1. トップ
  2. 看護記事
  3. 診療科から探す
  4. 消化器科
  5. 消化器疾患
  6. 膵疾患
  7. 膵臓がん患者さんのケア|外科的治療と化学療法のケアと注意点

【連載】知っておきたい!肝胆膵疾患

膵臓がん患者さんのケア|外科的治療と化学療法のケアと注意点

  • 公開日: 2019/11/19

膵臓がんの外科的治療とケアの注意点

術前のケア

 膵臓がんは、一般的に早期発見が極めて困難で、予後も不良であるといわれています。症状(全身倦怠感、食欲不振、腹痛、背部痛、体重減少、貧血、黄疸など)が出現している場合には病期が進行していることもあり、手術が不可能な場合もあります。

 また、手術が可能な場合でも、身体に及ぼす手術侵襲は大きいものです。看護師は、膵臓がんの告知を受け、手術を受ける患者さんの不安を理解し、安心して手術に臨めるよう支援することが必要とされます。

 当院では、手術を受ける患者さん(主に消化器系や呼吸器系のがんの手術を受ける患者さん)を対象に、術前サポート外来を受診してもらう体制を整えています。術前サポート外来は手術が決定した時点で主治医が予約を入れ、患者さんには薬剤科・麻酔科・栄養科・看護外来・リハビリテーション科の外来を受けてもらいます。

 各分野の専門家がかかわることで、より適切な指導やアドバイスを受けることができるうえ、必要であれば心療内科や医療ソーシャルワーカー(MSW)、他科受診などの調整も行っています。

 看護外来は、外科外来、手術室、患者サポートセンター所属の看護師が担当しています。それぞれの外来での内容は電子カルテで情報共有され、入院後も継続した医療・看護が受けられるようにしています。

 術前看護においては、不安なく安心して手術が受けられるよう支援することが必要と考えます。全身状態の管理や不安の軽減を図り、心身ともに万全な状態で手術に臨めるよう看護に努めます。

術後のケア

 膵臓がんの手術は侵襲の大きな手術になり、術後管理が重要となります。最も注意が必要なのは、膵液漏出や膵頭十二指腸切除術後の膵空腸吻合部の縫合不全に伴い、腹腔内に膵液が漏出することです。漏出した膵液が感染を起こすことによって、腹腔内膿瘍など重篤な合併症を起こす可能性があります。そのため、バイタルチェックだけでなく、各ドレーンからの排液(色調や性状)の変化や炎症反応などの血液検査にも注意します。

 また、切除術を行った場合、インスリンの分泌が低下することで高血糖を引き起こしたり、糖尿病を発症することがあります。血糖管理をしっかり行うとともに、糖尿病を発症した場合は糖尿病専門医の受診を促し、退院に向けインスリン注射についての指導も行います。

 ほかに、排便コントロールや食事管理も大切です。退院後の療養生活が不安なく送れるよう患者さんのみでなく、家族を交えての生活指導をしていくことが必要となります。

膵臓がんの化学療法とケアの注意点

 抗がん剤治療は術前・術後に行われるものと、手術適応でない膵臓がんに対して行われるものがあります。

 膵臓がんでの抗がん剤治療では、FOLFIRINOX療法、ゲムシタビン+ナブパクリタキセル併用療法、ゲムシタビン単独療法、S-1単独療法などが行われます。これらの抗がん剤治療では、それぞれの薬剤によるさまざまな副作用が引き起こる可能性があります(表)。

 吐き気や食欲不振、味覚障害のほかに、FOLFORINOXで使用されるオキサリプラチンによる過敏症、末梢神経障害、咽頭絞扼感、寒冷刺激症状、イリノテカンによる腹痛や下痢症状などがあります。さらに、骨髄抑制によって易感染状態を引き起こすため、感染予防についての患者指導も必要です。

表 膵臓がんで行われる主な化学療法と副作用

治療法 スケジュール 副作用
FOLFIRINOX療法 2週を区切りとし、1週目の初日に点滴。2週目は休薬。 食欲不振、過敏症、末梢神経障害、咽頭絞扼感、寒冷刺激症状、下痢、脱毛、骨髄抑制、など
ゲムシタビン+ナブパクリタキセル併用療法 4週間1コース。週1回60~90分の点滴を3週連続で行う。4週目は休薬。 食欲不振、末梢神経障害、発疹、発熱、口内炎、など
ゲムシタビン単独療法 4週間1コース。週1回30~60分の点滴を3週連続で行う。4週目は休薬。 白血球減少、発疹、発熱、など
S-1単独療法 6週間1コース。1日1回の服薬を4週継続し、2週休薬。 口内炎、色素沈着、など

