第7回 CT検査の応用範囲の拡大と問題点
- 公開日: 2015/11/6
血管造影検査
今回ももう少しCT検査について記載させていただきます。 CTの進歩は、”より細かく、より早く”という方向であったと以前記しましたが、患者さまにとってみると、このほかに、”より侵襲が少なく、より簡便に”ということも、検査の進歩の方向性として重要であると思われます。CTの進歩は、ほかの画像診断検査をCTによって置き換えることで、画像診断検査の侵襲性を低下させることも可能にしました。
今回はまず血管造影法について簡単に説明して、それとともに少し切り口を変えて説明したいと思います。血管造影検査は、血管の中に造影剤を注入して行われる検査法ですが、血管の走行や血管と病変との関連を明らかにしたりする診断を目的として実施されることのほかに、特殊な道具を用いて、狭くなったり、詰まったりした血管を血管の中から治療したり、腫瘍に対して腫瘍を栄養している血管から直接薬剤を注入するような、診断と同時に治療を行うことを目的として実施されることもあります。
IVR(Interventional Radiology) と呼ばれるこのような診断と治療とを同時に行う手技は、撮影装置の進歩とともに、血管内に留置するstent の開発、改良やカテーテルと呼ばれる血管内に挿入される管の改良などによって進歩し、近年では非常に重要な治療法の一つと考えられています。
図1は、肝細胞がんの治療を目的として行われた、血管造影および、抗がん剤の動注塞栓療法の画像です。右大腿動脈から挿入されたカテーテル(赤矢印)は、固有肝動脈内に先端がおかれ、カテーテルを介して造影剤が注入され、肝臓内の動脈分布が明らかとなっていきます。
b図では肝左葉外側区域に異常な造影効果を示す部分が認められます(黄色矢印)。肝細胞癌です。こののちカテーテルをさらに進めて腫瘍への栄養血管を選択し、抗がん剤の動注塞栓療法が施行されました。施行後の画像(c)では腫瘍を示す異常造影効果が認められなくなっています。