熱傷面積(9の法則、5の法則、手掌法、Lund & Browderの法則)の算出方法
- 公開日: 2022/1/7
9の法則、5の法則、手掌法、Lund & Browderの法則は何を判断するもの?
熱傷面積を算出する方法は「9の法則」「5の法則」「手掌法」「Lund & Browderの法則」などが代表的で、熱傷による損傷がどの程度広がっているか簡易的に算定するために用いられます。
熱傷は軽症なものから救命困難ものまで重症度はさまざまであり、それぞれに適した対処が必要となります。熱傷の重症度は、受傷した面積・部位・深さ・年齢などによって総合的に判断されますが、これらのスケールは受傷した範囲を簡易的に評価できるため、迅速な初期対応や今後の治療方針を立てることに役立ちます。
9の法則、5の法則、手掌法、Lund & Browderの法則はこう使う!
9の法則
「9の法則」は、最も簡便で覚えやすい方法として多くの医療機関で使用されており、頭部・上肢(左右)・下肢(左右下腿・左右大腿)・体幹(前胸部・腹部・胸背部・腰背部臀部)の11カ所それぞれを9%、陰部を1%として算出する方法です(図1)。
図1 9の法則5の法則
「5の法則」は頭部・上肢・下肢・体幹(前面・後面)を5の倍数で算出します(図2)。頭部の面積を占める割合が高い幼児に使用されることが多く、幼児の頭部は20%とするのに対して、小児では15%、成人では5%と体型によって算出方法が異なるのが特徴です。
図2 5の法則手掌法
「手掌法」は患者さんの手の平の面積を1%として算出する方法です(図3)。広範囲の評価には適しませんが、9の法則や5の法則などでは評価が困難な、飛び火した狭い範囲の熱傷範囲を加算するために用いられています。
図3 手掌法Lund & Browderの法則
「Lund & Browderの法則」は5の法則と同じく、年齢によって各部位を異なる割合で算出する方法ですが、体幹部分を細分化して評価するため、上述した3つの方法よりも詳細な算定に適しています(図4)。ただし、簡易的な算出方法ではないため、迅速な評価を要する初期対応の場面には不向きです。
図4 Lund&Browderの法則9の法則、5の法則、手掌法、Lund & Browderの法則を看護に活かす!
熱傷は重症度によって初期対応や治療方針が大きく異なります。専門施設での集中管理が必要となる重症な熱傷は迅速で適切な初期対応が必要となり、判断を誤ると救命率が低下していきます。そのため、熱傷患者さんの初期対応をする際には9の法則などを用いて簡易的に範囲を算出し、補液や気管挿管など緊急時に必要な物品を揃えておくことが大切です。
また、熱傷患者さんの病棟管理に携わる際には熱傷範囲、深さ、部位、年齢などをしっかり把握し、急変が考えられる患者さんに対してはバイタルサイン測定や状態確認などを頻繁に行います。何らかの異変を検知した場合は、速やかに医師に報告することを心がけましょう。