重瞼術の看護|埋没法・切開法の手順、術前・術中・術後のケアのポイント
- 公開日: 2023/10/11
※重瞼術の治療概要については、「重瞼術の基礎知識|目的、種類(埋没法・切開法)、メリット・デメリット、合併症・副作用など」をご参照ください。
※医療処置の内容は、医療施設により異なる場合があります。
重瞼術の手順
重瞼術には、メスを使わない埋没法と、メスで眼瞼を切開する切開法があります。それぞれの大まかな手順は次のとおりです。
埋没法の手順
切開法の手順
重瞼術のケア
術前
重瞼術は、基本的に日帰り手術で行われます。手術当日は、患者さんに同意書の確認を行うのとあわせて、体調はどうか、疑問点や不安なことがないかを問診します。外来で事前に説明を受けていても、いざ当日になると、気持ちが揺らぐ患者さんも少なくありません。必要であれば医師に説明を依頼するなど、患者さんが納得して手術に臨めるようにかかわることが大切です。
患者さんが手術衣へ着替えたら、手術室に案内します。
術中(手術室)
重瞼術は比較的、侵襲や負担が少ないものの、不安や緊張により嘔気などを起こすことがあります。患者さんの状態をよく観察するとともに、術中でも対話ができるため、何かつらいことがあれば言ってもらうように伝えます。一方で、医師や看護師の一言が患者さんの不安を招くおそれもあり、手術室での会話には注意が必要です。
手術を行うにあたり、注射による局所麻酔薬に加えて点眼麻酔液を投与しますが、通常の点眼薬よりも、しみる感覚があるため、点眼時には、患者さんに眼にしみることを伝えます。
術中は、数回にわたって患者さんに眼の開け閉めをしてもらい、二重の仕上がりを確認するタイミングがあります。眼を開けたときにまぶしくないように無影灯を調整し、患者さんの確認が必要な場合は、鏡を見やすい位置にセットします。また、患者さんが上体を起こした状態で仕上がりを確認するときには介助を行います。体位調整を行う際は、患者さんが安楽な姿勢になるように配慮することも大切です。
術後
術後は眼瞼が腫脹していることにより、視野が狭くなります。転倒やふらつきがないように、手術室からの退室時には歩行をサポートします。
患者さんの更衣後に、鎮痛薬・抗菌薬などの処方薬、痛みや腫脹、生活上の注意点について説明を行います。あまり多くの注意点を一度に説明しても患者さんが把握しきれないため、当院では説明用紙(表)を渡し、特に手術当日から3日間の注意点については口頭で伝えるようにしています。なお、切開法の場合は、約5~7日後に再度来院してもらい、抜糸が行われます。
説明のポイント
【痛みについて】術直後はまだ麻酔が効いている状態ですが、麻酔の効果が切れると徐々に痛みが出てくることを説明します。痛みを我慢せずに処方された鎮痛薬を服用すること、鎮痛薬は痛みが出る前に服用してもよいことを伝えます。
【腫脹について】腫脹は術直後から現れ、徐々に強くなっていきます。そのため、理想どおりの二重のラインになっているか確認できず、不安になる患者さんもいます。特に、切開法では腫脹が強く、「このまま元に戻らないのでは?」と不安に感じる患者さんも少なくありません。
腫脹を抑えるためにはクーリングが重要であること、1週間後には腫脹が落ち着いてくることを伝えます。保冷剤で冷やす方法が簡便ですが、保冷剤は患部に直接当てず、清潔な布で包んで冷やすように説明します。
【出血について(切開法の場合)】通常、出血は軽度ですが、ガーゼに染み出るくらいの出血が続く場合は連絡するように伝えます。また、腫脹の悪化や出血の原因となるような激しい運動、飲酒、喫煙などは、抜糸までは控えてもらうように説明します。
【感染予防について】洗顔後は清潔なタオルなどでやさしく拭き、消毒は必要ないことを説明します。発熱などの感染徴候がみられたら、連絡するように伝えます。
表 説明用紙の例