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【連載】見直そう! CKD・透析ケア

第10回 CKDの治療薬ー各薬剤の特徴と与薬時の注意点は?ー

  • 公開日: 2017/9/7
  • 更新日: 2020/3/26

CKDでは、薬を使って腎臓の機能を補うことで、CKDの進行を遅らせたり、腎機能低下が原因で起こるさまざまな症状を改善したりします。そこでCKDで使われる代表的な薬剤についてお話します。

腎臓の血圧を調節する機能を補う薬

腎臓の血圧を調節する機能には2つのしくみがあります。まず1つ目は、塩分・水分の排出調整と、もう1つはホルモン分泌調整です。腎機能低下が起こると、この塩分・水分の排出がうまくできなくなり血圧が上がります。また、腎臓は血圧が低下するとレニンというホルモンを分泌します。このレニンはアンジオテンシンとよばれる血管を収縮させる物質を作り、血圧を上げます。CKDではレニンが過剰に分泌されるため血圧が上昇します。

利尿薬

体内の余分な塩分・水分を尿として排出することで血圧を下げます。注意点としては、利尿剤の過剰投与や食欲低下、発汗による血管内脱水により、低血圧や脱水を起こす危険性があります。また脱水により尿酸やカリウム値が上昇することがあります。

降圧薬

主に、レニン-アンジオテンシン系(RA系)阻害薬(ACE阻害剤、ARB)やCa拮抗薬が使われます。まず、血圧調節機構であるRA系の機序についてお話します。

RA系における最初の基質は、主に肝臓で合成されるアンジオテンシノーゲンと呼ばれるものです。これは、腎臓で産生されるレニンという物質によってアンジオテンシンⅠへと変換されます。アンジオテンシンⅠはさらにアンジオテンシン変換酵素(ACE)によって、アンジオテンシンⅡという物質へと変化します。このアンジオテンシンⅡは強力な血管収縮作用を持っており血圧を上昇させます。血圧を下げるためにRA系において、「アンジオテンシンⅡの働きを阻害する薬」がACE阻害剤やARBと呼ばれる薬です。

日本腎臓学会のエビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2013では、CKDによる血圧上昇の降圧には、原則としてRA系阻害薬を第一選択薬として用いることが示され、RA 系阻害薬は糖尿病合併および非合併CKDでもたんぱく尿を伴う場合、そのたんぱく尿を減少させ、腎機能障害の進行を抑制することが示されています。 またCa拮抗薬は、血圧を下げることで、腎輸出細動脈を拡張させ、糸球体内圧を下げることによってたんぱく尿の抑制が期待できます。気をつけることとしては、急激な糸球体内圧降下で急性腎不全の危険性があるため投与量には注意が必要です。

レニン-アンジオテンシン系の機序
レニン-アンジオテンシン系の機序の図

腎臓の老廃物を排泄する機能を補う薬

経口吸着炭素製剤

腎不全が進行し、毒素を外に排泄できなくなってしまうと、体内の毒素が蓄積し尿毒症状が出現します。毒素を低下させる薬剤として経口吸着炭素製剤があります。いわゆる活性炭のことです。活性炭には毒素を含む化学物質を吸着する作用があり、腸内で毒素が体内へ吸収される前に吸着、便とともに排泄させます。これによって尿毒症を改善させることができます。なお、毒素だけでなく同時に服用した他の薬も吸着する可能性があるので、食事や他の薬を服用してから少なくとも30分以上時間をずらして服用する必要があります。この経口吸着炭素製剤は、通常、食間に服用するよう処方されます。

腎臓の造血する機能を補う薬

エリスロポエチン製剤

腎臓は赤血球の産生にかかわるホルモンを分泌しています。このホルモンをエリスロポエチンと呼びます。CKDではエリスロポエチンの分泌が少なくなるため、赤血球が十分につくられず貧血(腎性貧血)になります。このエリスロポエチンを薬として外から補うことで、腎性貧血の症状が改善します。

腎臓の体液バランスを調節する機能を補う薬

リン吸着薬

腎臓の機能が低下し、体内からリンが排泄できなくなると高リン血症になります。リン吸着薬は食べ物に含まれるリンを消化管内で吸着し、体内へ吸収させず便とともに排泄する薬です。リン吸着薬は、食事に含まれるリンと、この薬を消化管内で混ぜる必要があるため、食事中や食直前・食直後に服用することで作用が強く効果的です。またリン吸着薬のなかでも、カルシウム含有製剤の場合は、副作用として高カルシウム血症の危険性があるため注意が必要です。

腎臓の骨を丈夫にする機能を補う薬

活性型ビタミンD製剤

腎臓の働きが低下すると、活性型ビタミンDが低下し、カルシウムの吸収が落ち骨が弱くなるなどの症状が出てきます。そのため薬で活性化したビタミンDを補い、骨がもろくなるのを防ぎます。この薬も副作用として高カルシウム血症の危険性があるため注意が必要です。

 CKDの治療にはその他、多種多様の薬剤があります。時折、患者から「こんなにたくさんの薬を飲みたくない」という言葉を聞くことがあります。しかし、CKDにおいて薬剤の服用は、腎機能の悪化を遅らせるためにも、また腎臓でできなくなった機能を補うためにも必要不可欠な治療法と言えます。


引用参考文献
日本腎臓学会,編:エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2013.東京医学社,2013.
知ろう・ふせごう。慢性腎臓病:www.kyowa-kirin.co.jp/ckd/hypertension/hypertension.html(2017年9月閲覧)

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