がん看護について教えてください|アンケート結果
- 公開日: 2018/7/12
がん患者さんの看護にかかわっている人はどれくらいでしょうか?
今回のアンケートに回答いただいた数は275名、そのうちがん患者さんの看護にかかわっている人は57%でした。半数を占める結果になりましたが、2人に1人はがんに罹患するといわれているいま、がん患者さんにかかわる看護師はもっと増えていくのかもしれません。
がん患者さんへの看護で難しく感じたり、困ったり、迷ったりしたことはありますか?
がん患者さんへ看護を提供している人は57%でしたが、その中で看護を実践するときに困難に感じたり、困ったり、迷ったりする人は97%という結果になりました。がん患者さんへ看護を提供する際に、ほとんどの人が難しく感じたり、困ったり、迷ったりしたことがあるということがわかります。個別性を踏まえたケアが必要なため、そのときそのときで、常に何が最適なのかを考えるからなのでしょう。
具体的に、どんな看護で難しく感じたり、困ったり、迷ったりしましたか?(複数選択可)
がん患者さんへの看護において、難しく感じたり、困ったり、迷ったりしたことで一番回答が多かったのは終末期ケアでした。次いで多かったのは緩和ケア、化学療法という結果でした。
みなさんのコメントを紹介します。
- 高齢者、認知症がある方の看護
- 化学療法の副作用、セルフケア、治療変更のギアチェンジ
- がん治療臨床試験をする中で対話による患者さんのメンタルケアを積極的にしていますが、一人として同じ悩みはなく、答えも個々により正解が違います。 あらゆる方面に私が学びの視野を広げていかなければならないと感じています。
- まずはどうしたら疼痛コントロールがうまくいくのか。またその状態の患者さんに対してどう接すればよいのか。 2点目は、家族の声かけへのやり方。家族が弱っていく患者さんをみて悲嘆にくれている中でなんて声かけやかかわりをしたらよいのか。
- 痛みやきつそうにされている患者さんに薬を投与しても効果がなく、痛そうにしているときにほかにできることはないかと悩んでしまいます。
- 緩和ケア、何が最善なのかわからない。 * 化学療法後の骨髄抑制、患者さん自身が体感できないことで、説明してもなかなか理解しにくそうで、どうしたらよいか悩む。疼痛コントロール、その人の痛みの程度、感じ方が違うのはわかるけど、それに合わせた薬の調整が難しい。
結果を見ると、その人がその人らしく生きる上で選択されていることに対して、どうかかわっていけばよいか、常に何が最適なのかを考えながら看護をする必要があることばかりです。例えば、がんの確定診断や余命宣告されたときの本人やその家族に対するかかわり、治療に関するメリットやデメリットを本人がどう受け止めて生活しているか、副作用に対する看護だけでなく精神面に関する看護など、さまざまな状況でさまざまな人へ看護を提供する必要が考えられます。
がん看護のエキスパートに聞いてみたいこと、知りたいことはありますか?
今までのアンケート結果や具体的な内容から、がん看護のエキスパートに聞いてみたいこと、知りたいことを聞いてみると以下のようになりました。
- 看取りのとき、家族への説明の仕方
- 疼痛の緩和と麻薬の副作用に対する看護
- 安楽へのアプローチ
- 麻薬の扱い方、レスキューのタイミングなど、未告知患者さんや末期患者さんのネガティブな発言や行動に対する対処法
- 家族ができる苦痛緩和
- 患者さんが苦しいときになんと声をかけたらよいのか、どのようなケアをしていったらよいのか。家族への精神的なサポートはどのようにしたらよいのか
- ターミナルの患者さんに対する、最期を迎える際にしていること、気を付けていること、かかわり方を知りたい
どのように声をかけるか、どのように接したらよいか、家族への支えはどのようにすればよいのか、といったことは、そのときの状況や患者さん本人と家族、医療職者との関係性などにも左右され、明確な正解はありません。だからこそ悩みながら看護をしている人が多いのかもしれません。
最後に
今後がん患者さんの増加にともない、がん看護にかかわる看護師の数は増えると予測できます。また、高齢者の中にはさまざまな既往や合併症を抱えているため、がん患者さんもそうした既往や合併症を抱えている場合があるでしょう。そのため、こうしたアンケートを数年後にもう一度実施してみると、また違った意見が出てくるかもしれません。