Geckler分類
- 公開日: 2023/8/7
Geckler分類は何を判断するもの?
Geckler分類は、喀痰検査に用いるために採取した喀痰の質を評価するためのスケールの一つです。喀痰の質を評価するスケールはほかにもありますが、Geckler分類は顕微鏡で観察した1視野あたりに含まれる扁平上皮細胞と白血球(好中球)数によってスケーリングします。
喀痰検査は、肺炎などの原因菌を特定し、抗菌薬の選択といった治療方針にもかかわる重要な検査です。しかし、常在菌が多く含まれるなど質が悪い喀痰を用いると、正確な検査結果を得られない可能性もあるため、検査に適した喀痰を採取することが不可欠です。Geckler分類で喀痰の質が悪いと判断された場合は、喀痰採取のやり直しが必要となることもあります。
Geckler分類はこう使う!
Geckler分類では、喀痰の質を6つの段階にスケーリングします(表)。
表 Geckler分類
グループ | 細胞数(1視野あたり) | 評価 | |
---|---|---|---|
上皮細胞 | 白血球(好中球) | ||
1 | >25 | <10 | 検査材料として不適 |
2 | >25 | 10~25 | |
3 | >25 | >25 | 注意深い判断が必要 |
4 | 10~25 | >25 | 良質な喀痰で検査に適する |
5 | <10 | >25 | |
6 | <25 | <25 | 経気管吸引痰では適 |
通常は、好中球が多く、上皮細胞が少ないグループ4と5が良質な喀痰とされ、検査に用いられます。グループ1~3は唾液成分が主体であるため検査に適さず、グループ6は好中球減少症や経気管吸引法で採取した場合に適用となります。
採取した喀痰がGeckler分類で検査に適さないと判断された場合は、再度喀痰採取を行いますが、疾患や病態によって喀痰の質も変わるため、一概にスケーリングだけで判断するのではなく、患者さんの状態・状況を踏まえた判断が求められます。
Geckler分類の結果を看護に活かす!
看護の場で、Geckler分類によるスケーリングが必要になることはまずありません。しかし、喀痰検査の結果を確認する際にはGeckler分類をチェックして、正確な検査を行えたか推察する必要はあります。
また前述したように、Geckler分類でグループ1~3の場合は、再度の喀痰採取が必要になることがあります。なぜもう一度、喀痰を採取しなければならないのか患者さんに聞かれたときのために、Geckler分類について理解しておくとよいでしょう。
参考文献
●LSIメディエンス:喀痰の品質評価について.(2023年7月20日閲覧) http://data.medience.co.jp/compendium/chart_pdf/A11070.pdf