 このように、抗がん剤治療では多くの副作用をもたらす薬剤が使用されます。そのため、抗がん剤治療に携わる看護師は、治療で使用される薬剤の特徴や副作用の理解をしておくことが大切です。

 また、抗がん剤治療は外来通院で行われていることが多く、副作用が生じた際、医療者がすぐに対応できないことがあります。したがって、患者さんやその家族に対し治療や副作用の理解を促すこと、副作用対策また副作用が出現したときの対処方法について指導します。

 そして、患者指導においては、患者さんのセルフケア能力も伸ばすことができるような支援をすることも必要です。

 治療中の患者さんや家族は、副作用だけでなく治療費のことや就労のこと、また病状悪化に対する恐怖などあらゆる不安や悩みごとが出てきます。それぞれの不安に耳を傾け、解決していくために必要であれば関連する部署へつなげることも看護師の役割だと考えます。

この記事を読んでいる人におすすめ

カテゴリの新着記事

膵炎の分類・診断と看護ケアのポイント

膵炎とは  膵臓は、胃の背側に後腹膜臓器として存在しています。その働きは大きく2つです。1つは、内分泌臓器として血糖を下げるインスリンなどのホルモンを血中に分泌すること。もう1つは、外分泌臓器として、膵管を経由し十二指腸に炭水化物を消化するアミラーゼや、脂肪

2019/10/1

アクセスランキング

1位

サチュレーション(SpO2)とは? 基準値・意味は?低下

*2019年3月11日改訂 *2017年7月18日改訂 *2021年8月9日改訂 発熱、喘息、肺炎……etc.多くの患者さんが装着しているパルスオキシメータ。 その測定値である...

249818
2位

簡単! 楽ちん! 点滴の滴下数計算 2つの方法

皆さんご存知の通り、点滴指示書には様々な書き方があります。 よくあるパターン ●流速が書かれている (例)「○○輸液500ml 60ml/h」 ●1日の総量が書かれている (例)...

251296
3位

心電図でみる心室期外収縮(PVC・VPC)の波形・特徴と

心室期外収縮(PVC・VPC)の心電図の特徴と主な症状・治療などについて解説します。 この記事では、解説の際PVCで統一いたします。 【関連記事】 * 心電図で使う略語・...

250751
4位

【血液ガス】血液ガス分析とは?基準値や読み方について

血液ガス分析とは?血液ガスの主な基準値 血液ガス分析とは、血中に溶けている気体(酸素や二酸化炭素など)の量を調べる検査です。主に、PaO2、SaO2、PaCO2、HCO3-、pH, ...

249974
5位

第2回 小児のバイタルサイン測定|意義・目的、測定方法、

バイタルサイン測定の意義  小児は成人と比べて生理機能が未熟で、外界からの刺激を受けやすく、バイタルサインは変動しやすい状態にあります。また、年齢が低いほど自分の症状や苦痛をうまく表現できません。そ...

309636
6位

吸引(口腔・鼻腔)の看護|気管吸引の目的、手順・方法、コ

*2022年6月7日改訂 *2020年3月23日改訂 *2017年8月15日改訂 *2016年11月18日改訂 ▼関連記事 気管切開とは? 気管切開の看護 吸引とは...

250001
7位

看護問題リスト・看護計画の書き方|看護記録書き方のポイン

ここでは一般的な看護記録を解説しています。また、看護診断名にNANDA-I看護診断を使用しています。実際の記録は院内の記録規定に従いましょう。 【関連記事】 *看護計画の「観察項目...

249544
8位

術前・術後の看護(検査・リハビリテーション・合併症予防な

患者さんが問題なく手術を受け、スムーズに回復していくためには、周手術期をトラブルなく過ごせるよう介入しなければなりません。 術前の検査  術前は、手術のための検査と、手術を受ける準備を...

249741
9位

心不全の看護|原因、種類、診断、治療

*2020年4月30日改訂 心不全とは  生活習慣病やさまざまな基礎疾患、加齢などが原因となり、心機能、特に多いのは左心室のポンプ機能が低下することで起こります。心臓のポンプ機能の代償...

249812
10位

転倒転落リスクに対する看護計画|高齢で転倒の恐れがある患

高齢の転倒転落リスクに関する看護計画 加齢に伴い筋力や平衡感覚などの身体機能が低下することに加えて、疾患やそれに対する治療、使用する薬剤の副作用、入院環境などさまざまな要因で転倒や転落しやすくな...

313501