第10回 臭気対策でオススメの方法はありますか
- 公開日: 2013/10/23
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エンゼルケア(逝去時ケア)とは?目的・手順など
家族の意向に寄り添って最期のお別れの場面を創出する「エンゼルケア」が、多くの病院や施設で実践されるようになってきています。よりよい死後ケアにつなげるにはどうすればよいのか、よくある疑問・悩みについて、エンゼルメイク研究会代表:小林光恵さんに話を伺いました。
――乳がんの自壊創からの排液と臭気が強い終末期の患者さまがいらっしゃいます。そのときがきてしまったときの、創部への臭気対策など教えてほしいです。
小林光恵さん(以下、敬称略) 現在は、どのような対応をしていますか。
――創部を洗浄したうえで、消臭効果がある軟膏やシートを使用し、それを4時間毎に交換しています。
小林 適切な対応だと思いますが、それでも臭気が消えていないんですね。
――そうなんです……。
小林 皮膚に露出した腫瘍の自壊創から強い臭いが発生することがしばしばあるようですね。療養中もご本人や面会の人も気になさり、辛い事態ですよね。消臭の軟膏やシートで抑えられればいいですが、難しいケースも多いようです。
――やはり臭いはどうしても気になりますよね。
小林 そういったケースでは、アロマセラピー用のエッセンシャルオイルを使うのも効果があるようです。オイルの自然な香りが勝り、臭いが気にならなくなるようです。
――確かに、一般的にも消臭剤だと特有の匂いが強くなりがちですし、アロマオイルは自然で臭いも消しますね。具体的にはどのような種類がいいのでしょうか。
小林 ナースでアロマを教えている方に伺ったところ、死後ケアの場面では、ラベンダー、ベルガモット、フランキンセンス、サンダルウッドなどの癒し系の香りがオススメとのことでした。患部にあてるガーゼにしみこませたり、清拭のお湯にオイルをたらすというやり方もいいのではないでしょうか。
――一度試してみます。
小林 エッセンシャルオイルをミックスしてオリジナルのアロマオイルを作り、それを適宜噴霧して部屋全体を香らせている緩和ケア病棟もあると聞きました。臭いが気にならなくなり、その場もよい香りの漂う穏やかな雰囲気になるのでしょう。精油には包み込むようなイメージがあるのでオススメです。
――ただアロマオイルだと、値段がちょっと高いですよね……。
小林 そうですね。コストが問題になることがあります。ある緩和ケア病棟では、相談の上、ご家族にご負担いただいていると聞きました。「このような効果があるので使いたいのです」とご家族に相談してみてはいかがでしょうか。
――そうですね。
小林 また、臭いのある方に限らず、清拭や手浴・足浴の際のお湯に一般の薬局などで買える入浴剤を入れているという話も聞きます。安価ですし、多少保湿効果もあるので、こちらもいいと思います。お風呂をイメージする香りで、ご家族も喜ばれるようです。
――これらの対応は、生前からも有効ですね。
小林 はい。臭い対策が必要なさまざまな場面があると思います。今回の方法はいろいろな場面でオススメです。ただ、エッセンシャルオイルは、選び方によっては気分や体調に影響することがありますから、専門店の方や詳しい人にアドバイスを受けた上での使用をオススメします。
臭いは昔から難問で、コーヒーや活性炭を試してみるなどさまざまな工夫がされてきました。アロマ用エッセンシャルオイルは自然な香りで、臭い対策の強い味方だと思います。
※本記事は、株式会社医学書院のWEBマガジン「かんかん!」の連載記事をもとに再構成したものです。
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