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【連載】スケール・評価基準を使いこなそう!

Alvaradoスコア(MANTRELSスコア)

  • 公開日: 2023/8/5

Alvaradoスコアは何を判断するもの?

 Alvaradoスコアは、臨床症状と血液検査の結果をもとに、急性虫垂炎の疑いがあるか評価するためのスケールです。8つの評価項目〔Migration to the right lower quadrant(右下腹部への痛みの移動)、Anorexia(食思不振)、Nausea and vomiting(嘔気・嘔吐)、Tenderness in the right lower quadrant(右下腹部圧痛)、Rebound pain(反跳痛)、Elevation of temperature>37.3℃(37.3℃以上の発熱)、Leukocytosis(白血球数≧10,000/μL)、Shift to the left(白血球の左方移動)〕の頭文字を取って、「MANTRELSスコア」と呼ばれることもあります。

 急性虫垂炎は、重症化すると腸管穿孔による汎発性腹膜炎を引き起こすなど、命にかかわる状態になることもあり、発症が疑われる場合は速やかに診断を下して治療を開始することが大切です。一方で、急性虫垂炎は非特異的な症状が多く診断がつけにくい場合や、他疾患との鑑別が困難なケースもあります。Alvaradoスコアは、画像検査による確定診断を行う前に急性虫垂炎の可能性を評価できるため、臨床現場で広く用いられています。

Alvaradoスコアはこう使う!

 前述したように、Alvaradoスコアでは、表にある8項目をスコア化し、急性虫垂炎を発症している可能性があるか評価します。右下腹部痛、嘔気・嘔吐、発熱といった臨床症状単独で評価するよりも、複数の所見を組み合わせて評価するAlvaradoスコアを用いたほうが感度、特異度ともに高くなるとされており1)、10点中7点以上の場合は急性虫垂炎を発症している可能性が高いと考えます。

表 Alvaradoスコア
項目点数
Migration to the right lower quadrant(右下腹部への痛みの移動)1
Anorexia(食思不振)1
Nausea and vomiting(嘔気・嘔吐)1
Tenderness in the right lower quadrant(右下腹部圧痛)2
Rebound pain(反跳痛)1
Elevation of temperature>37.3℃(37.3℃以上の発熱)1
Leukocytosis(白血球数≧10,000/μL)2
Shift to the left(白血球の左方移動)1
Alvarado A,et al:A practical score for the early diagnosis of acute appendicitis. Ann Emerg Med 1986;15(5):557-64.より引用

Alvaradoスコアの結果を看護に活かす!

 急性虫垂炎は非特異的な症状しかみられないことも多く、診断がつけにくいケースも少なくありませんが、Alvaradoスコアが7点以上の患者さんは急性虫垂炎の可能性が疑われます。確定診断のために腹部超音波検査や造影CT検査などの画像検査が行われるため、速やかに検査ができるように準備しましょう。

 また、急変に注意してバイタルサインのチェックや状態観察をこまめに行い、変化があるときは速やかに医師に報告することも大切です。

 Alvaradoスコアの点数が低く、急性虫垂炎の可能性が低い場合には、帰宅しても問題ないと判断されることもあります。このとき、後日外来を受診するように医師から指示が出ている場合は、看護師からも重ねて外来受診について患者さんに伝えられるとよいでしょう。

引用・参考文献

1)急性腹症診療ガイドライン出版委員会編:急性腹症の病歴聴取.急性腹症診療ガイドライン 2015,p.49-51.(2023年7月20日閲覧) https://minds.jcqhc.or.jp/docs/minds/acute-abdomen/acute-abdomen-chapter6.pdf
●問山裕二:急性虫垂炎.最新ガイドライン準拠 消化器疾患診断・治療指針.佐々木裕,他編.中山書店,2018,p.338-41.

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