[診療報酬] 看護の賃上げ対象病院、看護配置や診療報酬の算定にバラつき
- 公開日: 2022/5/21
看護の賃上げにつなげる診療報酬の新たな仕組みの検討に役立てるため、厚生労働省は、賃上げの対象とされた病院での看護職員の配置や診療報酬の算定状況などを分析し、中央社会保険医療協議会の「入院・外来医療等の調査・評価分科会」に19日、結果を報告した。それによると、これらの病院では、1床当たりの看護職員の人数や診療報酬の算定回数などに大きなバラつきがあることが分かった。
診療報酬による看護の賃上げでは、それぞれの病院に財源を配分する際の過不足をいかに抑えるかがポイントとされ、この日の分科会では、看護配置などのバラつきを評価に反映できる診療報酬の設定を検討するよう複数の委員が求めた。診療報酬の新たな仕組みをイメージしやすいように、厚労省がさらに踏み込んだ分析結果を次回以降に示す。
看護の賃上げは、救急搬送の受け入れが年200台以上で救急医療管理加算を算定する病院や、三次救急病院のスタッフが対象。厚労省はこの日、病床機能報告やナショナルデータベース(NDB)のデータを使った2,785病院の分析結果を報告した。
2020年度の病床機能報告のデータを使い、これらの病院の計1万8,318病棟ごとに入院料の届出状況を集計したところ、「急性期一般入院料1」の7,298病棟(全体の39.8%)が最多だった。以下は「特定機能病院一般病棟7対1入院基本料」が1,321病棟(7.2%)、「急性期一般入院料4」が1,154病棟(6.3%)などの順で、診療報酬点数表に掲載されているほぼ全ての入院料が算定されていた。
また、1床当たりの看護職員数ごとに病棟数の分布を集計すると、急性期一般入院料1や入院料4を届け出ている病棟の間にもバラつきがあった。急性期一般入院料1では「0.60-0.65人」の病棟が最も多く、外れ値を除く最大値が0.97人、最小値が0.36人で平均0.70人。厚労省では、病棟ごとの病床稼働率の違いがバラつきの原因だとみている。
一方、NDB(20年10月-21年9月分)のデータを使い、診療報酬の算定状況を病院ごとに集計すると、急性期一般入院料1の1,365病院による入院料の算定回数の最大値は、地域包括ケア病棟入院料などほかの入院料を含め21万470回、最小値は2,702回(いずれも外れ値を除く)だった。
(厚生政策情報センター)
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