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【連載】スケール・評価基準を使いこなそう!

RASS(Richmond Agitation- Sedation Scale)

  • 公開日: 2022/1/5

RASSは何を判断するもの?

 RASS(Richmond Agitation- Sedation Scale)は、鎮静薬を使用中の患者さんの鎮静状態を評価するためのスケールです。鎮静中に1時間~数時間の間隔で評価を行うことで適正な鎮静が行われているか評価する場合や、鎮静度の目標を決めて鎮静薬の調節を行う際の評価にも使用されることがあります。

 鎮静は、気管挿管などの侵襲的な治療を受ける患者さんの苦痛を和らげたり、せん妄などで危険な行為におよぶ可能性のある患者さんを落ち着かせて快適さを確保したりする目的で行われます。鎮静薬にはさまざまな種類がありますが、いずれも患者さんが快適に過ごせるよう個々に合わせて調整していくことが必要です。

RASSはこう使う!

 RASSは、鎮静度を10段階に分けて評価します(表1)。0を意識清明な状態とし、興奮状態にある場合は+1~+4、鎮静状態にある場合は-1~-5までにスケーリングします。

 RASSの使い方は表2のとおりです。簡易的で迅速な評価が可能であるため、鎮静管理をしている患者さんについては、決められた時間ごとに適正な評価を行います。

表1 RASS
スコア用語説明
+4好戦的な
暴力的で好戦的な行動がある
+3非常に興奮した
興奮して攻撃的な行動(チューブ類の自己抜去など)がある
+2興奮した頻繁な非意図的な運動や人工呼吸器のファイティングがある
+1落ち着きのない
不安で絶えずそわそわしているが攻撃的でも活発でもない
0意識清明な、落ち着いている
−1傾眠呼びかけると10秒以上の開眼とアイコンタクトがある
−2
軽い鎮静呼びかけに10秒未満の開眼とアイコンタクトがある
−3中等度鎮静呼びかけに何かしらの動きまたは開眼があるがアイコンタクトなし
−4
深い鎮静呼びかけに無反応だが身体刺激で動きや開眼あり
−5
昏睡呼びかけにも身体刺激にも無反応
Sessler CN,et al:The Richmond Agitation-Sedation Scale:validity and reliability in adult intensive care unit patients. Am J Respir Crit Care Med 2002;166(10):1338-44.より引用

表2 RASSを用いた評価の仕方
ステップ1患者さんを30秒間視診のみで観察する
0~+4のいずれかで評価
ステップ2 大声で名前を呼ぶ、または開眼するよう伝える
−1~−3のいずれかで評価
10秒以上アイ・コンタクトができなければ繰り返す
−4、−5のいずれかで評価
動きがみられない場合は、肩を揺する、あるいは胸骨を摩擦する
Sessler CN,et al:The Richmond Agitation-Sedation Scale:validity and reliability in adult intensive care unit patients. Am J Respir Crit Care Med 2002;166(10):1338-44.より引用

RASSを看護に活かす!

 RASSは鎮静中の患者さんの鎮静度を迅速に評価し、鎮静薬の調節などを行うのに適したスケールです。適切な鎮静は患者さんの安全管理や治療のために必要な手段であり、適正な管理が行われていないと治療経過に影響を与えることも少なくありません。

 鎮静中の患者さんに接するときは鎮静度を注意深く観察し、変化がみられる場合は速やかに医師に報告するようにしましょう。また、鎮静度が一定と思われる場合でも、決められた時間間隔で評価を繰り返していくことが大切です。

参考文献

●卯野木健,他:Richmond Agitation-Sedation Scale日本語版の作成.日集中医誌 2010;17(1):73-4.

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