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[診療報酬] 2022年度診療報酬改定(9)・かかりつけ医機能を「機能強化加算」で明確化、調剤基本料は300店舗以上のグループ薬局を厳格化

  • 公開日: 2022/3/19

 2022年度診療報酬改定でも重点課題となった「かかりつけ医機能」の評価は、「機能強化加算」の要件厳格化で機能の明確化が図られた。外来医療では「オンライン診療」の評価体系が整備され、調剤では「調剤料」の対人業務評価が切り分けられたこともトピックとなった。



◆機能強化加算に往診などの実績要件
 外来医療では、かかりつけ医機能の推進に向け、「機能強化加算」を算定する医療機関が、地域の医療提供体制において担うべき機能を明確化するための見直しが行われた。算定要件には、▽患者の受診歴や処方歴の把握・記録▽専門医や専門医療機関への紹介▽健康管理の相談▽緊急時対応等の情報提供―などの対応を行うとともに、その旨を「院内やホームページ等に掲示する」ことを追加した。 施設基準では、「地域包括診療料・加算」などの届け出だけでなく、実績要件も導入した。具体的に、診療料・加算2の届け出では、直近1年間に▽診療料・加算2を算定した患者が3人以上▽訪問診療または往診した患者数が合計3人以上―のいずれかを満たす必要がある。在宅時医学総合管理料または施設入居時等医学総合管理料の届け出を行う在宅療養支援診療所・病院(機能強化型を除く)では、緊急往診や在宅看取りの実績が求められる。 慢性疾患の患者へのかかりつけ医機能を評価する「地域包括診療料・加算」では、その届け出・算定回数が近年は伸び悩んでいることから、対象疾患に「慢性心不全」と「慢性腎臓病」(慢性維持透析を行っていない者に限る)が追加されている。届け出を行っていない医療機関からは「算定対象となる患者がいない」との声が少なくないことに対応した。患者への生活指導については必要に応じ、医師の指示を受けた看護師や管理栄養士、薬剤師が行うことも認められ、多職種による関与が可能となった。

◆オンライン初診料は37点差の251点
 オンライン診療の算定要件や施設基準、点数水準をめぐっては、中央社会保険医療協議会・総会の議論で支払い側と診療側の意見が最後まで対立し、公益裁定が行われた。点数水準については、対面診療との比較において、触診・打診・聴診等が実施できないことを踏まえると一定程度の差を設けることは妥当とする一方、オンラインのみで診療を終え得ることや、国民にオンラインでも適切に診療を届けていくことの重要性を勘案し、対面診療と新型コロナ感染拡大に伴う「時限的・特例的対応」の中間程度とされた。その結果、「初診料」(情報通信機器を用いた場合)は251点、「再診料」(同)と外来診療料(同)はそれぞれ73点となった。医学管理料についても、これと整合的な設定が行われている。 現行のオンライン診療には、「おおむね30分以内に通院や訪問が可能な患者を想定」との時間・距離要件や、「1割以下」の実施割合上限があるが、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(22年1月改訂)に準拠した診療を要件化することで担保し撤廃された。

◆調剤基本料「3 ハ」新設で大型に厳しく
 調剤では医療経済実態調査の結果を踏まえ、「調剤基本料」で大型チェーン薬局に対する厳しい見直しが行われた。現の「調剤基本料3」は、同グループで処箋受付回数と集中率が▽3.5万回超4万回以下で95%超▽4万回超40万回以下で85%超の場合が「イ」(21点)、同様に「40万回超で集中率85%超」が「ロ」(16点)となっている。今回は、この「3 ロ」の対象に受付回数だけでなく、「店舗数が300以上の同グループ薬局」を追加。さらに、「受付回数40万回超」または「店舗数が300以上の同グループ薬局」で「集中率85%以下」を対象にした「3 ハ」(32点)も新設した。 このように「店舗数」も要件化されたことで、大きな影響を受けると考えられるのは、店舗数が300以上の同グループ薬局で、これまで基本料2や3の要件に該当せず、基本料1を届け出ていた薬局だ。処箋集中率が85%以下であれば、「3 ハ」に該当し10点のダウンで済むが、85%超だと「3 ロ」の対象となり、26点も下がることになる。 また、いわゆる「敷地内薬局」を対象とする「特別調剤基本料」でも厳格化が行われている。所定点数が9点から7点に引き下げられるとともに、「地域支援体制加算」と「後発医薬品調剤体制加算」では所定点数が2割減算となる。 一方、「調剤料」では、近年の改定の流れである「対物業務から対人業務への移行」を加速させるための見直しが行われている。厚労省は中医協に提示した資料で、調剤料で評価している薬局の調剤業務の中にも、患者の状態や処方内容等に応じた薬剤師による薬学的判断を伴い、対人業務的な要素が含まれることを明らかにしていた。それを踏まえ、薬剤調製や取り揃え監査業務を評価する「薬剤調製料」と、処方内容の薬学的分析と調剤設計、調剤録・薬歴作成を評価する「調剤管理料」に分けて評価が行われた。 薬剤調製料は、内服薬で現行の日数変動制を改め、1剤につき24点に固定。一方、調剤管理料では内服薬とそれ以外に分け、内服薬は日数変動制を維持し、1剤につき▽7日分以下:4点▽8日分以上14日分以下:28点▽15日分以上28日分以下:50点▽29日分以上:60点―の4段階に設定。それ以外は4点とした。

◆リフィル処方箋は医師判断で3回上限
 22年度予算の大臣折衝で導入が決まっていたリフィル処方箋については、処方箋様式を変更し、医師がリフィルによる処方が可能(薬剤師の服薬管理の下)と判断した場合、「リフィル可」欄にレ点を記入する仕組みとした。リフィル処方箋の総使用回数の上限は3回までで、新薬や麻薬、向精神薬、湿布薬などは投与できない。薬局薬剤師は、服薬状況等から調剤することが不適切と判断した場合は受診勧奨を行うとともに、処方医に情報提供することが求められる。調剤を行った場合は、患者に次回予定を確認する一方、処方医には調剤内容や服薬状況等を必要に応じて情報提供する必要がある。後発医薬品の数量シェアを「23年度末までに全都道府県で80%以上」との政府の新目標が掲げられたことを受け、「後発医薬品調剤体制加算」ではそれとの整合性が図られた。加算1が「80%以上」で21点、加算2が「85%以上」で28点、加算3が「90%以上」で30点となった。調剤基本料の減算規定は「50%以下」で「5点」に拡大されている。

(厚生政策情報センター)

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