●鈴木晋介:脊髄・脊椎損傷の急性期治療.脊髄外科 2011;25 (1):50-62.(2022年7月15日閲覧)https://www.jstage.jst.go.jp/article/spinalsurg/25/1/25_50/_pdf
●加藤真介,他:脊髄損傷の包括的治療.Jpn J Rehabil Med 2018;55(7):597-604. (2022年7月15日閲覧)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/55/7/55_55.597/_pdf

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