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【連載】検査早わかりファイル

胸部画像診断(CXR、CT)の目的と看護のポイント

  • 公開日: 2016/8/4

胸部画像診断(CXR、CT)とは

呼吸器領域では、理学所見、肺機能検査に続き重要となるのが、各種画像診断です。この連載でも以前取り扱った気管支鏡検査の実施前にも、まずは画像診断での部位や性状の特定が大変重要となります。そのなかでも最も頻繁に利用されるものが、胸部単純X線(CXR)です。患者さんが自力で、もしくは介助にて動くことができる場合には、X線検査室で通常の撮影を実施し、それ以外の患者さんでは病室や手術室などでポータブルX線撮影器を用いた撮影が行われます。

 一方、胸部単純X線をさらに進歩させたものが、Computed Tomography(CT)であり、胸部画像診断では最も強力な診断力を発揮するといっても過言ではありません。しかし、比較的X線被曝の少ない胸部単純X線に対して、胸部CTの被曝量はその100倍ともいわれ、それぞれの画像診断の特性を考えながら適応を慎重に判断しなければならないでしょう。


どんな検査?

検査を行う目的

胸部単純X線は、被曝量が小さく、妊婦や小児など一部の対象者を除いて、比較的気軽に実施できるものです(表)。そのため、病変の部位や性状を特定する目的や、多くの健康診断の重要な項目として実施されています。また、救急診療の現場でも、即座に結果が出て、ポータブル機器なども充実しているため、重宝しています。

 一方、日本は胸部CT大国とまでいわれるほど大量にCT機材を保有していますが、基本的には胸部単純X線での異常に基づき二次検査として実施されることが多いでしょう。

胸部画像診断の禁忌
胸部単純X線 妊娠およびその疑いがある場合
胸部CT 妊娠およびその疑いがある場合、特定のアレルギーがある場合

どこを見るか?

胸部単純X 線は、1枚のフィルムで胸部全体の情報を総括しています。いわゆる肺野の情報だけでなく、骨軟部陰影から始まり、縦隔の心陰影や大血管陰影、横隔膜などの周辺情報も包括的に評価することができます。一方、胸部CTにおいては、さらに詳細に胸郭の各種臓器の異常をとらえることが可能です。

どんな器具を使う?

1 胸部単純X線撮影装置

 胸部単純X線は、通常X線が外に漏れないようにシールドされた専用の撮影室で撮影されます。

検査機械全体像

画面見本
近年X線写真はデジタル化されることが多い。

撮影装置
患者さんが正面に立つ部分(撮影装置)

X線を照射する装置
X線を照射する装置

防護服
防護服(X線被曝を防ぐために検査技師などが着用)

2 ポータブル単純X線撮影装置

 病棟や手術室で出張撮影するための装置。アームの部分にX線発生装置があり、フィルムは患者さんの背部などに挿入して撮影します。
 
ポータブルX線撮影装置

3 胸部CT装置

 円形の筒の内部をX線発生装置が回転し、CT撮影を行います。患者さんには寝台の中心に横になってもらいます。CTも近年デジタル化されて保管することが多くなっています。

CT

デジタル画面

どう見える?

1 胸部単純X線

胸部単純X線での正常構造について概略を示します。肺野は黒く写り、血管や心臓などは白く見えます。

2 胸部CT

胸部CTで確認できる代表的な構造について概略を示します。CTでも肺野は黒く見え、それ以外の臓器は白く写ります。

※画像の無断複写・複製・転載を禁じます。

Nursing Point

検査結果(レポート)を見る

1 胸部単純X線

前述のとおり、胸部単純X線で肺は正常では黒っぽく写ります。最初に大切なのは、正常な画像所見とその都度撮影される画像とが、どの程度異なるか大まかにつかむことです。正常より肺が白っぽく写ることが特徴となるのが、肺炎、肺がん、心不全などの疾患、また正常より肺が黒っぽく写るのが気胸(肺自体は縮んでいる)や肺気腫(肺そのものの写り方がより黒っぽくなる)などの疾患です。

2 胸部CT

胸部単純X線に比べ、胸部CTは複雑な検査であり、画像自体をすべて把握しようとするよりは、看護の現場ではむしろ検査レポートを確認することが重要です。特に異常所見の有無、その緊急性の程度、さらには専門診療科へのコンサルテーションの必要性など、その内容をきちんと把握しているかを常に意識しながら、見落としがないようにしましょう。

検査前にこれだけは注意

いずれも日常の臨床の現場で頻繁に実施されている検査であり、つい見過ごされがちではありますが、両者において放射線被曝は重要な問題であるといえます。特に、妊婦や小児においては安易な被曝は重大な結果をもたらす可能性があります。医師がオーダーしたとはいえ、確認するタイミングがあれば何度でも妊娠の可能性がないか、検査そのものの必要性があるのかについて確認するようにしましょう。

さらに、CT検査においては、時として造影剤を用いた検査を行う場合があり特に注意が必要です。造影剤は何らかのアレルギー反応をきたすことがあり、数千例に1例程度の確率で重篤な合併症を引き起こします。そのため、以前のアレルギー歴の確認を行うだけでなく、事前に患者さんに対する説明と同意が必要です。

検査後はここに注意

検査後は特に医学的な注意が必要とされることは少ないのですが、造影剤を用いた胸部CTを実施した場合には遅発性の発疹等、アレルギー反応が生ずることもあり注意が必要です。一方、異常が指摘された場合に、その内容が適切に主治医・担当医の元に届き、妥当な対処や患者さんに対する説明が実施されたかは大変重要であり、可能な限り確認しましょう。

胸部画像診断のナーシングステップ

Step1 胸部単純X線では正常画像との違いを大まかに把握してから検査レポートにあたる。一方、胸部CTでは無理に画像を見るというよりは、検査レポートからの情報収集に専念する

Step2 検査結果もしくは検査レポートと患者さんの状態、理学所見などを比較検討し、その緊急性や重要性を判断する

Step3 検査結果や検査レポートの内容を踏まえた診療計画が立案されていることを確認し、その内容を踏まえた看護計画を立てる

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