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【連載】スケール・評価基準を使いこなそう!

熱傷指数と熱傷予後指数

  • 公開日: 2022/2/7

熱傷指数、熱傷予後指数は何を判断するもの?

 熱傷指数(burn index:BI)と熱傷予後指数(prognostic burn index:PBI)は、熱傷の重症度判定と予後の推測を行うためのスケールです。

 熱傷患者さんの予後は、熱傷の重症度(深度)と面積に左右されます。熱傷患者さんの初期対応では迅速に重症度と受傷面積を評価して、それぞれに適した対応を行っていくことが必要です。そして、その結果を用いて熱傷指数や熱傷予後指数を算出し予後を推測することで、より的確な患者さんの管理につなげることができます。

 なお、熱傷指数は重症度と面積のみで算出されますが、熱傷の予後は年齢にも左右されるため、熱傷指数に年齢を加味して算出する熱傷予後指数のほうが、より正確に予後を反映するとされています。

熱傷指数、熱傷予後指数はこう使う!

 熱傷指数と熱傷予後指数は、熱傷患者さんの重症度と予後予測をするためのスケールであり、初期対応や治療方針を決める際に用いられます。

熱傷指数

 熱傷指数は、「Ⅱ度熱傷面積×1/2+Ⅲ度熱傷面積」で算出し、10~15以上で重症とされます。熱傷患者さんの予後とよく相関することがわかっており、熱傷指数が10以下の場合の死亡率は3.9%である一方、30以上では50%、70以上では96.8%にも上るとされています1)

*熱傷面積の算出方法
熱傷面積は、9の法則や5の法則などを用いて算出します。
熱傷面積の算出方法の詳細はこちら↓

熱傷面積(9の法則、5の法則、手掌法、Lund & Browderの法則)の算出方法
https://knowledge.nurse-senka.jp/500284

熱傷予後指数

 熱傷予後指数は「熱傷指数+年齢」で算出します。 80以下の場合は重篤な合併症や基礎疾患がなければ救命可能と考えられますが、80~100での救命率は50%程度、100~120での救命率は20%程度であり、120を超えると救命できるケースは極めて稀と予測されます。

 熱傷予後指数は熱傷の重症度や面積だけでなく、年齢を加味した評価を行うことで、予後推測の正確性がより高まると考えられています。

熱傷指数、熱傷予後指数を看護に活かす!

 熱傷指数と熱傷予後指数は熱傷患者さんの予後を予測し、的確な初期対応や治療方針を決定するために用いられるスケールです。熱傷患者さんは重症度によって予後が大きく異なり、救命率が著しく低いと考えられる場合は緩和的なケアが必要になります。

 一方、救命できる可能性がある重症度の場合は、慎重な全身管理を行っていく必要があります。特に重症熱傷患者さんは敗血症になりやすく、脱水や循環不全などを起こすことも少なくありません。こまめにバイタルサインの変化や意識レベル、尿量などをチェックし、何らかの変化がみられる場合は速やかに医師に報告するようにしましょう。

 また、熱傷患者さんの初期対応に遭遇したときは、速やかに熱傷面積や深度から熱傷指数や熱傷予後指数を評価し、その後の治療方針や搬送先などを予測しながら適切な管理や介助ができるようにすることも大切です。

引用・参考文献

1)樋口良平,他:熱傷の統計-東京都熱傷救急連絡協議会における最近の熱傷データ.救急医学 2003;27(1):3-6.
●日本皮膚科学会:日本皮膚科学会:創傷・熱傷ガイドライン委員会報告―6 熱傷診療ガイドライン.日皮会誌 2011;121(14):3279-306,(2022年1月13日閲覧)https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/1380006822_3.pdf
●佐久間貴裕,他:熱傷患者の予後に関連する因子についての検討.蘇生2013;32(1):7-10.

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